司法省がTikTokを提訴、「子どものプライバシーを大規模に侵害」と主張
アメリカ司法省が、ショート動画共有プラットフォームであるTikTokを「何百万人もの子どものデータを違法に収集している」としてカリフォルニア州中部地区連邦地方裁判所に民事訴訟を起こしたと発表しました。
Office of Public Affairs | Justice Department Sues TikTok and Parent Company ByteDance for Widespread Violations of Children’s Privacy Laws | United States Department of Justice
DOJ sues TikTok, alleging “massive-scale invasions of children’s privacy” | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2024/08/doj-sues-tiktok-alleging-massive-scale-invasions-of-childrens-privacy/
今回の訴訟は、連邦取引委員会(FTC)が2024年6月に司法省に付託していたものです。
TikTokに対する訴状を司法省に付託したとFTCが発表、子どもへのプライバシー違反が原因 - GIGAZINE
TikTokには13歳以上しか利用できないという年齢制限が存在しますが、訴状によると、2019年から記事作成時点に至るまで、TikTokは対象年齢未満の子どもたちが通常のTikTokアカウントを作成し、プラットフォーム上で大人を含む他人とショートムービーやメッセージを作成・閲覧・共有することを故意に許可していたと指摘されています。
また、司法省は、「TikTokは親が知らないうちに、あるいは同意なしに子どものアカウントを作成してアクセスを許可し、子どもからデータを収集し、子どもたちのアカウントと情報を削除するという親の要求に従わなかった」と主張し、TikTokが児童オンラインプライバシー保護法および規則(COPPA)に違反したと訴えました。
一方、TikTok側は「アカウントを作成するユーザーに生年月日の報告を義務付けており、TikTokは主な視聴者として子どもを対象としていない」と主張しているとのこと。これに対して司法省は「TikTokは子どもがウソの生年月日を使用することを阻止する措置を一切取っていない」と指摘しています。
もしこの訴えが認められた場合、司法省は「2024年1月10日以降に評価された規則違反ごとに最大5万1744ドル(約750万円)の民事罰が認められる」としており、TikTokは巨額の罰金を科せられるリスクがあります。
司法次官代理であるベンジャミン・C・マイザー氏は「司法省は、TikTokが子どもの個人情報を収集し、保持し続けていることを深く懸念しています。司法省は今回の措置により、TikTokが子どものプライバシーを保護する義務と、子どもを守ろうとする親の努力を尊重する義務を確実に果たすようにしたいと思います」と述べました。
TikTokはX(旧Twitter)で、「私たちはこれらの申し立てに同意しません。その多くが事実として不正確であったり、すでに対処済みの過去の出来事や慣行に関するものです」と述べました。
Our statement on today's lawsuit by the Department of Justice:
"We disagree with these allegations, many of which relate to past events and practices that are factually inaccurate or have been addressed.
We are proud of our efforts to protect children, and we will continue to…— TikTok Policy (@TikTokPolicy) August 2, 2024
さらにTikTokの広報担当者はIT系ニュースサイトのArs Technicaに対し、「今回の訴訟は、TikTok禁止令を憲法違反だとして訴訟を起こして抵抗するTikTokとByteDanceに対する報復だとみなしています」とコメントしています。
TikTokがアメリカでの禁止措置をめぐり訴訟 - GIGAZINE
TikTokの広報担当者は「私たちは子どもを守るための努力を誇りに思っており、プラットフォームの更新と改善を続けていきます。そのために、厳格な安全対策を講じて年齢相応の体験を提供し、未成年と疑われるユーザーを積極的に排除し、デフォルトのスクリーンタイム制限、ファミリーペアリング、未成年者向けの追加のプライバシー保護などの機能を自主的に導入しました」と語り、司法省の言い分は事実に反すると主張しました。