「突然パソコンが青くなり…」尾木ママが騙された！あなたの身の回りにある「ハッキング手口」
「そんなわかりやすい手口に騙されるなんて」-詐欺被害を耳にして、自分は無縁と思う人も多いだろう。しかし、最新のテクノロジーを駆使すれば、あなたの個人情報を盗むことなど朝飯前なのだ。
前編記事『思わぬところから狙われる…日常に潜む「最新サイバー詐欺」の手口と手法』より続く。
尾木ママの悲痛体験
サイバー詐欺で気をつけなければならないのは、フィッシング詐欺だけではない。ここ数年で増えてきているのが「サポート詐欺」と呼ばれるものだ。あの尾木ママ（77歳）も実際にサポート詐欺の被害にあった一人。尾木ママが当時の状況をこう回想する。
「夜11時頃にいつものようにパソコンでWebサイトを見ていたら『ビーーー！』と甲高い警告音が鳴り、画面全体が青くなったのです」
そこには海外のIT企業からのメッセージとして、「あなたのPCはウイルスに感染しました。解除せず放置しているとウイルスが拡散されます」と書かれていたという。
文面をさらに読むと、サポートの電話番号が記載されていた。気が動転していた尾木ママはすぐに電話をかけてしまう。
「電話口に出たのは若い女性。『サポートプランを契約すれば解除できる』と言われました。ただし、あと15分以内でなければ間に合わず、パソコンが完全にウイルスに感染してしまうと言うんです」
サイバー詐欺への有効な対策
指定された支払い方法はプリペイドカード。金額は2万8000円だ。尾木ママは慌ててコンビニへ走った。
「汗まみれになって家に戻り、プリペイドカードの番号を電話口の女性に伝えると、警告音が鳴り止み、画面も元通りになったのです。元に戻ったことに安堵して、電話口の女性にお礼のお辞儀までしてしまいました。しかし、後に事の顛末を家族に話したところ詐欺だと判明。『なんでおカネ払っちゃったの!?』と怒られてしまいました」
被害がそれだけで済んだのは不幸中の幸いだったかもしれないが、一度騙された人のもとには、次々と悪意のあるメールが送られてくることもある。NPO法人デジタルリテラシー向上機構・代表理事の柳谷智宣氏はこう警鐘を鳴らす。
「こうしたサポート詐欺や、セキュリティ警告詐欺は、古典的ではありますが、いまだに被害が絶えません。ネットメディアなどに『続きを読む』と書かれたバナー広告を出し、クリックすると詐欺ページに飛ばす最新手口も出てきていますから注意が必要です」
メールやメッセージ、Webサイトで、少しでも怪しいと思ったら立ち止まること。個人情報を聞かれる場合は、さらに用心しよう。
ネット上で一度盗まれたものは取り返せない。サイバー詐欺の被害に遭っても、現状では泣き寝入りするしかないケースがほとんど。自分の身は自分で守るしかないのだ。
あなたの身の回りにある「ハッキング手口」
QRコード盗み
店舗などに貼られているQRコードを犯罪者がニセのQRコードに貼り替える手口。客は店に支払ったつもりが、犯罪者のアカウントに入金されてしまう。バイト店員がグルになっていることも
SIMスワップ
犯罪者がなんらかの方法で入手した個人情報を使って、本人になりすまして携帯電話会社に連絡しSIMカードを再発行してもらう。被害者のスマホは電話もネットも使えなくなってしまう
指紋ハック
指紋は物理的に採取するほか、高解像度の写真で撮影すれば画像から複製することも可能。たとえばピースサインの写真からでも、ニセの指紋をゼラチンやシリコンでつくることができる
フィッシング詐欺
メールやメッセージでニセサイトに誘導し、ログインさせる手口が代表的。それ以外に、ブランド品を安く買えるように偽った詐欺サイトで、住所や銀行口座の情報を記載させる方法も
サポート詐欺
「ウイルスに感染しています」などの文言とともにけたたましい警告音が鳴って、画面が固まったように偽装される。画面には電話番号が記載されており、電話をすると金銭を要求される
フリーWi-Fiハック
イビルツイン（悪魔の双子）と呼ばれる手口。正規のフリーWi-Fiに似せたニセのネットワークを作り、利用したユーザーの通信を傍受。IDやパスワード、クレジットカード情報が盗まれる
「週刊現代」2024年10月19日号より
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