料理家にとって“仕事場”であり、1日の多くを過ごす「キッチン」。71歳で料理家の大庭英子さんは、使いやすくて心地よいキッチンにするため、年齢に合わせてシンプルに改良していました。大庭さんにキッチンのこだわりや、お気に入りの調理グッズについて教えていただきました。

キッチンはシンプルに改良中。ガスコンロは2口、道具も厳選

「10年ほど前に、それまでの3つ口のガスコンロを2口のものに変えました。仕事のときは必要に応じてカセットコンロを使えばいいので、とくに困っていません」(大庭さん・以下同)

【写真】1gが量れるスプーン

ほぼ使わなかった3つ口をやめてフラットにしたら、掃除もしやすくなったとのこと。年齢とともに集中力も落ちてくるので、コンロ周りはすっきりと、自然消火装置もつけて安全面にもより気を配るようになったそうです。

「仕事柄、調理道具は多いですが、ひとり暮らしなら、フタがしっかりできる直径20cmくらいの小さめフライパンと中華鍋があれば、炒める、焼く、蒸す、揚げる…たいていのことはできますよ」と見せてくれたのは、使い込まれた中華鍋。いつも揚げ物に使うそうで、持ち手の反対側にも取っ手がついているのでお気に入りとか。

料理をするうえで欠かせない4大アイテム

大庭さんが長年使い続けている、愛用の調理道具を4点教えてもらいました。

●1:1gの計量スプーン

「塩のケースの中が定位置。小さじ1/5にあたる1gが量れるスプーンです。“塩梅(あんばい)”というように、料理の味を決めてくれる大事な塩の量を量るのに便利。塩分を気にしている人におすすめです」。

●2:ザル

「盆ザルは、洗った食材を並べたり、ゆでた野菜を広げたりと大活躍。深さのあるザルは、米をといだりするのに使います」。これ以外にも、壁一面にザルコレクションがあり、そこから使うことも。

●3:ペティナイフ

「刃渡りが包丁よりも長くて軽い築地有次のペティナイフ。小回りが効いて使いやすいので、ダメになると同じものを買い替え、かれこれ数代目。もう40年以上使い続けています」。

●4:油こし器

「これも30〜40年ほど使っている、お気に入りのオイルポット。口が大きいので使いやすく、こす部分が二重になっていて、間にペーパーをはさんで使います。油が熱いうちにこすのがポイントです」。

器は少しずつ整理中。新しく買うときは軽いものに

キッチン横の食器棚には、各地で集められた愛用の器がずらり。

「16年前の引っ越しのときにだいぶ減らしましたが、まだまだありますね。大きい器は少しずつ整理したいと思っています」と大庭さん。

「今、新しいものを求めるときは、手にとって軽いもの、なんにでも対応できるものを選ぶようにしています。和洋中問わず使える白い食器が多いですね」と語ってくれました。