ESSEonlineに掲載された記事のなかから、9月に読みたいベストヒット記事をピックアップ!

家好き芸人・アンガールズ田中さんが、「すごいリノベーション」をした建物を訪問。リノベーション会社「ブルースタジオ」の大島芳彦さんのお宅です。築約30年の実家を、しっかりと断熱対策をして二世帯住宅にリノベーション。2世帯になったのに、母のひとり暮らしのときよりも、光熱費が大幅に削減できました。田中さんに同行した『リライフプラス』編集部がレポート。

※ 記事の初出は2023年9月。年齢など内容は執筆時の状況です。

元の形を生かしつつ断熱性を上げて省エネな家に

大島:この家は31年前に父が建てたもので、設計は建築家の増田奏さん。吉村順三事務所にいた人で、水平のラインを強調しているところなどに吉村ディテールが感じられ、当時の建築雑誌『住宅特集』にも紹介されました。

田中:先ほど雑誌を見せてもらいましたが、すごくすてきな建物だったんですね。それを生かすようにリノベしたんですか?

大島:この家は両親と私、妹、祖母の5人家族のためにつくられましたが、私と妹が家を出て、祖母、父が亡くなり、母がひとりになったので一緒に住むことに。母は80歳を過ぎていたので、住環境をがらりと変えてしまうのはよくないと思い、LDKのある1階はできる限り元の間取りを尊重。2階はスケルトンにして、私たち夫婦と2人の息子、4人家族の空間を新たにつくりました。

ふたりで月7万、8万円の電気代→5人で3万円台に

田中:元の建物を生かしながらリノベーションするのは大変でしたか?

大島:いちばんやっかいだったのは、開口が多すぎることです。しかも30年前なのでシングルガラスのアルミサッシで、寒いし暑かった。そこで、窓はすべて断熱・気密性の高いペアガラスの樹脂サッシに変更し、壁、天井から床まですべて断熱材を施しました。

 

田中:だいぶ暖かくなりましたか?

大島:それはもう(笑)。家全体を断熱したので、どこにいても快適です。以前は父と母のふたりだけでも月7万〜8万円かかっていた電気代が、今では5人で月3万円くらい。

田中:それは大きい! 断熱がどれだけ大事か、よくわかりますね。

二世帯化リノベは子育てしやすくて合理的

大島:わが家の場合は母がひとり暮らしになったタイミングでしたが、二世帯化リノベはぜひ多くの人におすすめしたいです。郊外の住宅地などでは、大きな家にお年寄りがふたりで住んでいて2階は使っていなかったり、庭がジャングルみたいになっていたり。そういうのをよく目にします。そこに子世帯が一緒に住めば、お年寄りは元気になるし、子育てもサポートしてもらえる。70代ならまだローンが組めるので、ある程度リノベ費用を出してもらって家賃を払ってもいい。エネルギー効率もよくなるし、なにかと合理的でよい家がつくれますから。

田中:電気代が節約できることは実証ずみですもんね。この家のように、元の建物のいいところを残しつつリノベしていけば、さらに受け継がれていく家になるだろうし。

大島:時代や、そのときの家族構成、年齢に合わせて、リノベしながら暮らしていけたら理想的ですね。

田中:断熱とか、より快適に暮らす技術はどんどん出てくるわけですからね。

 

おすすめは妻の実家の二世帯化

大島:嫁姑問題とかもあるでしょうけど、おすすめは奥さんの実家です。子育てなんかも「ちょっとお願い」って言いやすい。それと、親にしかられたときに、祖父母のところが子どもの逃げ場になったりします。

田中:いったん避難するんですよね。わかります、ボクの実家がそうだったから。うちの父は、いわゆるマスオさんだったから、母は親にいろいろ頼みやすかったでしょうね。

大島:自分で実践してよさを実感したので、二世帯化を積極的に提案していきたいです。