とちぎテレビ

世界的な建築家、隈研吾さんが設計した栃木県那珂川町にある美術館が、老朽化のため初めて大規模な改修工事をすることになり、町はふるさと納税の仕組みを利用したクラウドファンディングで資金を集めています。

那珂川町にある馬頭広重美術館は、東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなった国立競技場のデザインを担当した、世界的建築家・隈研吾さんが設計しました。建物には栃木県の名産が随所に使われていて、壁材には烏山和紙、床材には芦野石、そして、建物全体を八溝杉を使った板を、隙間を開けて並べたルーバーが覆っているのが特徴で、那珂川町の代表的な建築物の1つです。

2000年におよそ12億円をかけてつくられましたが、オープンから20年以上が経ち、老朽化が進んでいます。5年ほど前からは建物全体を覆うルーバーのうち、雨風に直接さらされる部分が折れたり崩れたりしているほか、館内の一部で雨漏りがあったことから、町は施設の大規模改修を決めました。

改修は引き続き隈さんが設計し、雨どいや排水の工事ルーバーの防炎加工など工事費はおよそ3億円を見込んでいます。

町は費用のうち1千万円をふるさと納税の仕組みを利用したクラウドファンディングや、企業版ふるさと納税で資金を募っています。募集期間は、クラウドファンディングが10月27日まで、企業版ふるさと納税は2025年3月までです。

来年度は美術館ができて25周年、そして馬頭町と小川町の2つの町が合併して那珂川町になってから20年の節目の年でもあることから、町は来年度中に改修を完了したいとしています。

那珂川町教育委員会の生涯学習課 川上浩課長補佐は「建物自体が、那珂川町にとって重要な文化施設であり、県内屈指の観光スポット。後世に引き継ぐためにも協力を願いしたい」と話しました。