開幕戦で勝利し、握手を交わす藤川(右)と狩野=2009年4月3日

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 阪神の第36代監督に藤川球児氏(44)の就任が決まった。そんな藤川新監督の素顔を紹介する。デイリースポーツ評論家の狩野恵輔氏は現役時代、バッテリーとして共に他球団と戦い幾多の修羅場をくぐり抜けてきた仲。ファーム時代から時間を共にしてきた狩野氏が藤川新監督の思い出などを語った。

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 就任会見で『運命』だと話されていた。藤川新監督自身、今回の要請を意気に感じながら、ファンに喜んでもらえるシーズンを見せてくれるはずだ。

 現役時代は2005年にリーグ優勝。当時、セットアッパー、リリーフとして見いだしてくれた岡田前監督の野球を踏襲しながら、熱い戦いを見せてくれると思う。05年と現在のチームが似ている部分は、レギュラークラスの選手がそろっている点。05年と照らし合わせながら来年のシーズンプランを描いておられるかもしれない。

 藤川新監督の人柄は『優しくて厳しい』。そして『心に刺さる言葉』を投げかけてくれるタイプ。視野の広い方。困っていそうな選手だけでなく、いろいろな選手に対して、ふとした瞬間にポロッと励みになる一言を発してくれる。私自身も現役時代にアドバイスをいただいた。

 同じ高卒出身で年齢は藤川新監督が2学年上。鳴尾浜での下積み時代は『常に1軍でプレーすることをイメージしながら野球に取り組みなさい』などの助言を頂いて励みにしてきた。

 プライベートでも、根っからの野球好きで一緒に食事をしていても、ずっと野球の話ばかり。『あの場面では、こうするべきだった』と野球の事が頭から離れない方だ。

 私とは、投手と捕手というバッテリーの関係だったこともあり、よく配球の話もさせてもらった。データが相手球団に残ることから、例えば1点差と3点差のリードを変えよう、といった話も。直球やフォーク中心の攻め方からカーブに比重を置いた攻め方をしよう、といった『先々の戦い』を見据えた配球論。こういった面も選手の成長の助けになるだろう。

 コーチ経験はないものの、外から阪神をはじめ他球団を見てきた経験は大きい。現役を引退されてからは、『球団本部付スペシャルアシスタント』を務めながら、評論家として外から野球を見てこられた。勉強熱心な方。培ってきた野球理論を必ず生かしてくれる。

 来年の2025年は球団創設90周年。各担当コーチと力を合わせながら、チーム一丸でリーグ優勝を達成されるシーズンを期待したい。