ホットケーキで子どもの頭が良くなるってホント? その方法を脳科学者が解説

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「自分の頭で考えられる、頭のよい子になってほしい」「子どもの知的好奇心を高めたい」子育て中の人なら、こんな思いを持つ人が多いのではないでしょうか。脳科学的には、「頭がよい」とは「脳の中に高速ネットワークをたくさん持っている状態」とも言うことができ、脳に刺激を与えて育てる「脳育」が重要なのだとか。そこで今回は、「脳トレ」の第一人者・川島隆太教授による著書『脳科学研究がつきとめた「頭のよい子」を育てるすごい習慣』(プレジデント社)から、脳育となる習慣について少しだけお届けします。

一緒にホットケーキを作ると、子どもの頭がよくなる!


子どもが生活の中で一番楽しみにしているものといえば、おやつ。幼児だけでなく、高校生、大学生になっても、自宅で食べるおやつを楽しみにしている子どもは多いことでしょう。

実は、子どもが大好きなおやつを親と一緒に作ることで、子どもの前頭前野が強く活性化されるのです。

私たちの研究チームは、仙台市の幼稚園児から小学6年生までの子どもたちが、親と一緒にホットケーキ作りをしているときの脳の活動の様子を測定しました。すると、泡立て器で混ぜたり、生地をこねたり、生地を焼いたりといった様々な工程のすべてで、前頭前野の血流がよくなり、その働きが活発になる様子が確認できました。

中でも、「卵を割る」「材料を量る」といった、慎重さが必要だったり、ほどよい難しさがある作業になると、特に強く反応することがわかった点は注目に値します。

とりわけ顕著に反応したのが、小学校中学年の児童でした。


忙しい平日に毎日一緒におやつ作りをするのは難しいでしょうから、“週末のお楽しみ”にするのもよい方法です。

研究では、週に一度、親子でホットケーキを作ることを6週間続けてもらったところ、やらなかった親子よりも実行した親子のほうが、親子の関係性や子どもの情緒面にポジティブな影響が表れることも確認されました。

幼少期の食を通じた親とのコミュニケーションは、脳発達だけでなく、大人になってからの幸福度にも大きく影響しています。

2009年(平成21年)に東北大学と森永製菓が共同研究で行ったアンケート調査では、幼少期に親とおやつ作りを体験した大学生は、体験したことがない大学生と比べて、「主体的幸福感」が高いことがわかったのです。


頭がよくなるうえ、大人になってからの幸福感まで高まる「親子でおやつ作り」を、ぜひご家族の恒例行事にしてください。

本文は『脳科学研究がつきとめた「頭のよい子」を育てるすごい習慣』(プレジデント社)より一部抜粋・編集しています。

画像提供:Adobe Stock

著者メッセージ


子どもの頭をよくするカギは、おでこのちょうど裏側にある「前頭前野」。前頭前野は考える力や集中力など、人間らしい高次な働きを担う重要な脳の部位です。

そんな前頭前野が強く活性化するのが、料理。材料を用意し、プロセスを組み立て、手を動かすといった作業をしている間中、脳はその働きをグンと高めているのです。

さらに、親子で楽しく会話しながら料理を楽しむと、相乗効果でさらに脳は活性化されます。なぜなら、「会話」もまた、前頭前野を強く活性化させるファクターであることがわかっているため。

「料理×親子の会話」の掛け合わせで、子どもの脳はその性能をグンと高めていくことでしょう。週に一度は、親子でのおやつ作りをぜひ楽しんでください。

書籍紹介


『脳科学研究がつきとめた「頭のよい子」を育てるすごい習慣』(プレジデント社)



だから地頭の良い子が育つ! 小中学生4万人調査で判明!

わが子が「先の見えない時代」を生き抜くために、親にできること、家庭ですべきことを「脳トレ」の第一人者・川島隆太教授が徹底教示。

★成績上位グループに共通する睡眠法とは? 

☆脳神経細胞を増やす、意外な「家庭遊び」 

★難関大学合格者が「朝」にしていたこと

☆情報処理能力が高まる「食材」はこれ! 

★記録力を30%高める、驚くべき記憶法が存在した

☆図解イラストで紹介、親子でできる「脳トレ」ゲーム

子どもの成績がよい“隣の家庭”は何を意識し、普段からどんな学習や遊びを実践しているのか──。子どもたちの秘めたる才能を開花させ、フルに発揮させる「脳育」のコツを教示する、親子で読みたい家庭副読本。

目次

はじめに 「頭のよい子」の正体

第1章 科学的に正しい「脳育」とは

第2章 脳によい習慣

第3章 子どもの脳によい食事

第4章 効率よく脳を働かせる勉強法

著者紹介


川島隆太(かわしま りゅうた)

東北大学加齢医学研究所教授。脳科学者。1959年千葉県千葉市生まれ。東北大学医学部卒業、同大学院医学研究科修了(医学博士)。 スウェーデン王国カロリンスカ研究所客員研究員、東北大学加齢医学研究所助手、講師を経て、現在同研究所教授。2014〜2023年3月に東北大学加齢医学研究所所長を務める。人の脳活動のしくみを研究する「脳機能イメージング」のパイオニアであり、脳機能研究の国内第一人者。ニンテンドーDSゲームソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」で一躍時の人に。認知症高齢者や健常者の認知機能を向上させるシステムの開発や、「脳を鍛える」をコンセプトとする産学連携活動に尽力している。2024年より宮城県蔵王町観光大使に就任。