二世帯住宅の間取りは、共有部分をどうつくるかがポイントです。2年前に二世帯住宅を建てたライターは、左右分離型にして、同じ1階にLDKを配置。その間に共有の玄関がある間取りにしました。上下分離型でありがちな生活音の問題もなく、買い物や外出もスムーズ。お隣さんのようないい距離感で暮らしています。ただし、ちょっと後悔していることも…。

建てたのは玄関が共有の左右分離型の二世帯住宅

筆者の家族構成は、妻と2人の子ども(4歳、3歳)の4人。2年前にハウスメーカーで左右分離型(玄関のみ共有)の二世帯住宅を建てました。この家で親世帯(筆者の母、祖母、叔父の3人)と、合計7人で生活しています。

およそ115坪の敷地に、親世帯は「平屋」、子世帯は「2階建て」という居住空間を確保。それらを合体させたような二世帯住宅です。ちなみに延床面積は、親世帯も合わせると約62坪あります。

間取りは、7LLDDKK+S+2WIC+書斎という、かなり複雑な構成。1階の右半分が親世帯、左半分が筆者家族のLDKと水回りです(上図)。

ちなみに2階は、すべて筆者家族(子世帯)の空間で、子ども部屋や寝室などがあります。

もともと、敷地内同居だったため、二世帯住宅への抵抗感はありませんでした。ですが、ひとつ屋根の下に家族7人が暮らすためには、間取りを工夫しなければなりません。

お互いに「LDKと水回りはそれぞれ別に」と意見が一致していたため、玄関のみ共有に。お互いのLDKを左右で分け、基本的な生活スペースは1階にまとめる間取りになりました。

メインの暮らしは1階なので、階段の上り下りは最小限

親世帯、筆者世帯ともLDKや水回りは、すべて1階にまとめたわが家。子ども部屋で遊ぶときや就寝するとき以外は、ほとんど1階で過ごしています。

では、実際に住んでみて感じた2つのメリットをご紹介します。

●階段の上り下りが最小限ですみ、外出もスムーズ

1つ目は、筆者世帯のLDKや水回りを1階に設けたことで、階段の上り下りが最小限ですむことです。ですから、家事もラク。

1階に親世帯、2階に子世帯という「上下分離型」の場合、頻繁に階段を上り下りすることに。筆者家族は、買い物などの荷物を運ぶことや、子どもを抱っこしての階段の上り下りに不安があり、筆者世帯のLDKも1階にしたのです。

実際に1階にLDKがあることで、玄関がすぐ隣に位置するため、外出時や帰宅後、スムーズに移動できます。また、子どもたちの階段での転落リスクも少なく、安心して過ごせています。

●足音や物音などが親世帯にひびく心配が少ない

2つ目は、親世帯も同じフロアにあることで、足音や物音などが直接親世帯にひびく心配が少ないことです。子どもたちがリビングで走り回ったり、飛び跳ねたりすることもあります。しかし、玄関ホールを介してドアが2つあるので、親世帯も気にならないとのこと。

また、親世帯とは生活リズムや就寝時間が違いますが、夜も足音をたてないよう神経質にならなくていいのも、このプランのメリットだと感じています。

同じ1階にLDKがあると、コミュニケーションもスムーズ

上の写真は共有の玄関です(左の扉が子世帯、右の扉が親世帯)。2つの世帯のLDKが1階にあることで、気軽にお互いのLDKを訪問。子どもを預かってもらいやすいのも、この間取りのメリットです。

親世帯から食材をもらったり、筆者の母と妻の間で、購入したものをお裾分けしたり…。気兼ねなく行き来できる間取りが、家族の関わりを深くしてくれていると感じます。

しかし、二世帯住宅とはいっても、親世帯と子世帯では生活スタイルが違ってきます。親世帯は筆者世帯のLDKや2階へは、用事がないかぎり来ません。

筆者家族も親世帯とのプライバシーを守る意味で、気をつけていることがあります。それは、以下の3つです。

・イレギュラーなことがないかぎり、事前連絡なしに子どもを預けない
・親世帯が留守中に勝手に親世帯のLDKへ行かない
・親世帯で遊んでいるときでも、親世帯の個室へは勝手に入らない

筆者の子どもたちはまだ幼いため、勝手に個室へ入ったり、ものをあさったりしてしまうことがありますが、その都度しっかりと注意するようにしています。家族とはいえ、マナーを守ることは大事。ルールを決めているおかげで、トラブルなどに発展していません。

大満足の左右分離型。後悔していることも…

大満足の間取りですが、実際に住んでから感じたことも。それは、筆者世帯のリビングのドアをあけると、すぐに玄関ホールがあり、LDKが丸見えになることです。

玄関が近くとても便利ですが、実際は少し困ることが。玄関ドアの開閉音が聞こえると、子どもたちがリビングのドアをあけて、帰ってきて玄関にいる祖母を、迎えに行くことがあります。

そういうときは、いきなり子どもにリビングドアをあけることで、筆者世帯のLDKが丸見えに。さらに、妻がいきなり義理の家族と顔を合わせることもあり、お互いに気まずいことも。

実際に住むまでは気がつかなかったことですが、リビングドアの位置をずらすなどの工夫をすれば、お互いのプライバシーをさらに守れたのではないかと思います。

将来も安心!親世帯にすぐ行ける、バリアフリーな間取り

親世帯の居住空間はすべて1階で完結しているため、バリアフリーという観点からも安心。また、筆者の母が高齢になっても、近くで見守れます。

将来、子どもの思春期や親の介護などがあっても、お互いの存在を感じながら、ほどよい距離感で過ごしていけるでしょう。

必要なときにいつでも顔を合わせられ、子どもたちは「隣で遊ぶ!」と、親世帯のLDKへ遊びに行く。二世帯住宅でありながら、玄関のみの共有で、お隣さんのような距離感で暮らすことのできる「左右で分けた間取り」に大満足です。