友人宅でネットを使おうとしたら「コンビニのフリーWi-Fiを使って」と言われました…これって問題にならないの?【弁護士が解説】
都内の大学で法律を学んでいるAさんは、ある日授業の課題に取り組むために、友人であり同級生のBさんの家に向かいます。Bさんは一人暮らしで、1階にコンビニのあるマンションの2階に住んでいました。
【写真】妻に「この詐欺師が」と言われた夫、一目瞭然の理由に15万人が驚き 実弟はアイドルなのに!?
Bさんの家に到着したAさんは、課題に取り組むためにパソコンを取り出し「ネットにつながせてもらえる?」とBさんに話しかけます。するとBさんは「コンビニのフリーWi-Fiが届いてるからそれ使って」と返答。Bさんは普段からコンビニのWi-Fiを使っているというのです。
さすがにそれはまずいのではないかと思うAさんでしたが「別に法律違反はしてないから大丈夫。焼肉屋の匂いを嗅いでご飯を食べる人もいるだろう」というBさんの言葉を聞いて、しぶしぶコンビニのWi-Fiに接続しました。2人の行為は本当に法律上問題ないのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに伺いました。
法律的にペナルティを被る可能性は低いけれど…
ーコンビニなどのフリーWi-Fiは自宅から使っても問題ないのでしょうか
コンビニなどのフリーWi-Fiを自宅から使用したとしても、窃盗罪にはあたりません。そもそも窃盗罪は、刑法235条で「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する 」と定められています。
今回の場合、BさんはフリーWi-Fiの電波を無断で使用していたわけですが、電波は財物として認められていません。しかし電波と同じく形のない電気は、刑法245条で別途財物として扱うと定められているため、窃盗罪の対象となっています。
ーではこのままフリーWi-Fiを使い続けてトラブルになる可能性はありますか
仮にコンビニ側がフリーWiFiを使用を許可する際に「店内及び敷地内にいる時のみ使用を許可する」といった利用規約を提示し、その規約に同意したにもかかわらずユーザーが自宅で使用していたとすると、規約違反として不法行為と認定される可能性はあります。しかしその場合でもコンビニ側に具体的な損害が出ていないため、損害賠償請求を求めることは難しいでしょう。
ただ法律的にペナルティを被る可能性が低いとはいえ、倫理的には避けるべき行為です。実際に多くのコンビニチェーンではフリーWiFiの利用について店内に限定する規約を設けています。今はトラブルにならなくても今後トラブルになる可能性があるため、今のうちから自分でWiFiを確保し、正常に利用するようにした方がいいでしょう。
◆北村真一(きたむら・しんいち)弁護士 「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないといわれる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)