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天皇陛下や内廷皇族のみが原則として使用する皇居の半蔵門を、沿道の人々にお手を振りながら通過された愛子さま。9月6日夕方、成年を迎えられた悠仁さまに両陛下とともに祝意を伝えられるため、愛子さまはいつもより早く御所に帰られたのだ。

「悠仁さまを迎えられるため、急いで勤務先から御所へ戻られたそうです。勤務される日本赤十字社の青少年・ボランティア課は、学生の夏休み期間にあたるこの時期はとても忙しくなるそうで、愛子さまも会議や打ち合わせなどの業務のために、本社外にも足を運ばれているようでした。そのために8月下旬に両陛下が那須で静養されたときも同行されなかったのです。

業務が一段落する9月に、愛子さまもお休みを取って静養されるとのことで、ほどなく那須へ向かわれると聞いています。先月のご静養で両陛下は、散策されたり皇宮警察の警察犬とふれ合われたりと、敷地内で静かにお過ごしになっていました。

愛子さまもご一緒なら、周辺施設へ足を運ばれたり、那須の人々とのご交流を楽しまれたりと、例年どおりのお過ごし方で楽しまれると思います」(宮内庁関係者)

そんな天皇ご一家が那須ご静養の際、丸一日滞在される場所に「那須どうぶつ王国」がある。動物とふれ合うひとときを心から楽しまれ、愛されてきた。しかし今年、例年とは異なる思いを抱かれながら、ご一家は足を運ぶことになるようだと、皇室担当記者は語る。

「両陛下と愛子さまが初めてご一緒に那須どうぶつ王国を訪問された2006年以来、幾度も案内役を務めた前園長の佐藤哲也さんが、今年3月に心不全のため、67歳で亡くなられたのです。

佐藤さんは、動物園や水族館関係者から那須どうぶつ王国の“国王”と呼ばれるほど親しまれてきました。経営難に直面したどうぶつ王国を再建するとともに、希少種の保全など動物保護活動の第一人者としても知られています。

愛子さまは幼いころから、来園されるたび、動物に関するさまざまな知識を佐藤さんに教わってきたと伺っています。お悔やみと感謝の気持ちを示されるためにも、9月のご静養では必ず訪問されたいと天皇ご一家は願われているとお見受けしています」

佐藤さんの人柄は、天皇ご一家や周囲の人々に愛されていた。那須の地元住民もこう語る。

「5月に園内で開かれたお別れ会には、従業員や親交のあった人たちが300人ほど参列し、佐藤さんとの別れを惜しんでいました。佐藤さんはユーモアにあふれた人でした。両陛下と愛子さまを案内される際にも場を盛り上げ、皆さまで楽しそうに会話されながら、動物たちとふれ合われていたと聞いています。

佐藤さんが天皇ご一家を案内されたのは、コロナ禍になる前の2019年が最後だったと思います。昨年お越しになったときは案内できなかったそうで、ご一家も残念に思われているでしょう」

■最期の一瞬まで注ぐ愛情を学ばれて…

佐藤さんは、高齢や体調のために展示やショーから引退した動物たちの世話を、晩年を過ごした兵庫県内の自宅兼会社で続けていた。テレビのインタビューでは、

「せめて最期の時を幸せに…。(中略)人間と違って自分たちだけでは生きていけない仕事仲間だから」(MBS『よんチャンTV』2023年5月12日放送)

と語り、動物たちの“幸せ”のために尽力していたという。前出の地元住民もこう続ける。

「動物の遺骸は、法律では廃棄物とされています。しかし佐藤さんは“ゴミではない、遺体だ”として、那須どうぶつ王国や姉妹園の神戸どうぶつ王国には慰霊碑を建て、亡くなった動物を悼んでいます。動物たちへの慈しみの心は、天皇ご一家とも通じているように感じます」

東宮御所で生活されているころから、両陛下と愛子さまは保護された犬や猫を飼われてきた。かつて赤坂御用地をご散策中に、雅子さまがけがをしたタヌキを見つけ、動物病院や行政と連携してお世話をされたこともある。

愛子さまはさまざまな境遇にある動物たちとの向き合い方を、“どうぶつ国王”との交流を重ねるうちに学ばれていったのだ。

「学習院初等科時代に書かれた『動物たちの大切な命』『犬や猫と暮らす楽しみ』という作文、2022年の成年の記者会見で語られた盲導犬や聴導犬といった“働く動物”への思い……。こうした愛子さまの動物を慈しむお心は、那須での佐藤前園長との交流で育まれた部分もあると思います。

8月に愛子さまが名付けられた愛猫の『みー』が亡くなりました。愛子さまは両陛下と、安らかに旅立とうとするみーを献身的に看病されながら、看取られています。動物に深いご慈愛をもって接するなさりようは、幼いころから接してきた佐藤さんの姿勢からも学ばれ、自然と身に付けられたものなのでしょう」(前出・宮内庁関係者)

動物たちを最期の一瞬まで愛し続けるという愛子さまのご姿勢を育んでくれた恩人との別れ。追悼と感謝の気持ちを抱かれて、愛子さまは那須の地へ旅立たれる。