ものすごい重要道路に……。

川崎の新たな臨港道路にランプ追加へ

 国土交通省関東地方整備局は2024年10月、今年度3回目となる事業評価監視委員会を開催。川崎市で建設中の「臨港道路 東扇島水江町線」について進捗が共有されました。


建設中の臨港道路 東扇島水江町線(乗りものニュース編集部撮影)。

 この路線は川崎臨海部の埋め立て地「水江町」と、さらに海側の「東扇島」を結ぶ南北の道路です。

 幅400mある京浜運河をまたぐ斜張橋を建設中で、その中央径間(主塔と主塔のあいだの長さ)525mは、径間長で見ると横浜ベイブリッジや鶴見つばさ橋を超え、斜張橋としては日本3番目の長さになります。ただし主塔の高さは98.5mに抑えられます。

 災害時の物流拠点「首都圏臨海防災センター」も備わる東扇島へ通じる道路は、現在、首都高湾岸線(東扇島出入口)か、川崎駅側の千鳥町地区とを結ぶ「川崎港海底トンネル」しかありません。周辺の混雑緩和や災害時の代替路確保を目的に、川崎駅方面からの新たなアプローチ道路として臨港道路が造られています。

 現在、東扇島側のアプローチ部は全て完成しており、道路としての姿はかなり見えてきています。目下、京浜運河をまたぐ主橋梁部の橋桁などの上部工、水江町側アプローチ部の橋脚などの下部工が進められています。

 そして今回、東扇島側の国道357号東行きから、臨港道路の川崎駅方面へアプローチするためのランプ(ONランプ)が追加されることが分かりました。このランプは東扇島の西隣、「扇島」の土地利用転換方針を踏まえたものです。

着々と見据えている「扇島」の“開放”

 扇島のほとんどは製鉄所をはじめとするJFEスチールの関連施設ですが、同社はその製鉄所の高炉を2023年に休止し、土地利用の転換を進めています。臨海部の約400ヘクタールもの土地の再開発となることから、川崎市も「100年に一度のビッグプロジェクト」と称しています。

 この扇島は現在、本土側からの海底トンネル(水江町−東扇島)と扇島大橋(東扇島−扇島)のみが担っていますが、これらはJFEの「構内道路」という位置づけで関係者しか通れず、公道からのアクセスが存在しません。このため市は2028年度からの一部土地利用転換開始に向けた“最低限のアクセス”として、国道357号の扇島−東扇島間や、首都高湾岸線の新出入口などを整備するとしていました。


首都高湾岸線から見える扇島。製鉄所などが立地する(ドライブレコーダー)。

 臨港道路へのONランプ追加は、これによる東扇島への交通負荷に対応するものです。扇島の製鉄所周辺の「先導エリア」は「水素を軸としたカーボンニュートラルエネルギーの受入・貯蔵・供給の拠点」「高度物流拠点や港湾物流拠点の形成」とし、2030年の概成を予定しています。

 臨港道路の本線とOFFランプについては、前回評価から変更なしで「2028年頃」を予定。新設のONランプについては、「2031年頃」の完成を目指すとしています。