(左から)浜辺美波、池松壮亮、吉岡里帆、仲野太賀、永野芽郁

写真拡大

 仲野太賀が主演を務める2026年放送のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』の新キャストが10月2日に発表された。

参考:仲野太賀、池松壮亮は「心の兄と思っている」 『豊臣兄弟!』会見で長年の絆を明かす

 仲野が演じるのは、戦国三英傑の一人・豊臣秀吉……ではなく、その弟・豊臣秀長。兄・秀吉の天下取りをただ一途に支えつづけた「天下一の補佐役」といわれる秀長を通して、激動の戦国時代が描かれる。『豊臣兄弟!』の発表時から話題となっていたのが、「一体、誰が秀吉を演じるのか?」。秀吉を演じる役者は、“主役ではないが主役”である必要があり、数々の作品で“補佐”にまわったときの名演を見せてきた仲野との親和性も不可欠であった。

 そんな発表時から多くの人が気になっていた秀吉役に選ばれたのは、『海のはじまり』(フジテレビ系)の“津野くん”の好演も記憶に新しい池松壮亮。ドラマ評論家の成馬零一氏は「そうきたか」と予想外のキャスティングだったと語る。

「『豊臣兄弟!』の制作が発表されたとき、本作の秀吉は“明るい人気者”キャラになると予想していました。近年の大河で描かれた秀吉は、『麒麟がくる』の佐々木蔵之介さんも、『どうする家康』のムロツヨシさんも、どちらかといえば何を考えているか分からない“怖い”秀吉でした。仲野さんは、直近の出演作の『新宿野戦病院』(フジテレビ系)や『虎に翼』(NHK総合)でも証明しているように笑いの芝居も抜群にうまい。となると、兄と弟で漫才のような掛け合いもみられる明るい秀吉なのではと思っていたんです。でも、池松さんが演じるとなると、どうしても“明るい”よりも“怖い”秀吉を想像してしまいます(笑)。『海のはじまり』の津野も好青年ですが陰をまとった人物でしたし、映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』の殺し屋役も本当に怖かった。もちろん、池松さんは『オリバーな犬、 (Gosh!!) このヤロウ』(NHK総合)など、コメディに振り切った芝居をしている作品もありますし、明るい秀吉も難なく演じられると思うのですが、やっぱり見てみたいのは“怖い”秀吉ではあります。プライベートでも仲がいいという、仲野さんとだからこそ出せる空気感もあると思うので、池松さんがどんな秀吉になるのか非常に楽しみです。いずれにせよ、これまで描かれてきた秀吉像とはまた違った人物になるのではないかと期待しています」

 そして、豊臣兄弟の2人にとって重要な存在となる女性キャラのキャストも発表された。吉岡里帆が秀長の正妻として生涯をともに歩む慶(ちか)を、浜辺美波が秀吉の正妻・寧々を、そして史実にはないドラマオリジナルキャラクターとなる豊臣兄弟の幼なじみ・直(なお)を永野芽郁が演じる。3名とも主演としても活躍する俳優であり、近年の日本映画・ドラマを牽引してきた存在だ。成馬氏は、「3名の中でも特に吉岡さんが転機になる作品になるのでは?」と続ける。

「永野さんは『半分、青い。』で、浜辺さんは『らんまん』(主演は神木隆之介)で朝ドラヒロインを務めました。永野さんも浜辺さんもまだ20代ですが、すでに経験も豊富で代表作も多くあります。永野さんが演じる直は紹介文を読む限りでは最初から最後まで出演するという感じではなく、浜辺さんが演じる寧々も秀吉の妻役なので主役の秀長とはどこまで絡むのかは分かりません。となると、この2名よりも明確に出番が多いと思われるのが、秀長の妻・慶を演じる吉岡さんです。吉岡さんは着実に出演作を重ねながら、作品ごとに違う色を身に付け役者として成長していった印象があります。30代に入り、初の大河ドラマである本作は、これまで培ってきたものをすべて発揮するような作品になるのではないかと予想しています。仲野さんとは、映画『泣く子はいねぇが』でも夫婦役を演じているので、相性もバッチリだと思います」

 発表されている5名だけでも豪華といえるキャストが揃った『豊臣兄弟!』だが、織田信長や徳川家康など、まだまだ重要な役柄が残されている。成馬氏は、5名と相性のいい役者として、頷かずにはいられない俳優の名前を挙げた。

「どうしても期待してしまうのは、菅田将暉さん、神木隆之介さん、有村架純さん、古川琴音さんの『コントが始まる』(日本テレビ系)組と、岡田将生さん、柳楽優弥さん、松坂桃李さんの『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)組です。いずれの方々も仲野さんと相性がいいのは証明されていますし、単純にこの世代が全員揃った大河ドラマを観てみたいです。“新鮮味がない”という意見もあると思うのですが、2010年代からテレビドラマ・映画を牽引してきた彼らの集大成的なひとつの作品に、『豊臣兄弟!』はなり得る可能性があるのではと思っています」

 『豊臣兄弟!』の放送は2026年。まだまだ先ではあるが、仲野、池松の出演作を振り返りつつ、新キャストを予想するのも楽しみのひとつになりそうだ。

(文=石井達也)