ローズSは「波乱要素たっぷり」 再度100万馬券の期待が膨らむ一戦で注目すべき2頭
3日間開催となる今週は、東西で3歳GIへ向けての重要な前哨戦が行なわれる。西で行なわれるのは、「牝馬三冠」最終戦となるGI秋華賞(10月13日/京都・芝2000m)のトライアル、GIIローズS(9月15日/中京・芝2000m)だ。
春の二冠、GI桜花賞(4月7日/阪神・芝1600m)の覇者ステレンボッシュ、GIオークス(5月19日/東京・芝2400m)の勝ち馬チェルヴィニアは、本番の秋華賞へ直行の予定。ここは、それらへの挑戦権を得る戦いとなる。
なかでも注目を集めるのは、2歳時にGIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)を制して、今春は牡馬クラシックに挑戦したレガレイラ(牝3歳)。出世レースのGIIIクイーンC(2月10日/東京・芝1600m)を勝って、桜花賞8着、オークス4着と奮闘したクイーンズウォーク(牝3歳)。いずれも秋の始動戦としてここへ駒を進めてきて、人気の中心となりそうだ。
だが、日刊スポーツの奥田隼人記者は「波乱要素たっぷりの秋華賞トライアル」と言ってこう語る。
「過去10年の成績を見ると、1番人気は3勝。そこまで信頼度は高くありません。そして、傾向的に"ヒモ荒れ"が目立ちます。毎年、必ず6番人気以下の伏兵が馬券に絡んでいますし、今年と同じ中京で開催された2020年にはムジカ(14番人気2着)、オーマイダーリン(11番人気3着)、2021年にはエイシンヒテン(12番人気2着)と、ふた桁人気馬が台頭しています」
実際、過去10年の結果を振り返れば、5番人気以下の伏兵が4度勝っており、ふた桁人気馬が馬券圏内(3着以内)にしばしば突っ込んできている。おかげで、3連単の配当はすべて万馬券。10万円超えの高配当が6度もあって、113万9000円という超高額配当まで飛び出している(2020年)。
「そうした性格のレースですから、今年も人気薄の激走に注目です」
そう言って、奥田記者は今年のレースで波乱を起こしそうな穴馬候補を2頭ピックアップした。
「まず気になるのが、サフィラ(牝3歳)です。2歳時には、GI阪神ジュベナイルフィリーズ(4着。12月10日/阪神・芝1600m)で1番人気に推された素質馬。兄姉には、GI馬サリオスやGI2着2回のサラキアなど活躍馬がそろっています。
ローズSでの巻き返しが期待されるサフィラ photo by Eiichi Yamane/AFLO
前走のオークスでは13着に敗れましたが、7枠15番という外枠発走で、終始馬群の外を回らされる競馬を強いられ、展開的にも厳しかった印象があります。それでも、デビューから課題だった馬体重に関しては、初めてプラス体重で出走できるなど、進境も見られました。
そこからひと夏を越し、同馬を管理する池添学調教師は『春より体は成長しているし、以前はボテッとしていた体もスッキリとしています』と、さらなる進化を明かしています。血統的には中距離をこなせる下地もあるだけに、秋初戦でいきなり巻き返しがあっても不思議ではありません」
奥田記者が注目するもう1頭は、ラビットアイ(牝3歳)だ。
「昨年8月のデビューから、4戦目にしてようやく初勝利を挙げた馬。この春はGI出走こそ叶いませんでしたが、4着に入った前走のGIIIフラワーC(3月16日/中山・芝1800m)の内容に見どころがありました。
それまでのレースより後方からの競馬となりましたが、最後の直線でメンバー最速の上がりをマーク。勝ち馬にコンマ2秒差まで追い上げました。
鋭い決め手という新味を見せましたし、同レースを勝ったミアネーロは先週の秋華賞トライアル、GII紫苑S(9月7日/中山・芝2000m)でタイム差なしの2着と好走。同馬を物差しに考えると、ここでも通用する計算が成り立ちます。
9月4日の1週前追いでは、栗東のCウッドで自己ベストを更新する6ハロン80秒1、ラスト1ハロン11秒9のタイムを計時。地力強化がうかがえました。徐々に馬場が荒れてきた今の中京なら、展開次第で同馬の差しが決まる可能性が十分にあります」
波乱ムードが充満しているローズS。休養明けで人気の盲点となっている実力馬2頭の一発に期待が膨らむ。