13日、決算説明会に出席したいすゞの井田社長(撮影:東雲吾衣)

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 ディーゼルエンジンの開発・生産などでトヨタ自動車<7203>と資本業務提携を7日に発表したばかりのいすゞ自動車<7202>の井田義則社長は13日、トヨタのトラック子会社・日野自動車<7205>との合併について「報道が先行している」とした上で、「現在、国内やタイの市場で日野とは真っ正面からぶつかって競争している関係にある。これからも自主経営を目指して最大限の努力をしていきたい」と自主独立を保つ姿勢を強調した。

 また、世界のトラック業界再編の流れについては、「財務状況をみると私たちの6%(の利益率)では足りない。10%くらいの利益を上げられると、ボルボなど世界のトラック業界の巨人たちと戦っていける」とする考えを示した。

 同日発表した2006年9月中間期連結決算は、売上高は前年同期比11.9%増の8247億4200万円と4年連続の増収だった。営業利益は同52.2%増の576億2600万円、経常利益は同54.5%増の627億4700万円、純利益は前年の1.1倍の554億800万円と、2年ぶりの増益で中間期での過去最高を更新した。

 国内では、排ガス規制に伴う買い換え需要が継続し、販売台数は前年同期比17.0%増の5万4097台だった。海外販売は、北米でSUV(スポーツ多目的車)の販売台数が減少したが、タイでピックアップトラックの販売が好調だったことなどにより、ほぼ前年並の16万7916台だった。

 井田社長は東京都千代田区の霞が関ビルで開いた決算説明会の席で、「国内販売や一般海外市場も堅調、部品ビジネスも大幅な伸びを示した。そういった結果が中間決算の最終成果になって表れた」と上期を総括。今後の課題については「中国市場での事業展開の遅れが影響し、海外販売の進捗(ちょく)が遅れている」とし、商品ラインナップの充実や販売拠点の拡充強化などに注力していく方向性を示した。

 この日、通期見通しの上方修正も発表。「海外のビジネスが安定的に推移すると期待できる」(井田社長)とし、 売上高は前年同期比3.0%増の1兆6300億円、営業利益は同10.2%増の1000億円、経常利益は同9.8%増の1030億円、純利益は同35.6%増の800億円とそれぞれ引き上げた。この結果、4期連続の増収増益になる見込みだ。また、08年3月期までの3カ年計画も1年前倒しして達成する見通し。来年の春には新計画を発表するとしている。【了】

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