(谷 琢磨さん提供)

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ロックバンド「実験台モルモット」「ハイダンシークドロシー」のボーカリスト・谷琢磨さん。

ミュージシャンとしての活躍だけでなく、2児の父親でもあり、ロリィタ女装モデルとしても活動し、その美貌にネット上でも「リアル美少女お父さん」など話題になった。そんな谷さんに、なぜロリィタを着始めたのかなど話を聞いた。

今後どうなっていくのか、未来の自分を楽しみに

谷さんは1977年生まれ。3歳からピアノを15年、声楽を18年習う。リヴァプールへの留学経験もあり、ここでは腹式呼吸の歌唱法ではなく、「共鳴腔」(体の中で声が反響する空洞部分)に声を増幅させる歌い方をトレーニングし、現在の歌い方を習得した。帰国後、ミュージックステーションなどのコーラス隊の指導を担当したことも。また、フジTV「バイキング」女装コンテスト優勝や、イラストレーターとしての活動もある。

――まずはなぜロリィタを着始めたのか、きっかけはあったのでしょうか。

谷 琢磨:僕は、20代の頃からボーカリストとして着飾ることなく普通の男性服を着用し、ステージに立っていました。

しかし、33歳になったある日、知人から「フリーペーパー用の撮影のモデルが熱を出して足りないので、ロリィタ着てほしい」と言われて、引き受けた事がきっかけでロリィタを着るようになりました。

それまでスカートをはいたことはなく、撮影はとても緊張しましたが、新しい自分に生まれ変わったような新鮮な気持ちになったことを今も覚えています。

また、そのフリーペーパーはとても好評で、いろいろな人から撮影のお話をいただけるようになりました。

そこから、着用する機会が増え、それ以降、ロリィタ洋服のブランド様からもご依頼をいただき、お仕事としてロリィタ服を着る機会が増えて、今に至ります。

――ロリィタを着るために心がけていることや、努力していることはありますか。また、メイクはそのようにして勉強したのでしょうか。

谷 琢磨:もともと、ロリィタ洋服のモデルとして着始めたものなので、着用するときは「自分かわいい!」という精神ではなく「お洋服かわいい!」という気持ちで着ています。

撮影する際は、その服の魅力をどう引き出せるかを意識しています。メイクや髪の色を変えたり、手や髪で着用品を隠さないよう気をつけたり、洋服に光をしっかり当てて、隅々までよく見えるように心がけています。

最初、メイクはロリィタ服でステージに出る際に、プロのメイクさんが施してくださっていました。その後、メイクさんから教わり、直接自分でもできるように勉強しました。主に、顔のバランスを整える方法としてチークやアイライン、シェイドハイライトで元の形が変わるくらいの変身メイクをしています。

――谷さんがロリィタ服を着るようになって、家族の反応はどうでしたか。

谷 琢磨:僕は、幼少の頃、女の子タイプのワンピースを着せられていたりしていたことと、女性用の洋服を着るきっかけがお仕事だったため、当時一緒に暮らしていた母親への理解も得やすかったです。なので、そのまま自然と普段着としても着用するようになっていきました。

結婚するときもこの見た目のままでしたし、子供が生まれてからもずっとこの姿なので、新しい家族たちにも自然と受け入れられている状況です。

ただ、今後、娘が大きくなって「お父さんスカートはいてるの嫌!」と言われたら、やめると思います(笑)。その時はまた、家族に受け入れられるような新しい自分を表現していけたらいいなと思っています。

――谷さんの歌声も女性のような高い声ですが、高い声で歌うのは見た目を意識しているからなのでしょうか。

谷 琢磨:もともと3歳からクラシックの声楽を習っていて、その時からの訓練の積み重ねで高い声を出し続ける方法を身につけました。あまり喉に負荷をかけず響きの足し引きで調整する歌い方なので、寝起きでも風邪を引いても普通に歌えるのが強みです。ただ、心はとても声に乗るので、ストレスだけは気をつけています。実は低い声でも普通に歌っているのですが、イメージとして高い声だけで歌っているような印象を持たれているのかもしれませんね。

――今後、挑戦していきたいことはありますか。

谷 琢磨:現在、2人の娘がいるのですが、父親としての役割をしっかりと果たしながら、その中で自分らしさを上手に両立して、子どもたちと切磋琢磨しながら歩んでいきたいです。

僕は体と心に性別の違和感を抱えているというわけではないので、今後、いろいろと姿形を変えていくのかもしれません。どうなっていくのか未来の自分を楽しみにしながら、今できる努力を日々わくわくしながら頑張り続けたいと思います。