映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』で、“きこえる世界”と“きこえない世界”を行き来しながら生きる、コーダの主人公を演じた吉沢 亮さん。今回は吉沢さんに、撮影の裏話や暮らしで大切にしていることなどお話を伺いました。

ゲームやマンガに触れる時間は欠かせません

「今回ご一緒した呉美保監督の作品は、どれも登場人物の背景まで見えてくるような生活感があって、そこが素敵なんです。とくに子どもたちの演技は、どうやって演出してるんだろう? と思うほどお芝居には見えない生々しさがあって。だから今回もうそには見えないよう、そこに息づいたひとりの人間として演じないと、と思っていました」(吉沢さん、以下同)

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主人公・大は、耳のきこえない両親のもとに生まれ、自身は耳のきこえる子ども「コーダ」として育った青年。母を守りたいと思いながら、ときに母を傷つけてしまう彼の葛藤が繊細に描かれています。

映画の舞台となった、宮城県の塩竈(しおがま)市。ゆっくり町を歩く時間はなかったそうですが、港町ならではの海の幸を楽しむことはできたそう。

「撮影場所の近くに、おじいちゃんがひとりで握っているお寿司屋さんがあったんです。ランチに行ったらすごくおいしくて、値段も手頃で量もたくさんで。本当にいい町だなぁと思いました(笑)」

忙しい日々が続いても、現場を離れれば「役を引きずることはない」ときっぱり。自分時間をもつことも、オンオフの切り替えに役立っているようです。

「基本的にはインドア派なので。ゲームをしたり、お酒を飲んだり、漫画を読んだり…。そういう時間は必要ですね。ゲーム実況の動画を観ながら、鶏皮せんべいをおつまみに飲むのが好きです。休みの日はつい昼過ぎまで寝てしまっていたけど、最近は午前中に起きて、好きなことをする時間もつくります」

食生活や体づくりは「プロに頼る」ように

年齢とともに、暮らしまわりで大切にするようになったのは、「プロに頼ること」。

「役によっては、体を大きくしたり、筋肉をつけたりする必要があります。でも前は、自分の考えだけでがむしゃらにやっていて。たとえば太りたいときは、単純に食べる量を2倍にしたり、寝る直前にラーメンを食べたり。でも、そんな体に悪いやり方をしなくても、もっと健康的に体重を増やす方法があるんですよね。当たり前のことかもしれないけど、ちゃんとプロに教わると、体が全然違うんです」

日々のルーティンにも“作品のために”という意識が根づいている吉沢さん。繊細な演技も、そうしたストイックさから生まれるのでしょう。