「ちりめん」の中から「フグの稚魚」? 販売が禁止されてるフグ、食べられるかどうかネットで論争
「ちりめん」にフグの稚魚?
奈良市在住の男性、「こふん皇子」(@KinugasA_)さんが8月25日、Xに投稿した写真が、大きな反響を呼びました。
「こふん皇子」さんによると、スーパーで「ちりめん」を買ったところ、さまざまな小さな生き物が混入していたといます。その中に、「フグの稚魚」のような魚も発見されたことで、注目を集めました。
本来であれば、フグをそのまま販売することは、法律で禁止されています。もしも「ちりめん」の中に「フグの稚魚」のような魚を発見した場合、どう対応すればよいのでしょうか。
●「明らかに通常のジャコ以外のものが…」
「ちりめん大パックを購入したのですが、そもそも見た目に明らかに通常のジャコ以外のものが混じっており、家族で拾い上げていたところ、フグみたいなものがいるなと気がつきました」
こふん皇子さんは、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、発見時の様子をこう語りました。
「フグの稚魚」と思われる魚の大きさは、およそ5ミリ程度で、2匹いたそうです。
「ググってフグの稚魚っぽいなと分かり、私は『食べたらやばいんじゃないか』、妻は『これくらい食べても死なんでしょ!』と意見が分かれ、ネットでは食べても問題ないという見解と、奈良市の公式サイトでは『食べないでください』とあったので、Xで問うてみようじゃないか、というのがポストの経緯です」
ほかにも、エビやタコ、タツノオトシゴと思われる生き物もまじっていたといいます。
「感想は、いろんなのがたくさん入ってるなぁくらいのものですかね(笑)」
●「発見したら保健所に連絡を」
では、発見されたのがフグの稚魚だった場合、どう対応するのがよいのでしょうか。
まず、こふん皇子さんが見たという奈良市の公式サイトには、「フグの混入に注意してください」というタイトルで、注意を呼びかける文書が掲載されています。
それによると、2021年〜2022年にかけて、東海地方のスーパーで販売された小魚(ちりめんじゃこ、シラス干し、豆あじ)にフグの稚魚が混入する事例がみられ、2014年には奈良市内でも同様の事例があったそうです。
「フグは、猛毒のフグ毒テトロドトキシンを持っていることから、喫食すると、重症の場合は死に至る可能性があります」として、買った魚介類を調理したり、食べる際には、違う種類の魚が混入していないか確認するよう、注意を呼びかけています。
弁護士ドットコムニュースの取材に対し、奈良市保健衛生課の担当者は、「フグと思われる魚を見つけたら、食べるのをやめて保健所までご連絡をお願いします」と話しています。
●フグの販売には厳しい規制
フグの稚魚の稚魚を食べても影響はないという意見もネットにはありますが、厚労省食品監視安全課の担当者は弁護士ドットコムニュースの取材に対し、次のように説明します。
「ただ、フグの稚魚の毒性については、まだよくわかっていない状態ですので、もし疑われる魚が発見されたら、保健所にお話していただくのが良いと思います」
フグの販売は、法律で厳しく規制されています。
「厚労働省が定めたフグの種類、部位以外の販売や提供は食品衛生法(6条2号)で禁止されています」(厚労省担当者)
もし違反した場合は、3年以下の懲役又は300万円(法人の場合は1億円)以下の罰金)が課される可能性があります。
これまで、フグの稚魚の混入は、度々起きてきました。厚労省の担当者は、「どうしても選別過程で除去しきれず、混入してしまうという事例はあります。もし発見された魚がフグの稚魚だった場合は、販売店やそれ以前の製造段階の事業者に指導が入ることになります」と話しています。