まだまだ若いけれど、老後についても考え始める50代。暮らしをラクにするために、手放したほうがいいものも。「この10年を振り返ると、たくさんのものやことを手放してきました」というのは、50歳が目前となったライフオーガナイザーの尾花美奈子さん。40代のうちに手放してよかったものやことを3つ教えてくれました。

1:重くて分厚いベッドマットレス

家の中の片づけと暮らしの見直しを始めたのがちょうど40歳のとき。その中でもとくに「手放してよかった」と思える3つを紹介します。

【実際の献立写真】料理をがんばるのをやめた。ラクでおいしいごはんはこれ!

手放してよかったものとして真っ先に思いつくのは、重くて分厚い「ベッドマットレス」です。マットレスはときどき立てかけて湿気を飛ばしたり、同じ位置に体重がかかり続けてスプリングが弱らないように上下や表裏を入れ替える手入れが必要です。年齢を重ねて筋力が落ちるにつれてその大変さが増したのに、「ベッドがあるのは当たり前。その手入れも必然」と思い込んでいました。

そんなときに子どもの体調不良。ベッドマットレスがひどく汚れたのをきっかけに思いきって手放して、薄型の三つ折りマットレスに買い替えました。

手放して4年弱になりますが、よくあの重たいベッドマットレスを持ち上げていたなと感心するばかりです。50歳になる今ですら「もうやりたくない」と思うので、もしあのとき手放さなかったら、これから先、50代60代の自分がふうふう言いながら持ち上げていたり、腰を痛めているのが想像できてしまいます。

2:重くて洗いづらい鍋

ベッドマットレスと同様の理由で手放してよかったものが「重くて洗いづらい鍋」です。熱伝導率がよく食材のうま味や栄養を逃さずおいしくできあがるのは魅力ですが、とにかく重い。ブランドによって多少の違いはあれど、たとえば20数cmで4kgほど。具材や水を入れればお米ひと袋の重さになり、それが手首や腕にかかるとなれば大変でないわけがありません。

「こぼさない?」と心配と緊張感でいっぱいになりつつ、腕をプルプル振るわせてシンクとコンロの間を運ぶ。鍋を洗うときや乾かすときも引っくり返すのに力がいる。そのとき、まわりにぶつけて傷がつかないようにゆっくり返すには、やはり力がいる。

料理が苦手な私には、料理がおいしくでき上がることより重さの負担が大きく、自然と使用頻度が減って「40代でこれなら50代では絶対使わない。使えない」という未来が見えたので手放すことにしました。今はほかの鍋を使っていますが、料理の味には満足しています。

3:料理をがんばること

手放してよかったもの3つ目は「料理をがんばること」です。40代も数年過ぎた頃、ジャンクフードや脂っこい料理を食べると胃が重く感じるようになりました。胃の働きが弱くなったようです。食べたあとも胃や舌にやさしく体が喜ぶと感じるのは、結局のところシンプルな和食でした。

もともと料理が苦手で新しいカタカナ料理にもうとく、つくれるのは簡単な和食ばかり。そんな自分にコンプレックスを感じてがんばっていた時期がありましたが、「がんばる」ではなく「無理をする」に近かったかもしれません。

今ではそんな自分も手放しています。和食というより粗食に近いぐらいですが、心と体への負担が少なくなり健康的です。

40代を振り返ると「転換期」でした。どうやってもあらがえない体の変化があって、それにどうしなやかに対応できるか。それが50代をラクに生きやすくすることにつながると感じています。