公開練習時に会見した健文トーレス【写真:亀田プロモーション提供】

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健文トーレスが練習公開

 ボクシングの52.5キロ契約ノンタイトル10回戦が24日、大阪・大和アリーナで行われる。WBO世界バンタム級11位・健文トーレス(TMK)がWBO世界スーパーフライ級1位KJ・カタラジャ(フィリピン)と対戦。20日は大阪府内のジムで練習を公開した。

 幼少期の頃は「天才」「世界王者確実」と言われていた逸材。しかし、才能があり過ぎたゆえに努力を怠り、遊びの道に逸れてしまった。素行の悪さから逮捕された過去も。月日が経ち、諦めきれずにボクシングの道に戻ってきた。

 5月にWBO世界バンタム級1位レイマート・ガバリョ(フィリピン)に初回TKO勝ちした。36歳にとって世界王座への残されたチャンスは少ない。新興行「3150×LUSHBOMU vol.1」内で行われる一戦。メインイベントでは、元世界2階級制覇王者のIBF世界フェザー級3位・亀田和毅(TML)が同級2位レラト・ドラミニ(南アフリカ)と同級挑戦者決定戦12回戦を行う。

 健文トーレスの会見の主な一問一答は以下の通り。

――日本での試合は何年ぶり?

「約7年ぶりでの日本での試合になる」

――今回の試合が決まった心境は。

「今回の試合を組んでくれた方々もそうですが、日本で試合をするにあたってライセンス取得にご協力してくれた方々にも感謝しております」

――TMKジムに所属した経緯は?

「昨年5月に和毅選手に連絡をしてジムを見学し、その際にトレーニングを見て、このジムしかないなと強く思った。前からアプローチをしていたが、試合に負けてしまった。タイミングを逃してしまったが、前回ガバリョに勝ち、改めてお願いしてTMK所属となりました」

――亀田三兄弟との関係性は?

「幼少期から一緒にトレーニングをしていたり、小学校が一緒で遊んだりもしていた仲。学年は興毅ファウンダーの1つ下。大毅会長の1つ上の学年です」

――ガバリョ戦はどんな気持ちで臨んだ?

「自分では勝てないと一度はオファーを断ったが、なんでこのような機会を断ってしまったのかと一生後悔すると思い、もう一度自ら連絡し、試合に臨んだ。イチかバチかの勝負でした」

――カタラジャの印象は?

「強い選手なのは間違いない。パンチもあるでしょうし、うるさそうな選手。でも、自分は負けるとは全く思っていない。TMKジムに所属してから体のケアから学び直して、今までで一番充実した練習ができている。今の俺が気持ちと技術で負けることはない」

――過去の犯罪歴(タクシー強盗など2度の収監。刑務所暮らしなど)を振り返ると?

「刑務所には6年半+4年半、計11年入っていました。自分が罪を償えるとは思っていない。被害に遭わせた人もいます。仮に自分が世界王者になったとしても、自分が更正したとは言えない。だけど、自分が間違っていたことを理解し、ボクシングは好きだったと改めて感じた。その思いだけでも今回の試合で示したいと思う」

――ボクシング以外の今の仕事は。

「知り合いの紹介で介護士の仕事をしています。介護の仕事を通じて、感謝されることのありがたみと嬉しさに気づくことができた。それで自分は人のありがたみを理解することができた」

――意気込みを。

「今回の試合に向けて、自分がびっくりするくらい応援してくれる人がたくさんいることがわかった。チケットもすぐに完売した。お兄ちゃんを始め、家族にはいろいろ迷惑をかけたけど、今でも応援してくれるし、相談に乗ってくれる。応援してくれるみんなのためにもリングで感謝の気持ちが伝わるボクシングをします」

 隣で聞いていた亀田興毅プロモーターも「健文は昔から知っているけど、ほんまに周りから『絶対、世界王者になる』と言われていたほど凄かった。そんな彼が紆余曲折を得て、ようやくこの舞台まで戻ってきた。和毅のメインイベント、(重岡)優大のセミファイナルとともに健文の試合を含めた3試合は、全ての試合が勝てば世界戦という大一番。健文も相手は相当強いけど頑張ってほしい」と幼馴染に期待した。

 会見の後にシャドー、メキシコ人トレーナーとのミット打ち、サンドバッグ打ちを披露した健文トーレス。父はメキシコ人の元WBC世界ライトフライ級王者ヘルマン・トーマス氏で、兄らもプロボクサー。ボクシング一家で育った。

 2戦連続で世界ランク1位に勝利すれば、夢だった世界挑戦への道が開けてくる。本来の階級であるバンタム級では日本人が4団体の王座を独占。勝てば、スーパーフライ級とバンタム級まで世界挑戦の可能性がある。

(THE ANSWER編集部)