「今後は男性保育士を配置しません」保育園が保護者説明会を開催も“自主退職”が発覚し非難轟々〈墨田区もう一人の保育士による不同意性交事件〉

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東京都墨田区内の保育園(B園)に勤務していた山城広太容疑者(31)が男児に対する不同意性交容疑で逮捕された事件に絡み、B園の運営主体のC株式会社が10月16日夜、初めての保護者説明会を開いた。事件発生から2ヶ月余り、警視庁の強制捜査を経てようやく開かれた説明会では運営側が保身のための「予防線」を必死に張ろうとする姿勢ばかりが目立ち、幼な子を預ける保護者たちの怒りが爆発した。

〈画像〉マスクをとった山城容疑者の素顔

昼寝の時間帯に防犯カメラの死角で…

説明会には理事者側としてC社の社長ら6人に加え、B園の女性園長も出席し、午後6時30分に開会した。

保護者は約30人が出席し、予定を1時間超える午後9時ごろに終了した。

しかし配布された説明会資料にはプライバシー保護名目で録画や録音を禁じたり、SNS発信を制限する「お願い」が明記され、社長も質問にしきりに首を傾げたりチグハグな答えを繰り返すなど、全体的に保護者の神経を逆撫でするような内容だったようだ。

集英社オンラインが入手した説明会資料の第2項目には「山城容疑者が逮捕された経緯」として8月16日の「事件発生」から10月9日の「逮捕連絡」までを掲載。

これによると、8月20日に被害男児の保護者からB園長に相談があり、山城容疑者を出勤停止にし、同29日に保護者に山城容疑者を「異動」したと通知。

翌30日に警視庁から山城容疑者の捜査開始の連絡が入り、9月5日に任意同行、同17日に「本人からの申し出により、山城容疑者が退職」、10月9日に警視庁から山城容疑者逮捕の連絡が入ったと明記されていた。

要するにB園が被害相談を受け、警視庁が捜査を開始しているにもかかわらず山城容疑者を「解雇」せずに「辞職願」を認めていたことになる。

また資料は8月16日発生の「事件の内容」について、次のように列挙した。

・当日は台風の接近により園児数も少なく、合同保育を実施
・昼寝で寝付けない園児を連れて山城容疑者が隣の保育室で遊ぶ
・山城容疑者が死角を作り園児と遊ぶ
・死角のため防犯カメラにその様子は映っていない
・遊んでいた時間は1時間程度で、その間に園児や他職員の出入りはあった
・昼寝時間の終了と共に、起床した園児と合流する

こうして発生した「事件」の防止策として資料に明記したのが「当園には男性保育士を配置しない」「防犯カメラの増設で死角を減らす」「不定期な園内巡回」「園から本部への報告の徹底」「保護者が利用できる相談窓口の設置」「研修の強化」の5項目。

さらに「在園児・保護者の心のケア」としてカウンセリングや相談を実施するという文言もあった。

「自主退社というのは退職金が目当てじゃないか?」 

質疑応答では男性保護者から、事件発生から2ヶ月後に説明会開催という遅すぎるタイミングの指摘があり、これについて社長は「当社の調査では白黒をつけられない状況で警察の捜査が始まり、以降は公表を避けるよう(警察から)指示があった。逮捕に至ったことでその制限がなくなり、説明会の場を設定する流れになった」と回答。

しかし、その説明会の通知も逮捕から1週間後の10月15日だったといい、参加者が「ほとんどの保護者は報道内容を見て、その間にもかなり不信感を募らせていたはず。個別に電話などで連絡して事情を伝えるようなことがなぜできなかったのか」と詰問する場面もあった。

また、再発防止策にあげた研修強化の内容説明を求められた社長はこんな風に答えたという。

「当社には約2000人の従業員がいて、そのうちの50人程度が男性の保育士。男女を分けるのは本望ではないが、こういう事件が起こった以上は男性保育士専用の研修強化をしていきたい。女性の保育士に関しての研修も継続的にやっていくし、本来は『死角になるとかならないとか』の話ではない」

山城容疑者は2019年からB園で勤務しており、これまでにも同様の犯罪を起こしていた可能性はありうる。また、女児に対してもわいせつ行為をしていた懸念を表明した保護者に対し、出席した園長はこう答えたという。

「山城容疑者は男の子が好きなので」

B園は事件発生を認知し、警視庁が捜査を開始したにもかかわらず山城容疑者を解雇せずに本人からの辞職願を受け入れた。

これについて男性保護者の一人が「自主退社というのは退職金が目当てじゃないかと思ってるんですが? 自己退社なら退職金が出て、懲戒解雇なら退職金が出ないっていう理解であっていますか?」と問いただすと、C社の担当者は「そのようになってしまいます」と答えたという。

また、事件を起こした運営者として、責任者の処分などについて検討しているかを問われた社長は、「われわれとしては安定した園づくりが最良の責務を果たすことと考えており、誰かを処罰することは現時点で考えていない」と首を傾げながら答え、「そういう企業風土が問題なんじゃないのか」と逆ねじを食らい、頭を下げたという。

二度とこのような犯罪が起こらないよう、運営企業の体質を改めて見直す必要があるのではないか。

#3に続く

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班