パリ五輪競技「バスケットボール」に高注目度 地上波放送の視聴質データから傾向分析
●6〜7月の地上波プライム帯中継で高い数値
テレビ画面を注視していたかどうかがわかる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、パリオリンピックの採用競技「サッカー」「バスケットボール」「バレーボール」について、最近の地上波放送の視聴質データから人気の傾向を分析した。
○男子バスケ韓国戦で63.0%の注目度
REVISIOでは、オリンピック目前の6〜7月にかけて、地上波プライム帯(19時台〜22時台)で放送されたオリンピック採用競技の国際試合を視聴質データで分析。その結果、視聴者が最もくぎづけになっていた(個人全体で最も注目度が高かった)競技は「バスケットボール」であったことが分かった。
この強化試合では、男子日本代表の2大スターである八村塁選手と渡邊雄太選手が不出場だったにもかかわらず高い注目度を獲得。東京オリンピックで銀メダルを獲得した女子日本代表への期待も含め、日本のバスケットボール界全体への関心が高まっていることを示しているといえる。オリンピックの試合も高い注目度を獲得することが予想される。
バスケットボールの視聴質データでは、7月上旬に行われた3つの国際強化試合において、いずれも個人全体注目度で民放キー局の同時間帯平均注目度を超えるという結果が出た。これはバスケットボールファンだけでなく、一般視聴者からも広く注目を集めていることが推察される。特筆すべきは、7月5日の韓国戦での注目度。個人全体が63.0%に達し、女性の注目度に至っては66.3%という今回の分析で最も高い水準となった。視聴質データから見る限り、バスケットボールの人気は女性がけん引していると言えそうだ。
現在の男子日本代表を語るには、NBAへの挑戦を宣言している若手コンビ、河村勇輝選手と富永啓生選手の存在が欠かせない。河村選手はBリーグ屈指の実力を誇るだけでなく、「B.LEAGUEモテ男No.1決定戦」で見事No.1に輝いた経歴を持つ。アメリカ大学バスケで堂々たる実績を残して代表入りした富永選手も、今大会によって大きな飛躍が期待されており、このような多彩な魅力を持つ選手の台頭が、バスケットボールファン以外の層からも注目を集める要因となっているのだろう。
○女子バスケもニュージーランド戦で高数値
一方、女子日本代表も大きな注目を集めている。東京オリンピックで銀メダルを獲得した女子日本代表は、世界ランキング9位の強豪チームとして、パリでも再びメダル獲得を目指している。注目選手としては、東京大会でも活躍した高田真希選手や町田瑠唯選手が挙げられる。特に町田選手は、東京大会の準決勝でオリンピック記録となる18アシストを記録するなど、チームの中心選手として期待されている。また、若手の山本麻衣選手が2024年の五輪予選大会MVPに選出されるなど、新たな戦力も加わっている。
女子日本代表の直近の強化試合の視聴質データは、7月4日のニュージーランド戦で、個人全体注目度が60.3%を記録。試合も日本代表の強みであるスリーポイントを25本成功させ「125-57」で圧勝。快調な勝利を納め、調子の良さを感じさせてくれる出来だった。
パリオリンピックでは、女子日本代表は強豪国アメリカ、ベルギー、ドイツとともにグループCに組み込まれており、厳しい戦いが予想される。しかし、東京大会での銀メダル獲得や、その後の国際大会での好成績を考えると、日本チームの活躍に大きな期待が寄せられている。
●幅広い層に支持されるバレーボール
バレーボールの視聴質データでは、6月に行われたバレーボールネーションズリーグ福岡ラウンドを見ると、こちらも男女ともに世界レベルでの活躍が目覚ましく、代表戦に多くの人々が関心を寄せている。
女子の試合では常に個人全体で60%を超える高い注目度を維持し、男子の試合では放送を重ねるごとに注目度が上昇、最終的に女子に匹敵する水準に達している。コア視聴層(13〜49歳)の注目度も概ね高く、若い世代にも強い関心を持たれていることが分かる。世帯視聴率を見ても、女子のカナダ戦の9.1%を筆頭に、概ね5〜7%台を維持。平日夜のプライムタイムにこの水準の視聴率を記録していることは、バレーボールが幅広い層に支持されていることを示している。
特に注目度、視聴率共に高い結果を残したのは、6月13日に福岡で開催された女子のカナダ戦。世界ランク6位の日本と10位のカナダによる接戦は、パリ五輪出場権獲得の行方を左右する重要な一戦となった。試合開始直後から両チームが互いに譲らず、緊迫した雰囲気が会場を包んだ。
日本チームは古賀紗理那キャプテンと石川真佑選手を中心に攻撃を展開し、立て続けに2セットを連取。しかし第3セットから流れが一変。カナダチームが持ち前の高さを生かした攻撃を繰り出し、日本チームを圧倒して一気に2セットを奪い返す。勝負の行方を決める最終セット。両チームの意地がぶつかり合う中、2点差でカナダチームが勝利をつかんだ。
この試合結果により、惜しくもパリ五輪出場権獲得は次戦以降に持ち越されることとなったが(※他国の結果により翌日に五輪出場が確定)、逆にこの劇的な展開が視聴者の視線をくぎづけにしたものと思われる。
○男子バレーは放送を重ねるごとに上昇
一方、男子日本代表の試合も放送を重ねるごとに注目度が上昇していく様子が見られた。男性の注目度に着目すると、6月4日のイラン戦では53.0%だったが、6月8日のスロベニア戦では60.7%まで上昇。大会の進行とともにチームの成長や試合の重要性が増し、視聴者がくぎづけとなっていった様子がうかがえる。
この大会で、最終的に男子は決勝まで駒を進め、見事に主要世界大会で47年ぶりとなる銀メダルを獲得。エースの石川祐希選手が大会前から言っていた「決勝に行くことがパリオリンピックで金メダルを獲得するうえで非常に重要」の宣言通り、まさに有言実行の結果となった。1972年以来のメダル獲得を目指す、本大会への期待も一層高まりを見せている。
パリオリンピックでは、男子は石川祐希選手や西田有志選手、女子は古賀紗理那選手や石川真佑選手らが中心となって戦う。彼らの活躍が、注目度にも大きな影響を及ぼすと予想される。
●視聴率でバスケ&バレーを上回る男子サッカー
サッカー日本代表は、2026年FIFAワールドカップ北中米大会アジア2次予選で、両試合とも「5-0」で勝利し、史上初の無失点&全勝で2次予選を完全制覇。この歴史的快挙が視聴者の心をつかんだ。すでに最終予選進出を決めている中でも手を緩めない姿勢が、幅広い層の関心を集めたと言える。
これは視聴率にも反映されており、6月6日のミャンマー戦は世帯視聴率9.6%とバスケットボール、バレーボールの試合を上回る結果を残した。また、6月11日のシリア戦では、男性の注目度が64.8%と今回の分析で最も高い数値となった。サッカーは男女の注目度の差が他競技より大きく、男性からの支持の高さが顕著であることが分かった。
パリオリンピックのサッカー競技は、開会式に先駆けて2日前から熱戦の火蓋が切られ、パラグアイ戦で「5-0」と幸先の良いスタートに。男子日本代表は、1968年メキシコ大会以来となる待望のメダル獲得を目指している。大岩剛監督のもと、攻守で攻撃的なプレースタイルを掲げ、U23アジア・カップでの優勝という勢いそのままに、パリの舞台に挑む。注目すべきは、オーバーエージ(OA)枠を使用せず、23歳以下の若手のみで戦う日本の挑戦。将来を担う若き才能たちの躍動に、期待が高まる。
一方、女子日本代表(なでしこジャパン)は、2012年ロンドン大会以来のメダル獲得を狙う。池田太監督率いるチームは、昨年のワールドカップで優勝したスペインを撃破するなど、その実力は世界が認めるところ。長谷川唯選手、長野風花選手ら海外組を中心に、10代の新星たちも台頭し、層の厚さも魅力だ。
中2日での試合が続く過酷な日程の中、18人という限られたメンバーでの戦いは、まさに総力戦。選手層の厚さと戦略眼が問われる中、日本代表がどのような戦いを見せるのか。パリの熱い夏に、新たなドラマが生まれることだろう。
REVISIO 独自開発した人体認識センサー搭載の調査機器を一般家庭のテレビに設置し、「テレビの前にいる人は誰で、その人が画面をきちんと見ているか」がわかる視聴データを取得。広告主・広告会社・放送局など国内累計200社以上のクライアントに視聴分析サービスを提供している。本記事で使用した指標「注目度」は、テレビの前にいる人のうち、画面に視線を向けていた人の割合を表したもので、シーンにくぎづけになっている度合いを示す。 この著者の記事一覧はこちら
テレビ画面を注視していたかどうかがわかる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、パリオリンピックの採用競技「サッカー」「バスケットボール」「バレーボール」について、最近の地上波放送の視聴質データから人気の傾向を分析した。
○男子バスケ韓国戦で63.0%の注目度
REVISIOでは、オリンピック目前の6〜7月にかけて、地上波プライム帯(19時台〜22時台)で放送されたオリンピック採用競技の国際試合を視聴質データで分析。その結果、視聴者が最もくぎづけになっていた(個人全体で最も注目度が高かった)競技は「バスケットボール」であったことが分かった。
バスケットボールの視聴質データでは、7月上旬に行われた3つの国際強化試合において、いずれも個人全体注目度で民放キー局の同時間帯平均注目度を超えるという結果が出た。これはバスケットボールファンだけでなく、一般視聴者からも広く注目を集めていることが推察される。特筆すべきは、7月5日の韓国戦での注目度。個人全体が63.0%に達し、女性の注目度に至っては66.3%という今回の分析で最も高い水準となった。視聴質データから見る限り、バスケットボールの人気は女性がけん引していると言えそうだ。
現在の男子日本代表を語るには、NBAへの挑戦を宣言している若手コンビ、河村勇輝選手と富永啓生選手の存在が欠かせない。河村選手はBリーグ屈指の実力を誇るだけでなく、「B.LEAGUEモテ男No.1決定戦」で見事No.1に輝いた経歴を持つ。アメリカ大学バスケで堂々たる実績を残して代表入りした富永選手も、今大会によって大きな飛躍が期待されており、このような多彩な魅力を持つ選手の台頭が、バスケットボールファン以外の層からも注目を集める要因となっているのだろう。
○女子バスケもニュージーランド戦で高数値
一方、女子日本代表も大きな注目を集めている。東京オリンピックで銀メダルを獲得した女子日本代表は、世界ランキング9位の強豪チームとして、パリでも再びメダル獲得を目指している。注目選手としては、東京大会でも活躍した高田真希選手や町田瑠唯選手が挙げられる。特に町田選手は、東京大会の準決勝でオリンピック記録となる18アシストを記録するなど、チームの中心選手として期待されている。また、若手の山本麻衣選手が2024年の五輪予選大会MVPに選出されるなど、新たな戦力も加わっている。
女子日本代表の直近の強化試合の視聴質データは、7月4日のニュージーランド戦で、個人全体注目度が60.3%を記録。試合も日本代表の強みであるスリーポイントを25本成功させ「125-57」で圧勝。快調な勝利を納め、調子の良さを感じさせてくれる出来だった。
パリオリンピックでは、女子日本代表は強豪国アメリカ、ベルギー、ドイツとともにグループCに組み込まれており、厳しい戦いが予想される。しかし、東京大会での銀メダル獲得や、その後の国際大会での好成績を考えると、日本チームの活躍に大きな期待が寄せられている。
●幅広い層に支持されるバレーボール
バレーボールの視聴質データでは、6月に行われたバレーボールネーションズリーグ福岡ラウンドを見ると、こちらも男女ともに世界レベルでの活躍が目覚ましく、代表戦に多くの人々が関心を寄せている。
女子の試合では常に個人全体で60%を超える高い注目度を維持し、男子の試合では放送を重ねるごとに注目度が上昇、最終的に女子に匹敵する水準に達している。コア視聴層(13〜49歳)の注目度も概ね高く、若い世代にも強い関心を持たれていることが分かる。世帯視聴率を見ても、女子のカナダ戦の9.1%を筆頭に、概ね5〜7%台を維持。平日夜のプライムタイムにこの水準の視聴率を記録していることは、バレーボールが幅広い層に支持されていることを示している。
特に注目度、視聴率共に高い結果を残したのは、6月13日に福岡で開催された女子のカナダ戦。世界ランク6位の日本と10位のカナダによる接戦は、パリ五輪出場権獲得の行方を左右する重要な一戦となった。試合開始直後から両チームが互いに譲らず、緊迫した雰囲気が会場を包んだ。
日本チームは古賀紗理那キャプテンと石川真佑選手を中心に攻撃を展開し、立て続けに2セットを連取。しかし第3セットから流れが一変。カナダチームが持ち前の高さを生かした攻撃を繰り出し、日本チームを圧倒して一気に2セットを奪い返す。勝負の行方を決める最終セット。両チームの意地がぶつかり合う中、2点差でカナダチームが勝利をつかんだ。
この試合結果により、惜しくもパリ五輪出場権獲得は次戦以降に持ち越されることとなったが(※他国の結果により翌日に五輪出場が確定)、逆にこの劇的な展開が視聴者の視線をくぎづけにしたものと思われる。
○男子バレーは放送を重ねるごとに上昇
一方、男子日本代表の試合も放送を重ねるごとに注目度が上昇していく様子が見られた。男性の注目度に着目すると、6月4日のイラン戦では53.0%だったが、6月8日のスロベニア戦では60.7%まで上昇。大会の進行とともにチームの成長や試合の重要性が増し、視聴者がくぎづけとなっていった様子がうかがえる。
この大会で、最終的に男子は決勝まで駒を進め、見事に主要世界大会で47年ぶりとなる銀メダルを獲得。エースの石川祐希選手が大会前から言っていた「決勝に行くことがパリオリンピックで金メダルを獲得するうえで非常に重要」の宣言通り、まさに有言実行の結果となった。1972年以来のメダル獲得を目指す、本大会への期待も一層高まりを見せている。
パリオリンピックでは、男子は石川祐希選手や西田有志選手、女子は古賀紗理那選手や石川真佑選手らが中心となって戦う。彼らの活躍が、注目度にも大きな影響を及ぼすと予想される。
●視聴率でバスケ&バレーを上回る男子サッカー
サッカー日本代表は、2026年FIFAワールドカップ北中米大会アジア2次予選で、両試合とも「5-0」で勝利し、史上初の無失点&全勝で2次予選を完全制覇。この歴史的快挙が視聴者の心をつかんだ。すでに最終予選進出を決めている中でも手を緩めない姿勢が、幅広い層の関心を集めたと言える。
これは視聴率にも反映されており、6月6日のミャンマー戦は世帯視聴率9.6%とバスケットボール、バレーボールの試合を上回る結果を残した。また、6月11日のシリア戦では、男性の注目度が64.8%と今回の分析で最も高い数値となった。サッカーは男女の注目度の差が他競技より大きく、男性からの支持の高さが顕著であることが分かった。
パリオリンピックのサッカー競技は、開会式に先駆けて2日前から熱戦の火蓋が切られ、パラグアイ戦で「5-0」と幸先の良いスタートに。男子日本代表は、1968年メキシコ大会以来となる待望のメダル獲得を目指している。大岩剛監督のもと、攻守で攻撃的なプレースタイルを掲げ、U23アジア・カップでの優勝という勢いそのままに、パリの舞台に挑む。注目すべきは、オーバーエージ(OA)枠を使用せず、23歳以下の若手のみで戦う日本の挑戦。将来を担う若き才能たちの躍動に、期待が高まる。
一方、女子日本代表(なでしこジャパン)は、2012年ロンドン大会以来のメダル獲得を狙う。池田太監督率いるチームは、昨年のワールドカップで優勝したスペインを撃破するなど、その実力は世界が認めるところ。長谷川唯選手、長野風花選手ら海外組を中心に、10代の新星たちも台頭し、層の厚さも魅力だ。
中2日での試合が続く過酷な日程の中、18人という限られたメンバーでの戦いは、まさに総力戦。選手層の厚さと戦略眼が問われる中、日本代表がどのような戦いを見せるのか。パリの熱い夏に、新たなドラマが生まれることだろう。
REVISIO 独自開発した人体認識センサー搭載の調査機器を一般家庭のテレビに設置し、「テレビの前にいる人は誰で、その人が画面をきちんと見ているか」がわかる視聴データを取得。広告主・広告会社・放送局など国内累計200社以上のクライアントに視聴分析サービスを提供している。本記事で使用した指標「注目度」は、テレビの前にいる人のうち、画面に視線を向けていた人の割合を表したもので、シーンにくぎづけになっている度合いを示す。 この著者の記事一覧はこちら