就任会見に臨む藤川球児新監督(カメラ・渡辺 了文)

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 藤川新監督は投手出身で、しかも球史に残るクローザーだ。一番難しい、勝ち試合の9回の3つのアウトを奪うのが役目だった。「一球の怖さ」を何度も思い知らされながら、火の玉と言われたストレートで真っ向勝負を貫いてきた。監督としても、大胆さと繊細さを兼ね備えた「守り勝つ野球」を見せてくれるのではないだろうか。

 阪神の監督は、熱狂的なファンと手厳しいメディアに囲まれた過酷なポジション。しかも引き受けたチームは昨季日本一で、今季も最後まで優勝争いを演じた。指導者経験のない新監督といえども1年目から結果を求められ、采配力に秀でた岡田監督の後任というのもやりづらい。だが、この環境もある意味、お手の物だろう。現役時代は勝ちゲームを引き継ぎ、打たれれば敗戦の責任を背負ってきた。プレッシャーに対する免疫は十分にあるはずだ。

 本人も攻撃面に関してのベンチワークは多少なりとも不安があるだろう。そこは信頼できるコーチとうまくコミュニケーションを取って進められるかどうかだ。失敗を恐れず、強い心でタクトを振るってほしい。(スポーツ報知評論家・掛布 雅之)