日本で展開されるeeroデバイス

 アマゾンジャパンは18日、メッシュWi-Fiシステム「eero」(イーロ)シリーズを発売した。まずは、3種類のルーター(1万9980円~)をラインアップし、今後有料のサブスクリプションプランなどを展開する。

 今回は、日本での展開に合わせて来日したeero共同創業者兼CEOのニック・ウィーバー(Nick Weaver)氏から、eeroのブランドの歴史や製品の特徴、日本展開にあたり意識した点、他方との差別化ポイントなどを聞いた。

eero共同創業者兼CEOのニック・ウィーバー(Nick Weaver)氏

メッシュWi-Fiとラインアップ

 メッシュWi-Fiは、宅内に複数のWi-Fiアクセスポイントを設置し、相互に接続することで、宅内全体で快適なWi-Fi接続を図るもの。1つのルーターで運用していると、ルーターから離れた場所や階層が変わると電波の強度が弱くなってしまうことがあるが、メッシュWi-Fiでは電波を中継することで、家中をカバーできる。また、多くのメッシュWi-Fiでは、SSIDを変えることなく運用できるため、パソコンやスマートフォンを使いながら移動しても、途切れることなく利用しやすいアクセスポイントに切り替えて通信できる。

 eeroの日本国内ラインアップは、Wi-Fi 6対応の「eero 6+」(1ユニットで1万9980円、2ユニットで2万8980円)、Wi-Fi 6E対応の「eero Pro 6E」(1ユニットで3万6980円、2ユニットで6万480円、3ユニットで8万2980円)、Wi-Fi 7対応の「eero Max 7」(9万5980円、10月23日出荷開始)を用意している。ユーザーの通信状況や環境に合わせて選べる。

ユーザーの声を重視するeeroの開発体制

 ウィーバー氏はまず、日本の通信環境と市場について「非常に高速なインターネット環境と、多くの接続デバイスがある非常に技術が進んだ市場だ」と評価。「eeroで素晴らしいWi-Fi体験が提供できる」とアピールする。

 eeroは、10年前の2014年に米国で創業。創業当時にウィーバー氏のサンフランシスコにあるアパートで撮影した写真を取り出し、当時の会社の使命を「テクノロジーで超高速かつ信頼性が高く安全な接続を提供すること」と当時を振り返る。eeroはその後、2016年に最初の製品を発売し、2019年初頭にアマゾンに買収され、それ以降も多くのデバイスでポートフォリオを拡大してきた。現在は、世界25カ国に展開し、世界中に拠点を構え、24時間体制で製品の開発、改善を進めている。実際に、性能やデザインのアワード、低価格帯の製品に注目したものまでさまざまな賞を受賞している。

創業当時の写真、中央がウィーバー氏

 一方で、eeroが重きを置いているのは、ユーザーの声やサポート体制にあるとウィーバー氏は強調する。

 「世界中のユーザーからフィードバックをもらう。AmazonのレビューやSNSへの投稿、受信トレイのメール、ユーザーが投稿したレビューすべてに目を通し、製品をよりよくするために絶え間ない努力をしている」(ウィーバー氏)とユーザーの声を重視した体制をとっている。

eeroデバイスの特徴

 eeroデバイスの特徴としてウィーバー氏は「TrueMesh技術」、「スマートフォンアプリ」、「Amazonデバイスとの連携機能」、サブスクリプションプラン「eero Plus」の4点を挙げる。

 TrueMesh技術は、ネットワーク上の通信をeero自身が管理するもの。たとえば、ユーザーのデバイスがそのタイミングで最適なネットワーク経路になるよう誘導することで、接続の切断頻度を減らし、シームレスな環境を提供したり、新しいeeroデバイスなどを追加した際にユーザーがネットワークを簡単に拡張できたりする。eero同士の接続も、高速低遅延になるよう図られる。

 スマートフォンアプリでは、ネットワークの状況や管理を行え、通常技術的な知識が必要な高性能なネットワークも構築できる。ネットワークで問題が発生した際のトラブルシューティングや、eeroデバイスを追加した際も、スマートフォンアプリでかんたんに設定できる。

 そして、Amazonデバイスとの連携機能として、Amazon Echoシリーズの対象機種がWi-Fiエクステンダー(中継器)として利用できる機能が今後提供される。対応デバイスは、Echo Pop、Echo Dot(第4・第5世代)、Echo Dot with clock、Echo(第4世代)で、5GHz帯で最大92平方メートル、最大速度100Mbps、約10台の同時接続をサポートする。これにより、追加投資なしでデッドスポットの改善などに役立てられる。

 加えて、今後有償で提供されるサブスクリプションプラン「eero Plus」では、DNSベースのセキュリティや広告ブロック、保護者による制限機能など、ユーザーがより安心安全にかつ高度なネットワーク制御が提供される。ウィーバー氏は「コアデバイスと同様に、シンプルでわかりやすく、使いやすいデジタルセキュリティを提供することが私たちの目標の1つ」と語り、今後はeero Plusによるセキュリティ機能強化にも力を入れる方針だ。

長年の経験とユーザーサポートを強調

 市中のメッシュWi-Fiデバイスでも、先述のネットワーク管理機能やスマートフォンアプリなどの機能が備えられたものも多い。

 ウィーバー氏は「eeroが2016年に最初の製品を投入した当時、“コンシューマー向けのメッシュWi-Fi”というカテゴリー自体が存在しなかった。今では多くのデバイスで干渉回避などの機能が備わっているが、世界の何十億ものデバイスで新機能を提供するには、それだけの経験が必要だ」と長年の実績をアピールする。

ウィーバー氏

 eeroデバイスの特徴としてウェーバー氏は続けて「細部までこだわったデザイン」や、「アンテナなどの配置」「何百時間にも及ぶ信頼性試験の実施」を挙げる。そして、継続的に実施するソフトウェア更新やフィールド分析により、「ユーザーは一度設置されれば、長期間安定した性能を提供できる」とウェーバー氏は語る。試験では、接続するデバイスとの互換性にも及んでおり、何百種類にも及ぶデバイスとの互換性を保証している。

リビングにもなじむeeroデバイスのデザイン

eero 6+

eero Pro 6E

eero Max 7

 そして、ウィーバー氏が特に強調した強みは「ユーザーサポート」だ。

 eeroでは、コミュニティによる評価も注目している。ユーザーが実際に導入、体験し、そのブランドや製品を支持するに至るまでには時間がかかり、eeroでも、ブランド確立まで「米国で10年、ヨーロッパで5年かかった」(ウィーバー氏)と、継続して製品を改善する姿勢が重要だと語った。