堂本剛が”深すぎるインタビュー”で明かした「綾野剛のアドリブ」「平和といまの時代」「奈良”マル秘”計画の中身」…！
堂本剛が27年ぶりに単独主演する映画「まる」が10月18日に公開され、さっそく話題となっている。
傲慢な人気現代美術家のアシスタントを淡々と務める沢田(堂本)はある日、交通事故がもとで負傷し失職。自宅の床の蟻に導かれるように〇(まる)を描くうちに、日常生活がどんどん〇に侵食されていくーーという不可思議なドラマだ。
その堂本が雑誌『日本映画navi vol.114』(産経新聞出版)のインタビューで語った〇をめぐる深遠な内容が、いま「人生を深く考えさせる」と評判に。堂本が語る共演者、綾野剛や藤崎ウィンとの知られざる裏話のほか、出身地の奈良市長へのまさかの“逆オファー”など読みどころ満載のインタビュー記事を一部抜粋・再構成してお届けする。
心を強く揺さぶる綾野剛の「アドリブ」
沢田の隣人の売れない漫画家・横山役の綾野とは密に話し合いながらシーンを作りあげていった。
劇中で沢田が家の壁にもたれて泣くシーンでは、その壁の向こうには横山がいる。
「僕の中では、その時の沢田は一気に目まぐるしく感情が動いたあとの、全ての荷物を降ろした状態っていうか。あと壁にもたれてはいるんですけど、なんか横山の背中にもたれているぐらいの感じというか。そしてそんな時に左斜め上には、いわゆるかつての沢田が描きたくて描いていた絵が飾られていて。それを見た瞬間にもう我慢できなくて泣いちゃうっていう。そういうストーリーを僕の中では作っていたんです」
そんな中で綾野がアドリブで取ったある行動に、沢田も見る側も強く心を揺さぶられることになる。
「素敵なシーンですよね。あれももちろん僕がやってと言ったわけじゃなく、彼が自然とアプローチしてくれたものだったわけで。この物語の中での横山との芝居は本当に重要なものでしたけど、さっきも言った通り僕は受け身な役だったので、それが難しくて。どういうふうに受けるべきかを悩んだし苦労もしましたけど、それらを全部シェアして抱えてくれた俳優さんが彼。『剛さん、この方がやりやすいですか？』という感じで寄り添ってくださったので、とても伸び伸びと芝居ができました」
尖った正義感をマイルドに
また怪我した利き手をかばいながら働き始めたコンビニエンスストアで一緒に働くことになるミャンマー出身のコンビニ店員・モー（森崎ウィン）との交流も沢田の心が動いていく一つのきっかけになっていく。
「日本人客に絡まれたモーに沢田は『あいつらがバカでごめんね』って言うんですけど、やっぱり彼の中には真っすぐな正義感のようなものがあるんだと思います。だから人が人をバカにしている感じが許せなかった。でも、それでもモーは沢田に『人間丸くないと』って言ってくれる。沢田にとっては彼が居てくれることによって、自分に起こっているさまざまな出来事をマイルドにすることができていたというか。より深く考えることができていたんじゃないかなと思っています。
本当に心を豊かにしてくれてる人物でもあるなと思いますね。それぐらいにモーは沢田にとって優しい存在で、横山に次ぐ隠れ重要人物です」
〇(まる)は「ハラスメント」ではなく「平和の象徴」
人生で直面した問題に関して正解であってもなくても、人はいつも巡り巡って一つの答えに立ち戻っていく。
「なんか今、メールの文末なんかに句点『。』を付けると若者に高圧的な印象を与える『マルハラスメント』になるって話題になってるじゃないですか。僕は、◯は平和の象徴だと思ってたんですけど、そう捉えない風潮もある。そんな今の時代はすごい不思議だなと思ってますけど、だからこそある意味、この『まる』という作品の公開は、いいタイミングなのかもなって思いました。
沢田自身もそういう状況に陥ってるけど、気付けば◯って本当に結構あちこちにあるものなんですよ。やっぱり物事をうまく収めたり、つなげたりするときに重要な図形だよなとも思いますし。脚本の中にも『◯が世界を救う』って言葉が出てきますけど、あながちウソでもないと思うんです。やっぱり人には◯に吸い寄せられたり、興味を掻かき立てられたりする深い潜在意識みたいなものがあるんじゃないでしょうか。
それこそ僕らは一度、地球全体でコロナ禍というものを意識したじゃないですか。その時に丸くまとまれるチャンスだったのに、うまくいかなかった。そういう時代の後にこの『まる』という作品の撮影をしていて、現場は一丸となって進んでいる。こう考えていくと、ますます「◯（まる、丸）」って、なんか深いですね」
地元の奈良市で堂本参加の“マル秘”イベント構想中
堂本自身が好きな場所に好きなように「◯」を描いていいと言われたら？
「地元の奈良のどこか、めちゃくちゃどデカい広場。そこに『◯』を描いて、周りにイスとかソファーを置いて、みんなが向き合って座っていられるようなエリアを作る。で、『この広場はお互いを見つめ合うことの重要性や、理解し合うことの必要性をテーマに設けました』っていうちっちゃい看板が、読む人は読んでくれるけど、読まへん人は読まへんみたいな感じで立ててある（笑）。それぐらいがきっと、うるさくないですよね。
向き合わないと休めへんのやったらいいわって言って座らない人もいるやろうし、面倒くさい人は勝手に背中を向けちゃうやろうし。でも、周りを見てみたら、またその背中を向けちゃうこと自体が目立ってきて…みたいな。そういう、いろいろなことを考えるきっかけになる場所になったらいいですよね。この記事をたまたま奈良市長とかが読んでたら、すぐ始まるんじゃないですか？ 僕はオファーをいただければ、すぐにでも動きだしますよ。エリアがほぼほぼ鹿で埋まる可能性もありますけど（笑）、まぁそれはそれで平和でいいですよね。近所のおばあちゃん、おじいちゃん、ちっちゃい子も、保育園の先生も、観光客の人も。みんなが◯の中に向き合って座ってる光景って、すごく平和じゃないですか」
