替玉無料「930円朝ラー」のお得さにグッとくる朝

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博多らーめん由丸は午前11時から1時間、替玉無料サービスを実施中。価格も、首都圏としてはお得に楽しめます(筆者撮影)

喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。チェーン店の外食モーニングをこよなく愛するライター・ブロガー、大木奈ハル子さんの連載第98回は、「博多らーめん由丸」をご紹介します。

さまざまな外食チェーン店で提供している朝限定メニュー。カフェやハンバーガーショップ、おそば屋さんなどはもちろんのこと、最近では焼肉店やお寿司屋さんなどでも独自のモーニングサービスを展開しています。

今回ご紹介するのは、「博多らーめん由丸(よしまる)」です。モーニングというには少し遅く、若干グレーゾーンではありますが、ランチというにはフライング気味という絶妙な時間帯の、朝11時から正午までの1時間の間だけ、替玉もしくは味玉が無料という早得サービスを実施中です。

博多らーめん由丸は福岡発ではなく東京のラーメンチェーン

「博多らーめん由丸」は、その名のごとく博多ラーメンのお店です。白濁したとんこつスープとストレート細麺の、スタンダードなとんこつラーメンを提供しています。

【画像16枚】「替え玉もしくは味玉が無料」「価格も良心的!」 博多らーめん由丸の「930円朝ラー」はこんな感じ

筆者は「由丸は博多で人気のチェーン店で、東京にも出店したのだろう」と、勝手に思い込んでいたのですが、今回調べてみたところ、福岡県に本店があるわけではなく、東京都内に11店舗を展開するラーメンチェーンでした。

出店しているのは、大手町や丸の内や九段下などの大きな街ばかり。ほとんどの店が駅チカのビル内やオフィス街近辺などの、人通りの多い立地にあります。

親会社の株式会社M・R・Sは、「博多らーめん由丸」のほかに、アメリカNY発のレストラン「Bubby's(バビーズ)」や、シンガポールで人気の4店が集まったレストラン「シンガポール・シーフード・リパブリック」などを運営しています。

一見するとジャンルがバラバラなのですが、「その土地ならではの名物料理を都心部で食べる」というコンセプトが共通しており、いずれも銀座や汐留、梅田や横浜など、アクセスが良い場所に店舗をかまえているあたりに、戦略を感じさせます。

博多らーめん由丸はほとんどのお店で正午までの替玉無料

「博多らーめん由丸」では、午前11時から12時までの1時間だけ「替玉無料」の施策を実施しています。


由丸の早得サービス。替玉・太麺大盛り、味玉無料(店舗によりサービス内容が異なる)(筆者撮影)

今回筆者が利用した店舗では、替玉もしくは太麺が大盛り、または味玉を無料でサービスという内容でした。



ラーメンは税込790円〜。つけ麺もあります(筆者撮影)

替玉も味付玉子も、単品価格は税込110円。どちらかのほうがお得ということはないので、好みと腹具合で選びたいところ。


とんこつつけ麺のかぼす風味つけ麺。こちらは朝11時からの1時間、大盛が無料になります(筆者撮影)

店舗によっては施策は違うようで、なかには替玉が何個でも無料になるという、替玉食べ放題サービスを実施しているお店もあり、「無限替玉」として、テレビやSNSなどでも頻繁に取り上げられているため、そちらをご存じという方が多いかもしれません。

1000円以下で食べられる、良心的価格のラーメンチェーン

「博多らーめん由丸」で一番安いのは博多らーめんです。チャーシュー2枚、きくらげ青ネギが載って税込790円と、800円を切っています。

物価高騰のあおりや、凝ったスープや具材で差別化された店が増えてきたこともあり、1000円オーバーがザラになってきた都心部のラーメン店のなかでは、比較的良心的な価格帯のお店と言えそうです。


由丸らーめん税込930円。具材はチャーシュー2枚、味玉、きくらげ、焼きのり2枚、青ネギ(筆者撮影)

今回は店名を冠したお店の看板メニュー、由丸らーめんをオーダーしました。価格は税込930円。具材はチャーシュー2枚、味玉、きくらげ、焼きのり2枚、青ネギです。1杯目は卓上調味料の味変なしで、シンプルにそのままいただきます。

スープはとんこつの旨みがしっかりと出てまろやかでクリーミー。独特の臭みも感じさせる、飾り気のない本物の味わい。つまりは何もトリッキーなことはしていない、昔ながらの王道のとんこつラーメンです。

麺は博多ラーメンでおなじみのストレートの細麺。細めではあるものの細すぎません。麺の硬さは硬い順に「粉落し→ハリガネ→バリカタ→カタ→ふつう→ヤワ」の6段階です。

ラーメンをオーダーした人のほとんどがバリカタを選んでいました。どうやらバリカタがこの店の定番の硬さのようです。ツルツルっとした舌触りと、しっかりしたコシと歯応え、小麦の風味を楽しみながら、すすりました。

そうなんです。「博多らーめん由丸」は、オリジナルのたれでアクセントとか、極細麺とか極厚チャーシューとか、そういう「うちの店ならではの個性」をあえて出していません。多くの人がイメージする博多ラーメンの最大公約数を、ラーメン鉢に体現したという感じ。

麺もスープもチャーシューも味玉もすべての要素がバランス良くきちんとおいしい。

チャーシューは脂身がジューシーだし、きくらげの食感はシャキシャキだし、味玉は黄身がとろとろでしっかり味が染み込んでいて、ひとつひとつが全部及第点以上なうえに、はやり廃りのない味をいつも提供してくれているのは嬉しい限りです。

替玉でお腹いっぱい、110円以上の満足感

スープをなるべく飲まないようにして、麺と具材をたいらげ、替玉を注文します。カウンターごしにスタッフに声をかけて1分ほどで持ってきてもらえました。小鉢に盛られた替玉の中央には青ネギが添えられています。


小鉢で提供される替玉。麺がくっつく前に大急ぎでスープに投入します(筆者撮影)

ここからは時間との勝負です。麺がくっついてしまう前に、卓上調味料の替玉タレをかけてほぐしてから、スープにドボンと落として、お箸で全体を馴染ませ、トッピングで紅生姜を添えました。


替玉タレで麺をほぐし、スープの味が薄くなるのを防ぎます(筆者撮影)

替玉した2杯目は、1杯目とはまた違ったおいしさ。ちょっと冷めたスープと替玉タレが混じり合って塩気の角が立ち、油っぽさがひっこみ(若干)スッキリした味わいに変化。具なしのため、麺の味をよりしっかりと確認することができます。

後半は、卓上調味料の味変を楽しむフェーズへ。フライドガーリックやすりゴマを入れて香ばしさを、ラー油を垂らして辛味を、お酢ならさっぱり感をプラスできます。より実験的に、自分好みに味に仕上げていくうちに、ラーメン鉢はからっぽに。


紅生姜に、フライドガーリックなど、味変を楽しめる卓上調味料たちも充実(筆者撮影)

お腹いっぱい、大満足の昼ごはんを兼ねた、遅めの朝ごはんとなりました。

回転率が上がる魅力的な施策

今回訪問したのは平日の午前11時30分。この日も朝からそこそこの繁盛っぷりで、40席ほどある店内には、すでに10人以上が着座し、ラーメンをすすっていました。その全員が男性で、早めの昼ごはんを食べているワイシャツ姿と、夜勤明けか休日らしきカジュアルウェアが半々です。

カウンター席では1人客が黙々と、テーブル席では2人連れのサラリーマンがしゃべりながら食べています。なかには、ビールをひっかけながらラーメンという猛者も交じってはいるものの、長居する人はほぼおらず、食べ終わったら即出ていくというタッチアンドゴースタイルの人ばかりです。

1人入店すれば、1人出ていくというリズムを保っていた店内ですが、11時45分頃に立て続けにサラリーマンと思しき男性客が入店し、店内はほぼ満席になりました。「ちょっと早めに店に入って、替玉無料で食べてやろう」という、常連客たちのようです。


朝11時からの1時間、ラーメンの替玉もしくは、絶妙な半熟具合の味玉が無料サービスになります(筆者撮影)

混み合う前にと会計を済ませ店の外に出て、近隣のラーメン店を見ながら帰路についたのですが、「博多らーめん由丸」はほぼ満席だったのに、他の店はまだほとんど席が埋まっていませんでした。

どうやら11時台限定のサービスには、ランチ客の入店時間を15分早め、ランチタイムの回転数を1回転増やしてくれる絶大な効果があるようで、お店とお客さんがwin-winな関係が垣間見えた朝です。

【その他も画像も!】「替え玉もしくは味玉が無料」「価格も良心的!」 博多らーめん由丸の「930円朝ラー」はこんな感じ

編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。


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(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)