Western DigitalのPCIe 4.0対応M.2 SSD「WD Blue SN5000 NVMe SSD」が2024年7月に登場しました。WD Blue SN5000 NVMe SSDは同容量のPCIe 4.0対応SSDの中では比較的安価ながら最大読み込み速度5500MB/sの転送速度を備えているとのこと。そんなWD Blue SN5000 NVMe SSDの4TB版に触る機会を得られたので、転送速度や細かい仕様をチェックしてみました。

WD Blue SN5000 NVMe SSD

https://www.westerndigital.com/ja-jp/products/internal-drives/wd-blue-sn5000-nvme-ssd

・目次

◆1:WD Blue SN5000 NVMe SSDの見た目をチェック

◆2:PCに組み込んでベンチマーク

◆3:HMBの仕様をチェック

◆4:セクターサイズを変更してみた

◆5:まとめ

◆1:WD Blue SN5000 NVMe SSDの見た目をチェック

WD Blue SN5000 NVMe SSDの容量は「500GB」「1TB」「2TB」「4TB」の4種類で、今回は4TB版を使います。なお、「500GB」「1TB」「2TB」はTLC NAND、「4TB」はQLC NANDを搭載しているため、ほかの容量では性能に違いがある可能性があります。



4TB版の最大読み込み速度は5500MB/sです。



パッケージの中にはWD Blue SN5000 NVMe SSD本体と保証書兼説明書が入っていました。



WD Blue SN5000 NVMe SSDの見た目はこんな感じ。ヒートシンクは付属しません。



ラベルの下にNAND型フラッシュメモリが2枚搭載されています。



コントローラーの型番は「A101-000171-A1」です。



裏面にはチップ類は実装されていません。



◆2:PCに組み込んでベンチマーク

4TB版WD Blue SN5000 NVMe SSDをPCに組み込んで性能を検証してみます。なお、検証に使うPCのマザーボードは「X670E Taichi Carrara」で、CPUは「AMD Ryzen 5 7600X」、OSは「Windows 11 Pro」です。



Windowsを起動してボリュームを作成した結果、容量3.63TBのストレージとして認識されました。



「CrystalDiskInfo」でストレージ情報を確認した結果はこんな感じ。



「CrystalDiskMark」でベンチマークを実行したところ、シーケンシャル読み込み速度は5503.89MB/s、シーケンシャル書き込み速度は5060.00MB/s、ランダム読み込み速度は960.28MB/s、ランダム書き込み速度は856.83MB/sでした。



ブロックサイズごとのデータ転送速度を測定できる「ATTO Disk Benchmark」の実行結果が以下。書き込みはブロックサイズ64KB、読み込みはブロックサイズ1MBからカタログスペック通りの性能を発揮できるようです。



続いて、有料ベンチマークソフトの「HD Tune Pro」で性能を詳しく検証してみました。まず1.9TBのファイルの読み込み速度(青)と書き込み速度(オレンジ)を測定した結果、速度が低下することなく最後まで読み書きできました。



続いて、ボリュームを削除してからデータ転送速度を測定してみました。読み込み速度は平均1900.3MB/sで、最初の400GBまではわずかに高速に読み込めました。



書き込み速度の平均は2334.2MB/s。約3800GB書き込んだ時点で書き込み速度が急落しています。



ストレージの各領域の読み込みにおける「1秒当たりのオペレーション回数」「データ転送指示を出してから反応するまでの時間(アクセスタイム)」「ストレージの領域ごとの性能のバラツキ」などを測定した結果が以下。平均アクセスタイムは0.145ミリ秒で、性能のバラツキは少なめでした。



書き込み時の平均アクセスタイムは0.131ミリ秒でした。



◆3:HMBの仕様をチェック

高性能SSDの中にはキャッシュ用のDRAMを搭載することで転送速度を高めてるものがありますが、WD Blue SN5000 NVMe SSDにはDRAMが搭載されておらず、代わりにPCのDRAMをキャッシュとして使う「ホストメモリバッファ(HMB)」という仕組みを採用しています。

インターネット上で公開されているHMBの仕様確認アプリ「nvme-hmb.exe」を使ってWD Blue SN5000 NVMe SSDの仕様を確認した結果が以下。HMBの推奨容量(HMB Preffered Size)は65536KBで、最小容量(HMB Minimum Size)は3292KBでした。



◆4:セクターサイズを変更してみた

SSDの中にはセクターサイズを変更できるモデルが存在します。WD Blue SN5000 NVMe SSDでもセクターサイズを変更できるのか試した結果、変更することに成功したので手順をまとめておきます。なお、セクターサイズを変更するとデータがすべて消えるので注意が必要です。

まず、LinuxにNVMe公式管理ツール「nvme-cli」をインストールし、「sudo fdisk -l」を実行してWD Blue SN5000 NVMe SSDのデバイス名を確認します。今回は「/dev/nvme2n1」として認識されていました。



続いて「sudo nvme id-ns -H 【デバイス名】 | grep "LBA Format"」を実行すると、使用可能なセクターサイズが表示されます。このうち「(in use)」と記されているものが使用中のセクターサイズです。WD Blue SN5000 NVMe SSDの初期設定のセクターサイズは512バイトで、4096バイトに切り替えることもできることが分かります。今回はセクターサイズを4096バイトに切り替えたいので、「LBA Format」の右隣に表示された「1」という数字を覚えておきます。



セクターサイズを変更するには「sudo nvme format --lbaf=【上記の操作で確認した数字】 【デバイス名】」というコマンドを実行すればOK。今回は「sudo nvme format --lbaf=1 /dev/nvme2n1」というコマンどを実行しました。



「sudo nvme id-ns -H /dev/nvme2n1 | grep "LBA Format"」を実行すると、セクターサイズが4096バイトに切り替わっていました。



◆5:まとめ

4TB版WD Blue SN5000 NVMe SSDは、PCIe 4.0対応の大容量SSDとしては比較的安価ながら、高速なSSDとして必要十分な転送速度を備えています。PlayStation 5の「シーケンシャル読み込み速度5500MB/s以上」という推奨要件を満たしているのも魅力的。ヒートシンクは付属しませんが、M.2 SSDに対応するサーマルパッドやヒートシンクは数多く市販されているため、問題になることはないはず。今回のテストでは特に問題は確認されなかったため、「高速なSSDが欲しいけど、スペックにはこだわらない」という人にかなりオススメできます。

なお、4TB版WD Blue SN5000 NVMe SSDはAmazon.co.jpで税込4万8465円で販売されています。

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