14日、東証に8年ぶりに再上場し、記者会見に応じるあおぞら銀行の水上社長(撮影:常井健一)

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あおぞら銀行(旧日本債券信用銀行)<8304>が14日、東京証券取引所1部に8年ぶりに再上場した。午前に公開価格(570円)を13.2%下回る495円で初値を付け、502円で初日の取引を終えた。出来高は1億6018万2000株、終値で算出した時価総額は8284億円で今年株式公開した銘柄で最大規模となった。

 同行は、前身の日債銀時代の1998年12月に経営破綻し、一時国有化され、上場廃止となった。その後、00年9月にソフトバンク<9984>やオリックス<8591>、東京海上火災保険(現東京海上日動火災保険)<8766>に株が売却され、現在の社名に変更。03年9月には筆頭株主のソフトバンクが保有する全株(発行済み株式総数の49%)が米投資ファンドのサーベラスに渡り、同傘下で再建が進められた。破綻した銀行の再上場は、新生銀行(旧日本長期信用銀行)<8303>、東京スター銀行(旧東京相和銀行)<8384>に次いで3行目となる。

 同日、東京都中央区の東京証券取引所で開いた記者会見で、水上博和社長は「銀行という業界はリスクを扱う商売。バブル崩壊が破綻につながったという教訓は、銀行業務に携わる人間にとって、決して忘れてはいけない歴史だ」と強調し、業態・収益の拡大とコーポレートガバナンス(企業統治)強化の両立を経営課題として掲げた。

 国が注入した公的資金総額3200億円のうち、残る約1800億円の返済については金融庁と協議していく考えを示したが、時期については「まだ白紙」とした。

 また、異例の公開価格割れとなった株価については「マーケットが決めることだが、経営陣・役職員一同で企業努力を進め、企業価値を高めていくことが株価につながればいい」と語った。

 同日発表の07年3月通期の連結業績見通しによると、経常利益が前年比6.1%増の652億円、純利益が同32.6%減の810億円となるようだ。水上社長は、今後の事業展開について「ビジネスプランを大きく変えることはない」と投資銀行業務の拡大に注力する方針を示し、リテール(個人向け取引)業務については「顧客をメガバンクのように何百万、何千万と増やすつもりはないが、あくまでも資産運用のニーズにきっちりお応えしたい」と語った。【了】

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