76分からピッチに立った小池龍。安定感のあるプレーを披露するも、チームを決勝に導く活躍は見せられなかった。写真:永島裕基

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[ルヴァンカップ準決勝第2戦]名古屋 1−2 横浜/10月13日/豊田スタジアム

 名古屋グランパスとのルヴァンカップ準決勝。ホームでの第1戦を1−3で落とした横浜F・マリノスは、敵地での第2戦を2−1で勝利するも、2戦合計3−4で敗れ、決勝進出を逃した。

 タイムアップの笛が鳴り、相手チームとの挨拶を終えた小池龍太は、目に涙を浮かべながらベンチに戻ると、顔を腕で覆って泣き崩れた。試合後、29歳のDFは目を赤くしながら、その想いを口にした。

「今日はサポーターのために、良い結果を届けることが自分たちの使命でしたけど、その想いが結果として表われなかったことがすごく悔しいし、彼らに申し訳ない気持ちです」
【画像】最後まで諦めず選手たちを鼓舞し続けた横浜F・マリノスサポーター!
 小池龍は昨年に2度の右膝の負傷で長期離脱。そうした苦しい時期に背番号13を支えていたのは、家族やチームメイトであり、クラブスタッフであり、そしてサポーターだった。だからこそ“彼らのために”という想いは人一倍強かったのだ。

「自分も苦しい時期を過ごしたなかで、彼らに支えてもらってきたので、彼らの力になれるようにと思っていましたけど、本当に残念です。現地にあれだけ多くのサポーターが来てくれたことは当たり前じゃないですし、そのなかで自分たちと一緒に戦ってくれたことをすごく誇りに思う。だから結果を出せなかったことが申し訳ない」

 横浜は1点リードしていた46分に同点弾を許した。後半の立ち上がりで、しかもセットプレーから。第1戦は前半だったが、同じく序盤にセットプレーから2点を失っていただけに、またも注意するべき時間帯と形から奪われた。小池龍は思わずベンチを飛び出した。

「失点はどうしてもあるけど、その失点の仕方が良くなかった。ディフェンスラインもハーフタイムが終わる時に、入りは集中しようって声をかけていたので。ただ、まだ何も諦める要素はなかったですし、まだまだいけるっていうことを伝えようと、ベンチから声をかけました」

 横浜は82分に植中朝日のゴールで勝ち越すも、反撃はそこまで。だが、サポーターは選手たちを拍手で鼓舞するとともに、ロッカールームに下がる時には大きなチャントを歌って見送った。そうした“彼らの想い”は、小池龍にも届いている。

「(水沼)宏太くんだったり、キーボー(喜田拓也)だったり、今日出られなかった選手や帯同していない選手もそうですけど、決勝に連れていきたかったって気持ちが自分としてはすごく大きいし、悔しい。
 
 でも、サポーターはまだまだ戦っていて、自分たちに力を注いでくれていることも再確認した。彼らに笑顔を与えられるように、そして自分もマリノスで戦えるという喜びを噛みしめながら、最後はタイトルを届けたい」

 横浜は国内タイトルという点では、天皇杯が残っている。トリコロールの意地を見せてほしい。

取材・文●金子徹(サッカーダイジェスト編集部)