ハイテンションの仲間由紀恵がチャーミング!シリーズのラストを飾る「トリック劇場版 ラストステージ」
2000年に深夜ドラマ枠でスタートし、阿部寛と仲間由紀恵の常識を覆すコンビもあいまって熱狂的に支持され、シリーズ化のみならず、劇場版も3作公開、スペシャルドラマやスピンオフドラマも制作された「トリック」。その約14年の歴史にピリオドが打たれたのが「トリック劇場版 ラストステージ」だ。監督は一貫して作品に関わっている堤幸彦。
本作では「トリック」初の海外ロケが敢行され、マレーシア・ボルネオ島のクチンで撮影された。キャストは自称超売れっ子天才美人マジシャン・山田奈緒子(仲間)、騙されやすい天才物理学者・上田次郎(阿部)、シャーマンの血をひく奈緒子の母・里見(野際陽子)、役立たずの刑事・矢部(生瀬勝久)のレギュラー陣に加え、上田に仕事を依頼する商事会社の社員・加賀美(東山紀之)、同行する現地の医師・谷岡(北村一輝)、部族が崇拝する呪術師(水原希子)、現地の支社長・山本(吉田鋼太郎)など濃厚な顔ぶれ。
物語は上田が教授を務める日本科学技術大学に加賀美が訪ねてくるところから進展。話を聞くといかにも怪しい商事会社。部長は秘境を支配する呪術師から死の呪いをかけられたという。どこかで聞いたことがあるエピソードに「呪いは単なる暗示です」と平静を装う上田だったが、結局、奈緒子に電話をかけ、巧みかつ嫌味な言い方で、海外行きの話を持ちかける。
■初めての海外旅行にテンション爆上がりの奈緒子を演じる仲間が少女のようにチャーミング
上田に海外に行きを誘われた奈緒子は、呪術師と対決することなど知らず、観光気分でウキウキ。着いたのは赤道スンガイ共和国で、空港に着くと現地の人たちが崇めていたのはなぜかシーズン1に出てくる「母之泉篇」の教祖の写真。嬉しさのあまり、疑問を抱かない奈緒子は上田たちと船に乗って商事会社の支社があるムッシュム・ラー村を訪ねる。船で映画「タイタニック」のマネをしたり、現地の子供や大人に「マネーくれ」としょうもない手品を披露したり、パスポートを首からぶら下げてウキウキが止まらない。しかし、平和な時間も束の間、上田は謎の呪いにかかり背中に巨大な腫れ物ができ、船で高熱にうなされることになる。
■ミステリアスな呪術師と同じ悪夢を見る奈緒子は本物の霊能力者なのか?
死にかかっていた上田はマスクで顔を覆った呪術師(水原)に生命を救われ、懸垂をしたり、うさぎ跳びをするほど回復するが、不穏な出来事が続き、矢部たちは船で逃げようとして失敗、ついに奈緒子は呪術師のいる洞窟にひとりで乗り込むことにする。トリックを暴き、おなじみの見栄を切る奈緒子だったが、同行したメンバーの意外な目論見や呪術師と同じ夢を見ていることを知り、かつてない大きな決断を迫られる。シャーマンの血をひく母と天才マジシャンの父の間に生まれた奈緒子のルーツにも触れられる本作、上田の散らかりまくった研究室が出てくるエンディングは「トリック」の原点でもある、鬼束ちひろの「月光」。無言の阿部の表情と仲間の時を超えた演技は、終焉にふさわしく感涙ものである。海外ロケのスケール感はもとより、ファンの期待を裏切らないお約束や小ネタも満載で、深夜ドラマだった「トリック」の始まりを知っている視聴者を中心に"泣けるトリック"と惜しまれながら幕を閉じた。
文=山本弘子
放送情報【スカパー!】
トリック劇場版 ラストステージ
放送日時:10月1日(火) 3:15〜ほか
放送チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
※放送スケジュールは変更になる場合があります