井上尚弥に「限界はない」 ドヘニー母国元世界王者が“強すぎた”怪物を絶賛「日本ボクシングの見方を完全に変えた」
ドヘニーに何もさせず、圧勝した井上。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext
微塵の抜かりもない絶対王者の“圧勝劇”は、地力の差を見せつけるようだった。
9月3日、ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)は、元IBF世界同級王者のテレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)との4団体防衛戦で7回TKO勝ち。今年5月のルイス・ネリ(メキシコ)に続き、2度目の防衛を果たした。
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ギアを入れた瞬間の連打で仕留めた。7回開始早々に左ボディーなど矢継ぎ早に繰り出すと、被弾したドヘニーが腰を押さえて歩き出し、まさかの棄権。井上は前半から消極的と捉えられても仕方ない守勢を貫いた37歳を容赦なく攻め抜き、相手に初のTKO負けを味わわせた。
井上自身は「理想的な終わり方ではなく中途半端な終わり方になった」と“不完全燃焼”を認める。だが、序盤から主導権を握り続けた“モンスター”の貫録ある試合内容には、ドヘニーの母国アイルランドに所縁がある識者も絶賛する。
英紙『Mirror』でコラムを執筆している元WBA世界フェザー級王者のバリー・マクギガン(英国)は、「日本のハードヒッターであるナオヤ・イノウエの才能は“Sky’s the limit(限界がない)”」と称賛。さらに「日本ボクシングの見方を完全に変え、本格的なスポーツとして位置づけた」と賛辞を並べた。
キャリア戦績28戦無敗(25KO)と文字通り敵なしの井上。彼自身もドヘニー戦後の会見で「それ(フェザー転級)も視野に入れていくことはできるのかなと、そういう試合になったかな」と今後を明確に展望している。
そんな偉才の現状にマクギガン氏は「ライトフライ級世界チャンピオンからスーパーバンタム級の世界王者にまでなった進歩は、私がこれまで見たどんなものとも似ていない。そして、彼は現状で止まるつもりはない」と強調。「彼はこれ以上(階級を)に上がれないと考える人もいる。私はそうは思わない」と論じた。
「彼にはそれができる体力があるから、まだまだ(階級は)上がれる。限界がどこにあるかなんて誰にもわからない。イノウエがやっていることは本当に驚くべきことだ。おそらく体重が問題ではない。驚異的なのは、臨床的な効率で相手を倒す能力にあることだ」
さらに「スーパーフェザー級にまで到達するかもしれない」と6階級制覇の可能性も語ったマクギガン氏。仮に6階級で王者となれば、オスカー・デラホーヤ(米国)とマニー・パッキャオ(フィリピン)しか成し遂げていない偉業だ。井上がレジェンドたちと肩を並べる日は訪れるか。今後の挑戦も注目していきたい。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]