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27日に迫った衆議院選挙、『news zero』はAIエンジニアの安野貴博さんチームとともに新たな試みを行います。AIを使ってインターネット上の選挙に関する声を分析し、“ネットの声”を見える化するものです。いったいどんなものが見えてくるのでしょうか?

■AIが分析 “ネットの声”を見える化

佐藤梨那アナウンサー
「27日に迫った衆議院選挙、『news zero』は新たな試みを行います。25日はこの試みに力を貸してくれた安野貴博さんにお越しいただきました。安野さんはAI(=人工知能)エンジニアでいらっしゃいまして、7月には都知事選に立候補し、15万票あまりを獲得して注目されました。その安野さんのチームと開発したのが『zero選挙×生成AI “ネットの声”を見える化〜ブロードリスニング〜』です」

「どんなものか見ていきます。さまざまなカラーで色分けされた地図が出てきました。実は選挙戦がスタートした今月15日から4日間でSNSの『X』に寄せられた『衆院選』や『選挙』に関する投稿を収集し、3万8056件をAIが分析しました。『似たような意見』を近くに寄せて色分けしているんですが、安野さんこれで何がわかるんですか?」

安野貴博さん AIエンジニア
「たくさんの点々が見えますが、これ1つ1つがSNS上に投稿された『意見』を表しています。これまでメディアが街でみなさんの声を聞こうとしても一人一人聞くのは限界がありました。ですが、こうしたブロードリスニングのような技術を使うことで、この4日間にXに投稿された『選挙』に関する声を大量に拾い上げてきて、AIで分析をすることができます。この選挙の期間にどんな『議論』が行われたのか、全体像をわかりやすく、すぐに把握できるというものになっています」

佐藤アナウンサー
「視聴者のみなさんもパソコンやスマートフォンで見て触ることができますので、『zero選挙』の公式サイトトップページから一番下までスクロールしていただき、バナーをクリックしてご覧になってみてください。スマートフォンの場合は横向きにするのがおすすめです」

■近い意見を集めて色分けし、わかりやすく

佐藤アナウンサー
「地図に戻りますと、それぞれのタイトルもAIが『声』の傾向を解析して自動的に付けたものです。紫色ですと『選挙活動と有権者の関心』。ピンク色は『選挙区の選択肢と候補者への不満』。緑色は『投票参加の重要性』となっていますが、安野さんこれは?」

安野さん
「(地図の)一つ一つの点が意見になっているんですけど、例えばこの意見を見てみましょう。点に見えますが、実はその裏には『Z世代は政治家に自分たちの意見を反映してもらうために選挙に行くべきだという意見がある』が反映されていて、このようにたくさんの意見を近くのもの、似たような意見をまとめて色分けをしてくれているという形になります」

佐藤アナウンサー
「(点)一つ一つが意見だということなんですが、全体の傾向としては何がわかるんでしょうか?」

安野さん
「色がさまざま見えていますが、真ん中の紫の一番大きいところ、これはいろんな意見が混ざっているんですが、この周辺に特に見るべきものが詰まっていると思います。例えばピンク色のところですと、選挙区の選択肢がいろいろあって、どの候補者にしようかという話題があります。オレンジ色のところは『経済政策と税制改革への関心』。これは政策の中身について議論がされているものです。全体を見ましても政策についてはいろいろ語られているんですが、その中でも特に経済政策が多く語られていることがわかります」

■自分の好みの意見以外も把握しやすくなる

佐藤アナウンサー
「このブロードリスニングを使ってどういうことができると考えているんですか?」

安野さん
「みなさんがSNSで意見を見るときは、『おすすめ』のタブから見ることが多いと思うんですが、これは自分が見そうな意見ばかりが流れてくることがあるんですね。いわゆるフィルターバブルと呼ばれる問題がありまして、自分の好みの意見に偏りがちであると。ですが、このブロードリスニングは好む好まないにかかわらず、どんな議論が盛り上がっているのか、わかりやすく把握できます。こうすると気づかれにくい小さな声も『これいい意見だね』というのを見つけるきっかけになりますし、政治家も新しい初めてのアイデアに気づくチャンスにすることができます。私も都知事選でまさにこういった仕組みを使いながらいろんな意見を見て、こういう意見があるんだなということを参考にしておりました」

佐藤アナウンサー
「ぜひ、こういった意見を一つ一つ見ていただきたいんですが、どういった声があるのかピックアップしました。まず『選挙活動と有権者の関心』では、『今回の衆院選は非常に重要であり、特に子供のいる家庭には投票に行ってもらいたいという意見』、『今年の選挙では鹿対策に力を入れてくれそうな候補者に投票しようと考えている』ですとか、『初めての衆院選で選挙権を行使するために調べているが、自分の知識不足を痛感している』という声もありました。今回初めて一票を投じるという若い有権者も意見の1つを出しているということですね」

安野さん
「初めての投票は、なかなか難しいものだと思います。本当に自分自身でいろんな政党や候補者が言っている意見を見比べながら自分の考えを決めていただければと思いますし、今回のこのような試みも、そういった人たちの情報の助けになればと思い、私たちもやっております」

佐藤アナウンサー
「一方、『投票参加の重要性』というエリアでは、『若者に選挙に行くことを勧める意見もあるが、若い頃は選挙に関心がなかった』という声もあります。あと、これはアイドルファンの人でしょうか。『櫻坂の投票を通じて、選挙での投票の重要性を学んだという意見』といったものもありました」

佐藤アナウンサー
「そして、地図の中には『選挙カーの騒音問題』というエリアもありまして、『通話やライブ配信中に選挙カーが通りかかると、場所が特定される可能性があるため注意が必要である』というSNSならではのユニークな意見も見られました」

「また、『白票の意義と影響に関する議論』では、『自分の選挙区の候補者に対して不満を持ち、白票を検討している』という意見もありました。安野さんは、こういった意見をどう見ていますか?」

安野さん
「白票を入れることによる影響というのは賛否両論あるので、これはしっかりと把握をしたうえで投票していただきたいと思いますが、私が思うのは、この白票を投じたということの裏に有権者がどういった思いで白票を投じているのか、それがなかなか選挙という仕組みだけだと見えてこないという問題意識があります。まさにこういったブロードリスニングの活動を通じて、そういった有権者の裏にある思い、投票の行動の裏にある思いを見ることができるのではないかと思っています」

■「間違い」や「フェイク」も 活用時の注意点

佐藤アナウンサー
「こういった意見を見ていきましたが、いくつか注意していただきたい点もあります。まず、今回のブロードリスニングで対象にしたのが、『Xに投稿された声』です。世論調査のような幅広い声を拾っているわけではありません。あくまでネット上の議論であることには注意が必要です」

「また、誹謗(ひぼう)中傷などは自動的に取り除く処理をしているんですが、投稿された声をAIが分析しているため、『間違い』や『フェイク』をそのまま反映してしまうということがあります。このような注意点もあるんですが、安野さん、27日の衆院選当日はさらなる挑戦を考えていると?」

安野さん
「そうなんです!投票が締め切られた午後8時直後の投稿を集めてきて、素早く解析して、選挙に関するネットの声というのを速報で『見える化』したいと思っています。今回の選挙結果を有権者はどう見ているのか。ネットの声が見えてくるものがあるはずだと思っています。みなさんもぜひ触れてみてほしいと思います」

佐藤アナウンサー
「当日どんな声が集まるのか、ブロードリスニングにもぜひご注目ください」

(10月25日放送『news zero』より)