イグ・ノーベル賞受賞「ミサイルにハトを閉じ込めて誘導できるか」どのような実験だった「え、鳥を訓練!?」
え、本当にハト入れたの!?
ハトにミサイル誘導をさせる訓練を行った!?
ノーベル賞のパロディーで、ユニークな研究などに贈られる2024年のイグ・ノーベル賞がアメリカのマサチューセッツ工科大学で2024年9月12日に発表され、平和賞に「ミサイル内に生きたハトを閉じ込めて、ミサイルの飛行経路を誘導できるか検証した実験」が選ばれました。
ハトではなくオペレーターが近距離でラジコン操作することで誘導弾化した「ASM-N-2 BAT」当初はこの爆弾にハトの搭載が検討された(画像:アメリカ海軍)。
この研究は、ハーバード大学の行動主義心理学者であるバラス・スキナー博士(故人)が、第二次世界大戦中から1950年頃まで行った、ハトによって滑空タイプの爆弾を誘導しようとした試みです。パイロットがより安全な位置から攻撃できるように考えられており、現在の巡航ミサイルのような使い方を想定したものでした。
弾頭にこともあろうに「平和の象徴」であるハトを閉じ込め、画面に表示された標的をつつかせ、画面のどこがつつかれたかを感知して進行方向を制御し、標的に命中させようという実験でした。
実際に国防研究委員会が予算を出し、研究が行われましたが、「実戦応用がすぐに見込まれる他の研究に支障をきたす」として、1944年10月に中止。戦後に海軍が再び研究を復活させますが、1950年代に中止されました。
スキナー博士はこの実験に際し、複数の種類のハトを約60羽購入し、特定のターゲット画像をつつくことでエサを獲得できるように訓練を行ったそうです。ちなみに、麻の実を与えると最も訓練に協力的になったそうです。
授賞の対象になった論文は1960年に発表されたもので、この論文でスキナー博士は自身の研究が「誘導ミサイルが不要になる未来の世界に向けて大きく貢献するだろうと信じている」と書いています。
なお、2024年のイグ・ノーベル賞では、東京医科歯科大の武部貴則教授らのグループがブタなどの動物に「お尻から呼吸する能力があることを発見した」として、生理学賞を受賞しています。