キッチンの排水口の掃除、どうしてる?

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 家の中に点在する、「汚れやすいけど掃除が面倒」な場所や物。しかし、面倒だからといって汚れたまま放置していると、不快な悪臭が発生する恐れもあります。

 そんな「掃除が面倒な場所・物」について、ハウスクリーニングアドバイザーの有賀照枝さんに、理想的な掃除の頻度や、汚れを除去するポイントを教えていただきました。今回は、悪臭に悩まされがちな「キッチンの排水口」です。

「ゴミ放置」で雑菌が繁殖する絶好の条件に

Q.そもそも、なぜキッチンの排水口は汚れやすく、悪臭が発生しやすいのですか。

有賀さん「キッチンの排水口につきやすい主な汚れは、食べカスや泥、調味料や油の汚れなどです。野菜などの食材を洗ったときには泥汚れやその汁、調理で食材を刻んだときには細かな切れ端などのゴミが出ます。また、食事が終わった食器には食べカスが、フライパンなどの調理器具などには食材から出た水分や調味料類、油汚れなどが付着しています。キッチンのシンクでそれらを洗えば、落ちたゴミや汚れが排水口に流れていきます。

水が流れてくる頻度も高いので、『ゴミ受け』と呼ばれる排水バスケットにたまったゴミをそのまま捨てずにいると、排水が悪くなって常に湿った状態が続き、雑菌が繁殖するのに絶好の条件になります。時間がたって雑菌がさらに大量繁殖すると、『バイオフィルム』と呼ばれるヌメリになり、独特な悪臭が発生します。さらに、そのままヌメリを放置しているとカビが発生し、カビ臭が混ざる場合もあります。

ゴミ受けをすり抜けた汚れは排水トラップ、排水管へと流れていくので、ゴミ受け以外の掃除も怠ると、同様に雑菌が繁殖して悪臭が発生する原因にもなります。

家庭内にあるシンクの中でも特に、毎日の食事を作るキッチンのシンクは使用頻度がかなり高いので、悪臭がすると、せっかくの食事作りもあまり気分がよいものではありませんね」

Q.キッチンの排水口を掃除する際、特にチェックすることが推奨される汚れや部分はどこでしょうか。

有賀さん「キッチンの排水口を掃除するときは、外して洗える部品は基本的に一緒に洗うのがよいでしょう。掃除を行うときは、次に挙げる3カ所を重点的にチェックしてみてください」

【ゴミ受け(排水バスケット)・フタ】

キッチンの排水口の中でも特に汚れやすい場所です。細かなゴミを取り除いて、汚れやヌメリがないかチェックしましょう。

ゴミ受けは、プラスチック製のものをはじめ、ステンレス製のメッシュや細かい穴が開いたタイプが多いので、汚れがそうひどくない場合は、スポンジで水を流しながら洗います。細かい部分やスポンジでも落とせない汚れは、使い古した歯ブラシなどで汚れをかき出しましょう。

食器用洗剤を使って洗ってもよいですが、ヌメリが出たり、カビが発生してしまったりした汚れには、塩素系漂白剤を使いましょう。泡タイプの塩素系漂白剤の場合は、ゴミ受けにまんべんなく吹きかけ、数分置いてから洗い流します。液体タイプの場合は、希釈液の中に数分つけ置きしてから洗い流します。排水口のフタの掃除も、ゴミ受けに準じます。

【排水トラップ本体・ワントラップ】

ゴミ受けを外すと、排水トラップ本体が現れます。本体の底には、多くの場合「ワントラップ」と呼ばれるプラスチック製のおわん型の部品がついているので、反時計回りに回して取り外します。トラップ本体や封水(ふうすい)がたまっている部分も、固まって白っぽくなった油やヌメリなどで汚れているので、スポンジでこすり洗いします。ゴミ受けに準じて掃除しましょう。

【排水管】

ワントラップを外すと、排水管の入り口が見えてきます。冷えて固まった油汚れやヌメリ汚れが筒の内側に付着している場合があるので、普段の掃除では、使い古した歯ブラシなどを使って届く範囲できれいにしましょう。市販のパイプ洗浄剤を使ってもよいです。

深型のゴミ受けを使っている場合は…

Q.「不快なにおいがしない排水口」を保つには、どうすればよいですか。

有賀さん「悪臭を発生させないためにも、夕食後の後片付け時のタイミングなどに、ゴミ受けにたまったゴミを1日1回はまとめて取り除くようにしましょう。目が細かい使い捨てのゴミ受けネットを排水バスケットにかぶせて使用すると、ゴミ捨て時に便利です。

掃除の頻度は1週間に一度程度を目安に、シンク内やゴミ受け、排水トラップ内も、そのとき一緒にサッとでも洗えると理想的です。特に夏場は雑菌が繁殖しやすい条件がそろっているので、冬場よりも回数を増やして、こまめに排水口掃除を行ってください。

もし、深型のゴミ受けを使っている場合は、パンチング状の浅型タイプに変更してみるのもおすすめです。ゴミ捨てが楽になり、洗うのも断然楽です。賃貸物件の場合は退去時に原状回復が必要なので、浅型タイプに変更した場合は、深型タイプを捨ててしまわないように気を付けてください。

また、銅製のゴミ受けもヌメリにくくしてくれるアイテムの一つなので、交換の参考にしてみてください。銅製のゴミ受けに交換した場合は、腐食を防ぐため、塩素系漂白剤は使わない方が無難です。

長期の旅行などでキッチンのシンクに水を流していない場合は、排水トラップの封水が蒸発してしまうことがあります。そうすると、排水管から臭いが上がってきて、部屋中に悪臭が漂うことになるので、使っていなくても定期的に水を流すようにしたいものです。近年はディスポーザーが付いた排水口も増えているので、取扱説明書を事前によく読んでお手入れしましょう。

最後に、塩素系漂白剤を使うときには、窓を開けるなど換気に気を付けながら、手袋などを付けて掃除をしましょう。有毒ガスの発生の危険があるため、決してクエン酸など酸性洗剤を併用して使わないようにしてください」