元日に起きた能登半島地震の被害から立ち直ろうとしていた、町で唯一のスーパーマーケットも今回の豪雨で壊滅的な被害を受けました。しかし、「折れかけた心」に前を向く力を与えてくれたのが高校生のボランティアたちでした。

石川県輪島市町野町の「もとやスーパー」を襲う濁流。9月21日、近くを流れる町野川の支流が氾濫し、店の中にも人の背丈を超える2メートルの濁流が押し寄せました。

元日の地震以降も被害を受けながら休むことなく営業を続けてきましたが、今回は店内が泥に覆われ壊滅的な被害を受けました。この窮地に救いの手を差し伸べたのが、日本航空高校石川野球部のメンバーです。

もとやスーパー・本谷一知 社長「お願いします」

日本航空高校「とんでもない」

店内奥に押しやられた棚や商品…

9月26日、1、2年生約20人が本谷さんのもとへ「泥かきボランティア」に訪れました。スーパーの社長、本谷一知さんの次男、悠樹(ゆうき)さんは高校時代、航空石川の野球部員でした。

日本航空高校石川野球部2年・永井秀太さん「自分が1年の時の3年生が、本谷悠樹先輩だったのでたくさんお世話になりました。本谷さんのためにもしっかり手伝いたいと思います」

もとやスーパー・本谷一知 社長「縁のある方々に助けられて、本当に全てつながって助けてもらって、本当にいい国だと思います」

生徒たちは、店内の床一面に溜まった泥をスコップなどですくって、一輪車に乗せ店の外に出します。泥だらけの店内を通り慎重に外に運び出します。

日本航空高校石川野球部2年・櫻井成さん「自分たちは春のセンバツで応援してもらったんで、今度は自分たちが恩返しをしたい」

店内は泥だけでなく、押し寄せた水の力で商品や陳列棚などが重なり合うように店の奥に追いやられていました。

泥だらけのお金も…

生徒ら「無茶苦茶重い…」「いっせーのせ…」「もうちょい、もうちょい…」

取り出したものの中には、泥にまみれた大切なものも。生徒らが運び出した重さのある箱の中から千円札の束が出てきました。

本谷理知子さん「これレジ…ありがとう」

もとやスーパー・本谷一知 社長「完全にゼロになったので、逆に新しいもの、できやすいんじゃないかな。衣食住だけじゃ生きていけないというのは、地震のあとわかったので心の部分の笑顔のあふれる場所を絶対必要」

地域の縁と若い力を大きな支えに、もとやスーパーは住民のための居場所作りへ気持ちを新たにします。