写真は今週デビュー予定のピリナマアナ(撮影:井内利彰)

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 先週もお伝えしたが、番組によって出走頭数に大きな偏りがある新馬戦。9月7日の中山も芝2000mが7頭立てだったのに対して、ダート1200mはフルゲートで除外が3頭。ダート1200mで除外が出たのは、3回新潟でダート1200mの新馬戦が1レースしかなかったのが影響していると思われる。

 4回中山開催ではダート1200mの新馬戦はあと2レース組まれている。2023年4回中山開催の出走傾向から、今年もフルゲートになる可能性は高くなりそう。高額条件のレースを乱立することは決して好ましくない。ただ、これだけの頭数が集まるなら、2歳ダート短距離のオープンや重賞を新設することでその路線も注目を集めることになるような気がするがどうだろうか。

【9月14日(土) 中京芝1400m】

◆ナムラクララ(牝、父アドマイヤマーズ、母サンクイーンII、栗東・長谷川浩大厩舎)

 半姉に同厩舎で管理され、2023年キーンランドCなど、スプリント重賞で4勝を挙げているナムラクレア(父ミッキーアイル)がいる。

 ナムラクレアは8月の新潟でデビューし、その1ヵ月後には小倉2歳Sを制覇。本馬も5月にはゲート試験を合格していたので、早期デビューも考えられたが、成長を促すための調整を選択。8月に栗東へ戻ってくると、坂路とCWを併用して、しっかりと乗り込まれており、9月4日の坂路では4F52.7秒、2F24.8秒、1F12.3秒と好時計をマーク。追うごとにバランスの良いラップを踏むことができている追い切り内容を見ると、確実に出走態勢が整っている。

【9月15日(日) 中京ダート1800m】

◆ヴァンアグレアブル(牝、父ルヴァンスレーヴ、母マトリョーシカ、栗東・橋口慎介厩舎)

 きょうだいはみな未勝利を勝ち上がっていて、母系には2021年JBC2歳優駿を勝ったアイスジャイアント(父ダンカーク)がいる血統。そこに新種牡馬ルヴァンスレーヴなので、この番組デビューは納得できる。

 本馬自身も「520キロくらいある大型馬。パワーもありますね」と橋口慎介調教師。「普通キャンターでは緩さが目立ちますが、速いところにいくとしっかり動けます」とのこと。9月5日のCWでの3頭併せはレースでも騎乗予定の松山弘平騎手が騎乗。非常に力強いフットワークで2頭に先行し、6F82.6秒、3F37.1秒、1F11.4秒をマーク。切れる感じはないが、同じスピードをどこまでも続けることができそうなタフな走り。牝馬ということを忘れてしまうくらい、力強い走りだった。

【9月16日(月) 中京ダート1400m】

◆ドンパッショーネ(牡、父Quality Road、母ストーミーエンブレイス、栗東・斉藤崇史厩舎)

 母は現役時代にダート1400mのプリンセスルーニーSを勝利。父Quality Roadは日本で活躍した産駒は少ないが、海外では2018年BCダートマイル、2019年ペガサスワールドCを勝ったCity of Lightなどがいる。本馬は2023年セレクトセール1歳にて、6400万円(税抜き)で落札されている。

 5月にノーザンファーム空港から栗東へ入厩し、ゲート試験合格後は牧場へ戻って調整。8月10日にノーザンファームしがらきから栗東へ再入厩しており、坂路での追い切りを入念に消化。レースでも騎乗予定の池添謙一騎手が跨った9月4日の坂路では、4F54.7秒と全体時計は平凡だったが、2F24.3秒、1F12.0秒と後半は素晴らしい時計でまとめた。追い切りの時点でこの距離の適性が高そうであることは示している。

【9月16日(月) 中京芝1600m】

◆ピリナマアナ(牝、父キズナ、母ユメノトビラ、栗東・橋口慎介厩舎)

 ダートで2勝を挙げた全姉モンネトワ(父キズナ)も母ユメノトビラ(父Bernardini)も橋口慎介厩舎が管理した、ゆかりの血統。この血統を知り尽くす橋口慎介調教師が「ユメノトビラの仔の中では一番いい」と評価している。

 8月28日のCWでは3頭併せの真ん中で遅れ。これについて、師は「初めてCWでしっかり追い切ったので、まだ分かっていなかったみたいですね。来週は変わってきますよ」と話していたが、その通りになったのが9月5日のCW。レースで騎乗予定の鮫島克駿騎手が跨って3頭併せの真ん中だったが、先行していたヴァンアグレアブルに追いつくまでがめちゃくちゃ速い。センスがあるからこそできる加速力で手応えも楽だった。母もきょうだいもダートでの活躍が目立つが「調教では柔らかい走りをしているので」と期待している。

(取材・文:井内利彰)