炭水化物の摂取量を減らす「糖質制限ダイエット」や、炭水化物でのカロリー摂取を脂質に置き換える「ケトンダイエット」など、炭水化物を減らす食事をすると長期的には体に悪いという論文を、オーストラリア・メルボルンの大学の研究者が発表しました。

Association of low carbohydrate diet score with the risk of type 2 diabetes in an Australian population: A longitudinal study - ScienceDirect

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1871402124001103

Common Weight-Loss Diet May Come With a Serious Downside, Long-Term Study Finds : ScienceAlert

https://www.sciencealert.com/common-weight-loss-diet-may-come-with-a-serious-downside-long-term-study-finds



この研究はオーストラリア・メルボルンにあるモナッシュ大学やRMIT大学などが協力して行ったもの。

生活習慣病として知られる「2型糖尿病」は糖質制限によって予防・改善が可能とされていますが、研究チームは「2型糖尿病予防のための食事は、健康な食事とは違う可能性がある」と考えて、1990年から1994年の間に募集したメルボルン市民の健康データを徹底的に調査しました。このコホートは1995年〜1998年および2003年〜2007年のいずれかの期間に追跡調査を行っています。

参加者には、摂取した炭水化物を脂肪やタンパク質と比較した相対量に基づき「低炭水化物スコア」が与えられました。



調査の結果、スコア上位20%の人は、エネルギーのうち約38%を炭水化物から得ていて、スコア下位20%の人は、エネルギーのうち約55%を炭水化物から得ていました。

そして前者、つまり炭水化物の摂取量が少なかった人は、炭水化物摂取量が多かった人に比べて、研究期間中に2型糖尿病を発症するリスクが20%高かったことがわかりました。リスクのほとんどはBMIが高いことが原因だったとのこと。



この結果は、糖質制限食は長期的には体重増加につながり、代謝性疾患を発症するリスクを高める可能性があることを示唆します。

研究で炭水化物の摂取量が最も少ないと回答した人は、最も多いと回答した人よりも食物繊維の摂取量が少なく、タンパク質と脂肪の摂取量が多い傾向があったとのこと。

研究者らは主に食事中の脂肪含有量、特に不飽和脂肪が多いことが原因である可能性を指摘した上で、炭水化物だけに焦点を当てるのではなく、他に何を食べているかも考慮する必要があると述べています。