「めちゃくちゃよ」体操女子ゆかの女王が“銅メダルはく奪騒動”に心痛!「特別で重要な瞬間だった」快挙達成が幻に
体操で黒人選手が表彰台を独占したシーンが幻となった(C)Getty Images
パリ五輪で8月5日に実施された体操女子種目別ゆか決勝での順位変更が、騒動を巻き起こしている。
決勝戦では一度、ルーマニア代表のアナ・バルボスが13.700点で銅メダルを勝ち取ったと思われたが、13.666点で4位だった米国代表のジョーダン・チャイルズの技の難易度に関する採点の見直しが米国側の抗議により行われ、チャイルズの得点が13.766点に変更。バルボズを僅かに上回ったことでチャイルズが銅メダルに輝いた。
【画像】ドラマ相次ぐパリ五輪の「悲喜こもごも」を厳選フォトでチェック!
しかし、その後、ルーマニア側の異議申し立てが行われ、スポーツ仲裁裁判所(CAS)が米国側の抗議のタイミングが規定の時間である1分を過ぎていたとの裁定を下した。これにより、国際体操連盟(FIG)はチャイルズの銅メダルを取り消した。チャイルズは5位に下がり、バルボスが銅メダルを獲得することになった。
この裁定に米国体操連盟は反論。証拠の映像をもとにCASに訴えたが、裁定の見直しは行わないこととなった。これを受けて、米連盟側はスイス連邦裁に上訴する意向を示している。
事態は泥沼化の様相を呈しているが、この状況に心を痛めたのは当事者だけではなかった。同じく種目別ゆかで金メダルを獲得したブラジルのレベッカ・アンドラーデは米スポーツメディア『Essentially Sports』の記事内で、今回の騒動について「めちゃくちゃよ」と嘆いている。
さらに「どんな結末になるかはわからないけど、彼女たちは控訴を求めたから、起こっていることをすべて見直すことができる。でも、FIGがこれをどう解決するのかは本当にわからない」とコメントしている。
当事者ではないアンドラーデが不満を示すのも無理はない。今回の騒動で五輪史上初めて黒人選手が体操競技で表彰台を独占した快挙が幻となってしまったからだ。
今大会の感動の場面のひとつとして話題になったのが、アンドラーデが表彰台に立つ直前に銀メダルを獲得した米国のシモーネ・バイルズと、銅メダルのチャイルズの2人がひれ伏すようなポーズを取って、女王を称えたシーンだった。
アンドラーデはこのときのことを回想し「センセーショナルだった。私にとっても特別で重要な瞬間だったわ」と答えている。
そして「私たちにとっては、3人の黒人女性が多くのことを代表していた。それはとても特別なことで、歴史的なことで、今までになかったことだった。だから、私だけのためにお辞儀をしたのではなく、すべての少女たち、女性たち、そして、それが可能であることを示すために懸命に戦ったすべての人々のためにお辞儀をしたのだと思う」と付け加えた。
快挙達成の瞬間を象徴した3人の姿は幻のシーンとなったが、騒動の決着はいまだ終わりが見えていない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]