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●日本料理店『賛否両論』店主・笠原将弘さんが「カンロ飴」を使った和食レシピ3品を考案。試食会で公開されたその3品と、笠原さんが語った和食観をレポートします。

 来年、発売から70周年を迎えるカンロ株式会社のロングセラーブランド「カンロ飴」。砂糖、水飴、しょうゆ、食塩というシンプルな原材料を使った伝統的な味わいは、世代を超えて幅広く愛されています。

今回味わったのは和食の3品!

 そのカンロ飴を調味料代わりに使ったレシピの数々を「カンロ飴食堂」として、SNSや料理本で紹介してきたカンロが、日本料理店『賛否両論』店主・笠原将弘さんと初コラボ。笠原さんが提案するカンロ飴を使ったレシピ3品を味わいつつ、「和食は簡単な料理!」と説く和食観を伺いました。

「みなさんがイメージする和食は甘じょっぱい味、カンロ飴と同じ」/笠原さん

「肉じゃがとか筑前煮とか、みなさんがイメージする和食はだいたい甘じょっぱい味、カンロ飴と同じですね」(笠原さん)

――今回、キャンデイーメーカー(カンロ)と和食料理店(賛否両論)がタッグを組むことについて、最初にお話が来たときはどう思われましたか?

笠原将弘さん(以下、笠原さん):カンロ飴は昔から知っていましたが、正直なところ、「飴で料理を作ってください」と言われてもピンと来なくて、最初は難色を示したんです。でも、レシピブック「カンロ飴食堂」をいただいて説明を受けたら、確かにカンロ飴の原材料である砂糖、水飴、しょうゆ、食塩は全部日本料理で使う調味料だなと。それでできている飴だったら料理に使えると思って、一気にレシピを考えました。飴はなめるだけのものだと思っていたので、料理に使えると知らず勉強不足でした。

今回のレシピには「塩カンロ飴」(写真左)と「カンロ飴」(同右)を使用

和食作りはとっても簡単! カンロ飴を入れるだけで味もきまります

「和食は自分たちの国(日本)の料理。敬遠せずに作って食べて欲しいです」(笠原さん)

――3~12歳のお子さんと一緒に住んでいる男女計1000人を対象に行ったインターネット調査によれば、子供に和食を出す(お弁当に入れる)と「残しがち」だと感じている人が半数近く、「嫌がる」と感じている人が3割を超えているという結果が出ました。

笠原さん:日本料理屋の僕からしたら、悲惨な結果です(苦笑)。なぜそこまで嫌がられているんだろうと思うんですが……。まず、最近の若い親御さんたちが和食を作らないので、子供は食べる機会がないですよね。学校の給食も同じで、子供はハンバーグやカレー、スパゲッティが好きで、栄養士さんたちは給食を残されたくないから、そういうメニューばかりを出すわけです。
だから和食がダメなわけじゃなくて、子供たちは食べる頻度が少ないから、和食がどういうものかわからない。ということは、ご家庭でしょっちゅう作ればいいんです。たまにしか出さないと「いつものハンバーグがいい」とか言われちゃうのでね。

――和食を作らない理由として、「手間がかかる」というのがトップに挙がっていますが、どう思われますか?

笠原さん:和食が一番簡単なんですよ。例えばハンバーグなら、肉をこねて、そこに野菜を炒めて入れて……面倒じゃないですか! だったら、肉じゃがの方があっという間にできます。野菜切って煮汁に入れて、カンロ飴を放り込めばできるんですから。和食に比べたら、ロールキャベツやコロッケの方が僕にとっては面倒で大変ですね。

――笠原さんは農林水産省認定の「和食給食応援団」のメンバーでもあります。今回のコラボはお子さんたちに和食の魅力を知ってもらう目的もありますか?

笠原さん:「今日は飴で作ったんだよ」と言えば、お子さんたちも興味を持つはずなので、これが少しでも和食人気に繋がるといいなと思っています。余った飴はなめればいいんだし(笑)。

――確かに、料理を作りながらお子さんたちに「飴入れて」と言ったら、手伝ってくれそうですよね。

カンロ飴を使って前菜、主菜、ごはんものが完成!

カンロ飴×賛否両論のコラボレシピによるメニュー(写真左から時計回りに)「たたきごぼうとえのきの甘酢漬け」「鶏そぼろ三食丼」「鶏とレンコンとしめじの甘ダレがらめ」

――今回のコラボレーションの3品はどういった構成ですか?

笠原さん:前菜、主菜、ごはんものというイメージです。前菜の「たたきごぼうとえのきの甘酢漬け」には「塩カンロ飴」を使って、飴と同じく全体を白のイメージで仕上げました。これはおせちの定番。おせち料理は昔ながらの甘じょっぱいものが多いので、味付けにカンロ飴がすごく使えると思いますよ。

塩カンロ飴を使った「たたきごぼうとえのきの甘酢漬け」。シャキシャキとした歯触りに、飴の原材料である昆布エキスとごま油の旨味が絶妙に効いた上品なおいしさ

――おせち料理はかなりハードルが高いイメージでしたが、飴で味付けするとハードルが下がりますね。

笠原さん:そのマイナスイメージで和食の人気がなくなるんですよね(笑)。「塩カンロ飴」には、水飴、砂糖、食塩、しょうゆの他に昆布エキスも入っているので、旨味があって、調味料としてすごくいいです。甘酢漬けはごぼうだけで作ったり、他のきのこで作ってもいいですよ。

香ばしく揚げた鶏肉やレンコンが甘いしょうゆだれと絡んだ、大人も子供も大好きな味わいの「鶏とレンコンとしめじの甘ダレがらめ」、味の決め手はしょうゆの「カンロ飴」

――続いて「鶏とレンコンとしめじの甘ダレがらめ」について教えてください。

笠原さん:しょうゆの「カンロ飴」を使って、甘じょっぱく仕上げています。これはドンピシャでお子さんが好きな味、嫌いという子はいないと思って間違いないです。このメニューは、山口県の給食の人気メニュー「チキンチキンごぼう」をヒントにしています。だからお子さんは絶対に好きな味。ごぼうは前菜で使ったので、今回はレンコンとしめじに変えました。

「鶏そぼろ三食丼」には2種類のカンロ飴が使われ、インゲンにはかつおぶし、具材とごはんの間には昆布を重ねて隠し味に。彩りも鮮やか! [食楽web]

――ごはんものの「鶏そぼろ三食丼」には2種類のカンロ飴をどう使ったのでしょう?

笠原さん:鶏そぼろといんげんにはしょうゆ味の「カンロ飴」、卵の方には色がつかないように「塩カンロ飴」を使いました。

――料理の計量が苦手という声もあるので、飴を入れるという手軽さがとてもいいですね。

笠原さん:僕たちプロは、味付けを計量ではなく、比率で覚えています。例えば、出汁が5に、しょうゆとみりんが1:1って覚えれば、お玉に出汁を5杯、しょうゆとみりんは1杯ずつでいい。何人前作っても比率は変わらないから、意外とその方が便利で、味もブレません。何gとか面倒だったら、そういうやり方がいいですよ。

――この3品は12月2日~25日まで「賛否両論」で提供されます。コラボレーションへの思いを聞かせてください。

笠原さん:若い世代やお子さんたちに1人でも和食ファンが増えれば、少しは日本料理界の発展にも繋がるかなと思っています。ぜひ日本料理にあまり馴染みのない方や、お子さんと一緒にご家族にもお店に来ていただきたいですね。

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 紹介した3品は12月2日(月)~12月25日(水)まで、日本料理店「賛否両論」で提供。店舗の予約は11月1日(金)から始まります。また、笠原さんの公式YouTubeチャンネルと「カンロ飴食堂」の公式サイトでレシピを公開中。飴を使った日本料理の味わいとは? ぜひ一度試してみてください。

(撮影◎編集部、文◎松永加奈)

●DATA
カンロ飴
https://kanro.jp/pages/kanroame/

カンロ飴食堂
https://sweeten.kanro.jp/kanroameshokudo/list/contents_type=131

賛否両論店主・笠原将弘の公式YouTube
https://www.youtube.com/@sanpiryoron