スポニチ

写真拡大

 ◇ナ・リーグ優勝決定シリーズ第4戦  ドジャース10−2メッツ (2024年10月17日 ニューヨーク)

 ドジャースは17日(日本時間18日)、ナ・リーグ優勝決定シリーズ(7回戦制)第4戦でメッツに10―2で大勝。3勝1敗で4年ぶりのワールドシリーズ(WS)進出に王手をかけた。「1番・DH」で出場した大谷翔平投手(30)は初回に前日の最終打席から2打席連発の先頭弾に4得点もマークするなど躍動。5回途中2失点、8奪三振で先発の役割を果たした山本由伸投手(26)とともに敵地ニューヨークのファンを黙らせた。

 試合前、大谷は右足首を痛めて欠場するフリーマンから声をかけられた。「レイトショー(試合終盤に本塁打を打つこと)はいいから早めに打ってくれ」。前日は現地午後10時46分だった8回に最高地点42メートルのダメ押しの「摩天楼弾」。同僚からの言葉を胸に刻み、初回の打席に立った。

 すぐに快音が響く。エンゼルス時代に同僚だった左腕キンタナの2球目、甘く入ったシンカーを強振。前夜の打球角度37度とは対照的な22度で飛び出した打球は、あっという間に右中間フェンスを越えた。日本選手では09年のヤンキース・松井秀喜以来となるポストシーズン(PS)2試合連続アーチは、2打席連発で日本選手初のPS先頭弾。シティ・フィールドを埋めた4万3882人の大観衆は、午後8時9分に開演した“アーリーショー”に静まり返った。

 打った直後に自軍ベンチのフリーマンに左手人さし指を向けて喜びを表現した大谷はベンチに戻ると盟友に「打ったよ」と笑顔で報告。約束の一撃は本塁打では自身5番目の打球速度117・8マイル(約190キロ)の「ロケット弾」だった。

 前日に続き試合開始時点で気温11度と寒さが続くが、試合中は室内打撃ケージで振り込むなどコンディションを維持しながら結果を残している。試合のなかった15日に現地メディアにPSに入って走者なしの場面で安打が出ていないことを厳しく指摘されたが、26打席目で放った初安打が超速の先頭弾。それでも「基本的にやることは変わらない。それが1打席目でも、最後の打席でも集中して自分のやることに努めたい。走者がいても、いなくてもそこが一番大事」と涼しい顔で語る。

 大谷が打ち出せば相手はまともにストライクで勝負できない。2打席目以降はボール球で誘う攻めが続き3、4、6回は3打席連続で四球。後ろを打つ2番・ベッツが好調なこともあり、いずれも生還した。厳しいヤジで有名なニューヨークのファンを先頭弾で黙らせるとともに相手投手陣はビビらせ、チームを大勝へと導いた。

 今PSは打点を挙げれば5戦全勝。大谷は「敵地で昨日、今日といい野球ができている。継続して明日につなげたい。明日、しっかりと決めるという気持ちを持って全員で頑張りたい」と力を込める。敵地で2連勝を決め、自身初のWS進出まであと1勝。ショータイムの準備は整った。(柳原 直之)

 【大谷に聞く】

 ――打席でのアプローチは?

 「今までやってきたことをシンプルに継続している。多少、変える時はあるけど、今日は比較的良い打席が多かった」

 ――2番ベッツが4安打4打点。

 「塁上から(見て)常に状態が良さそう。彼が安打を打ったら本塁に還る準備をしたい」

 ――日本で多くのファンも試合をテレビ観戦している。

 「時間帯的に見られたり、見られなかったりすると思うけど、今日は由伸(山本)も良い投球をしたし、自分自身も活躍して(期待に)応えられるように頑張りたい」

 ――ここまでのPSを振り返り。

 「プレーできていることに感謝している。昨日、今日と敵地だったけど、敵地ならではの雰囲気や熱気が素晴らしい中で毎日やらせてもらっている」

 ≪突破率85%≫ドジャースは2勝1敗からの勝利でワールドシリーズ進出に王手。PSの7回戦制のシリーズ(ワールドシリーズ含む)で4戦目で3勝1敗としたチームは、過去93度のうち79度が勝ち抜いており確率85%。リーグ優勝決定シリーズに限れば39度のうち32チームが突破と確率82%だ。そのうち半数以上の17チームが続く第5戦勝利で一気にワールドシリーズ進出を決めている。

 ≪日本選手のPS先頭弾は初≫大谷の本塁打の打球速度の最速は118・7マイル(約191キロ)で今季2度計測。今季ナ・リーグ全体の本塁打の打球速度上位4番目まで大谷が独占。15年のスタットキャスト導入以降、ドジャースの選手の本塁打の打球速度も上位7番目まで全て大谷となっている。また日本選手のPS先頭弾は初で、2戦連発は09年ワールドシリーズ第2、3戦で打った松井秀喜(ヤンキース)以来、2人目。ド軍の選手でPS先頭弾は7人目だ。