Amazonがペット保険の取り扱いを開始。その理由は「ペット愛」だった
ペットへの愛が止まらない企業、それがAmazon。
おりを見て、Amazonのお買い得商品をピックアップして紹介する企画は、ギズモードの中でも屈指の人気を誇っています。その担当者でもある僕は、毎日毎日Amazon内をディグりまくっています。
とある夏の暑い日。いつものようにAmazonをディグっていたところ、見慣れない文字が目に飛び込んできました。
ん? 保険? わんにゃん? 一瞬、何のことか分かりませんでした。Amazonが、ペット保険を…?
通院・入院・手術が付いて月額1,240円からとのこと。気になってペット保険の相場をざっと調べてみたところ、かなり安い価格設定のようです。
なんでAmazonがペット保険を扱っているんだろう。そして、この価格設定はどうやって実現しているんだろう。頭の中で疑問が駆け巡ります。いてもたってもいられなくなった僕は、早速Amazonに取材を申し込みました。
Amazonの「わんにゃん安心保険」について、ぜひ話を聞かせてください。
そんな突然の取材依頼に、Amazonで消費財事業本部の事業本部長を務める古米潤(ふるまい・じゅん)さんが応じてくださいました。
ペットの健康のためにAmazonができること。その答えがペット保険
── 「わんにゃん安心保険」は、いつからサービスを開始したのですか?
古米潤さん(以下、古米):2023年11月からです。
── 僕、いつもAmazonを見ているのに気付きませんでした…。なぜAmazonでペット保険を取り扱うことになったのでしょうか。
古米:Amazonにはペットチームがあります。このチームでペットフードやペット用品などの取り扱いをしているのですが、それだけではなく、我々はペットの幸せ、飼い主の幸せをどうやって実現して拡大していくかを常に考えています。より多くの人とペットが、より長くより快適に暮らせる社会を作ることが、かれこれ約8年間にわたり追及している、ゆるぎないビジョンです。
古米:その活動の例を挙げますと、我々のチームにいる獣医師資格を持っているスタッフが、ペットフードについて無料でご相談を承る「獣医師フード相談」を実施したり、保護犬・保護猫の施設を支援する「保護犬・保護猫支援プログラム」をチーム全体で提供したりしています。
さらに、我々のビジョンを実現するためにはペットの健康が欠かせません。
では、ペットの健康のために何ができるのか。まずは、ペットが病気にかからないようにするためには、ペットオーナーが日常的にすべきこと・できることを充実することだと考えました。そのために弊社は、専門家やパートナーのメーカー様と手を携えて、ペットの健康にとって必要な生活習慣や食品、加えてペットオーナーが留意すべきことなどを、分かりやすくお伝えしていきます。先ほどご紹介した獣医師フード相談サービスは、その一環でもあります。
ただ、これらの予防策で健康期間を長くすることはできますが、ペットの一生のうちではどこかで病気やケガと向き合わなければならないときが来ます。
ペットの様子が少し変だなと思ったら、すぐに病院に連れて行くことが重要なのですが、そこで障害になるのがお金のことです。動物病院の料金はどの程度かかるのか分からない方も多く、高額なことも多いので、つい、「もう少し様子を見てみよう」と病院に行くことが後回しになってしまうこともあります。
ペットが病気に罹ってしまった場合、早く治ってほしいのはペットオーナーとして当然ですが、それには早期発見・早期治療が不可欠です。だからこそ、異変を感じたらためらわずにペットを病院につれていかねばなりません。その妨げの主因であるお金の心配を減らすためには、現在2割に満たない(※参考資料)ペット保険の加入率を上げるべきと考えました。そこで、Amazonでもペット保険を取り扱うことにしたのです。
── 思ったよりも加入していない方が多いのですね。
古米:「わんにゃん安心保険」のプロジェクトを発足させたとき、「なぜペット保険に加入しないのか」という市場調査を行ないました。その結果として、「保険料が高い」と「保険料がどんどん高くなる」と「補償内容が分かりにくい」ことがペット保険に入る主な障害になっていることが分かり、 これらの課題を解決できる保険にしたいと考えました。
── ちなみに、犬や猫ではどのような病気が多いのでしょうか。
古米:犬は犬種によって異なりますが、トイプードルでは膝の脱臼や外耳炎が多いですね。猫の場合は腎不全や尿路結石に罹ることが多いです 。
── 慢性的な病気にかかったら通院することも増えるので、やはり保険に加入しておいたほうが安心ですね。
「わんにゃん安心保険」が低価格を実現できた理由
── 「わんにゃん安心保険」はAmazonが保険会社になるのですか?
古米:弊社は、保険会社ではなく代理店という立場です。この事業のパートナーは、あいおいニッセイ同和損保グループのリトルファミリー少額短期保険株式会社です。
同社と組んだ理由のひとつは、彼らがオンライン販売に特化した事業を展開しており、オペレーションの経済合理性がとても高いからでした。
── 事前に保険料について調べたところ、かなり安いという印象でした。なぜ、この保険料が実現できたのでしょうか。
古米:通常保険会社が保険を売る場合には、自社商品を知ってもらうために多大な投資をして宣伝広告を行い、その費用はすべて保険料に反映されます。
しかし「わんにゃん安心保険」の唯一の代理店であるAmazonには、毎日膨大な数のペットオーナーが来店されています。 そのため一般的に保険を販売するために必要とされている多額なコストが不要であり、他保険商品と比べてこの差はとても大きいと考えます。
「わんにゃん安心保険」は“安かろう良かろう”
── 「わんにゃん安心保険」の特徴について教えてください。
古米:一般的にペット保険は、ペットが低年齢のときは保険料が低く設定されていますが、加齢に伴い病気やケガのリスクが高まると、保険料が加速度的に高くなっていきます。
他のペット保険と比べていただければ分かりますが、「わんにゃん安心保険」 は、この加齢に伴う保険料額の上がり幅を小さくしており、生涯保険料で見るとかなり低く抑えることができています。
古米:加入者様にはAmazonで販売しているペットフード購入が5%オフになる特典も付きます(※Amazon.co.jpが販売・発送するペットフードのみ対象、年間4万円分まで)。これには、ペットに適したペットフードを少しでもお求めやすくすることで、ペットの健康・病気の予防につながればよいという思いがあります。
── それでいて通院・入院・手術を補償。手厚いですね。
古米:保険の補償内容に関しては、業界最高クラス(※)の内容であると自負しています。
※ペット保険を扱う保険会社(2024年4月時点)のうち、補償内容がホームページで確認ができ補償割合が70%の商品がある保険会社14社の中で、入院・通院・手術の支払限度額の合計が上位2社内です。
── 補償額の上限はありますか?
古米:年間補償額の上限は120万円で、業界ではかなり高い部類です。また、「わんにゃん安心保険」には、利用回数の制限も、一日利用額制限も、免責金額すらも設定していません。これがどんなに使い勝手が良いかはお分かりいただけると思います。
一般的に「安いものは質が悪いはずだ」という考えから「安かろう悪かろう」と思われがちですが、「わんにゃん安心保険」に関しては「安かろう良かろう」なんです。
しかし、保険に入っただけで安心せずに、しっかり予防できることはペットオーナーで実施していただきたいです。
例えば「わんにゃん安心保険」は、歯周病や歯科治療をあえて補償対象外にしています。それは、これらの疾病はペットオーナーが未然に防げる病気だからです。これは「予防できる病気は予防し、予防できない病気を保険でカバーする」という販売代理店であるAmazonのビジョンの表れでもあるのです。
ペット保険の取り扱いは必然
── 「わんにゃん安心保険」がとてもいい保険であることは理解できました。ただ、なぜAmazonはペットとペットオーナーの幸せについて考えていらっしゃるのでしょうか。
古米:我々のチームは、ペットに熱いメンバーばかりなんですよ。私も犬を飼っていますが、そのほかにもペットオーナーはたくさんいます。 その熱さが昂じて、我々の職場のフロアをペット同伴OKにしてしまいました。
── オフィスに連れてきていいんですか? 楽しそう。
古米:すべてのフロアではないもののペット同伴OKは珍しいと思います。我々は、ペットと一緒に過ごすことの幸せを分かっているので、他の社員たちにもペットとのタッチポイントを作りたいと思い、無理を言って実現しました。実現までに数年かかりましたね。
── そのフロアには、チームの方以外もペットを連れてきていいんですか?
古米:はい。そのフロアに限りペットOKなので、さまざまなAmazonの社員がペットを連れてきています。犬たちがデスクの上に座ってビデオ会議に映り込んだりすることもあり、笑顔の絶えないワークスペースになっています 。
── オフィスがドッグランみたいですね。「獣医師ペット相談」や、「保護犬・保護猫支援プログラム」も含め、Amazonがペットに対して熱い想いを抱いていたことが分かって「わんにゃん安心保険」についても腑に落ちました。
古米:我々は、突然ペット保険をやろうと思ったわけではありません。ペットの幸せを願い、さまざまな施策を打ってきた中で必然的に、「多くのペットオーナーが入りやすいペット保険が必要だ」ということになったのです。
“ペットが当たり前の社会”を実現するために
古米:こちらを見ていただけますか?
── これは?
古米:我々が行なっているペット関連の施策についてまとめたメモです。一番上がビジョン、黒い文字が課題、赤い文字が実際に施策として行なっているものです。施策は将来的にビジネスにつながる可能性もありますが、現在は「ペットと買い主の幸福度を上げる」というビジョン遂行のための純粋な活動として行なっています。
ペットに熱いAmazonが開発に携わったペット保険、信頼しかない
今回お話を伺って、「わんにゃん安心保険」がいかにペットと飼い主にとってメリットが多い保険かということが理解できました。
そして、僕たちが思っていた以上に、Amazonはペットと飼い主の幸せについて考えていることに、胸が熱くなりました。
これだけペットに対する熱い想いを持つAmazonの皆さんが開発に携わったからこそ、安くていい保険に仕上がっているんですね。納得。
もし、犬や猫を飼っていて、まだペット保険に加入していない方は検討する価値は十分にあると思います。
なんせ、ペット同伴OKのAmazonのペット保険ですから。
(2024年9月承認)2024T035
Source: Amazonのペット保険 わんにゃん安心保険