蓮舫氏

写真拡大

 朝日新聞の記者にも、蓮舫氏にも、同じように批判が集中しているようだ。朝日新聞の政治部記者である今野忍氏は7月16日、Xで《これまでの私の投稿に不適切な表現がありました。ご指摘を受け止めて猛省するとともに、関係する皆様に深くお詫び致します》と謝罪した。これを蓮舫氏はXで引用し、《終わらせません》と投稿したのだ。

 ***

【写真を見る】朝日新聞記者「共産べったりなんて事実じゃん」 蓮舫氏が、共産党の“資金集めビラ”にすら登場していた証拠写真

 ネット上では大激論となっているため、高い関心を持っている方も多いだろう。まずは経緯を振り返ってみよう。テレ朝newsは7月11日、「『共産が前面に出すぎ票逃げた』連合・芳野会長 蓮舫氏の敗因」との記事を配信した。

蓮舫

 連合(日本労働組合総連合会)の芳野友子会長が立憲民主党の泉健太代表と会談。都知事選における蓮舫氏の敗因として、芳野氏が「共産党が前面に出過ぎて票が逃げたのではないか」と指摘したことを伝えた。この記事を蓮舫氏は引用した上で、以下のように芳野氏を批判した。

《現職に挑戦した私の敗因を、現職を支持した貴女が評論ですか。私は今回公契約を活用した労働条件改善を強く提案。若者の雇用環境改善も提案しました。本来、労働者を守る連合が要求する内容でもあります。組合離れはこういうトップの姿勢にもあるかもしれませんね》(註:デイリー新潮の表記方針に合わせた、以下同)。

 すると朝日新聞の今野氏が、この蓮舫氏のポストを引用し、以下のように批判したのだ。

《ザ蓮舫さん、という感じですね。支持してもしなくても評論するのは自由でしょう、しかも共産べったりなんて事実じゃん。確かに連合の組合組織率は下がっているけど、それは蓮舫さん支持しなかったかではないでしょう。自分を支持しない、批判したから衰退しているって、自分中心主義か本当に恐ろしい》

「菅前総理や岸田総理の番記者も歴任」

 蓮舫氏の投稿に批判が殺到していたのは事実だ。Xでも《公開負け惜しみ》、《見苦しい》、《また噛みついてる》、《謙虚に聞いた方がよいと思う》……などなど、きりがないほど大量の投稿が表示される。

 とはいえ朝日新聞の──おまけに政治部の現役記者が──実名で蓮舫氏を批判したのだから、反響は大きかった。

 朝日新聞DIGITALには今野氏を紹介するページがある。肩書は《朝日新聞政治部記者=政局、選挙》となっており、以下のような文章が掲載されている。

《2009年に政治部配属。二度の政権交代を最前線で取材。首相官邸や防衛省、自民、公明、民主、維新など与野党を幅広く担当し、番記者としては菅義偉前首相、岸田文雄首相の担当は10年以上になります》

 一方、Xでの自己紹介文は朝日新聞の記者であることは伏せている。こちらもご紹介しよう。

《政治記者、解説者。新聞記者として首相官邸や防衛省に加え、自民、公明、民主、維新などの与野党担当として、二度の政権交代を取材してきました。菅前総理や岸田総理の番記者も歴任し、10年以上前から取材しています》

前職はコンサル

 今野氏のFacebookも一般に公開されており(註:編集部が確認したところ、7月19日に閲覧できなくなった)中央大学卒という学歴や、前職はコンサルティング会社のアクセンチュアに勤めていたことなどが記されている。

 さらに昨年7月に投稿された動画では冒頭、「朝日新聞政治部、平河クラブ、サブキャップの今野です」と挨拶している。平河クラブに所属する記者は自民党と公明党を取材することが多い。ネット担当の記者が言う。

「大前提として、蓮舫氏の発言を批判する権利は誰にもあります。もし今野氏が政治評論家やノンフィクション作家など、個人で言論活動を展開していたのなら、誰も違和感を覚えなかったでしょう。ところが、今野氏は朝日新聞の社員です。あれほど攻撃的な投稿は、誰が考えてもリスクしかありません。朝日新聞の見解と勘違いされる可能性がありますし、立憲民主党を担当している同僚もいるはずです。《共産べったりなんて事実じゃん》という新聞記者らしからぬ文章に眉をひそめる国会議員もいるでしょう。今野氏は『ここまで書いたら書きすぎだよな』と投稿前に思わなかったのでしょうか」

 スポーツ紙の記者が実名でドジャースの大谷翔平を批判するはずがない。編集者が作家の、芸能事務所のマネージャーが芸能人の悪口を投稿しないのも同じ理由からだ。

バカッターの一種

 もし腹に据えかねて、どうしてもSNSで“内部告発”をぶちまけたいのなら、匿名の裏アカウントを作るのが一般的だろう。

「今野さんの投稿には『新聞記者としておかしい』との批判が殺到しました。一方、『今野さんが蓮舫さんを批判したことを批判するのはおかしい』と擁護する意見も見られましたが、これは間違っていると言わざるを得ません。今野さんが他業種の会社員だったら問題はなかったからです。しかし政治部記者のポストとしては、あまりに不用意でした。今野さんは記者として非常識と批判されても仕方がなく、そういう意味で彼の投稿は、まさに“バカッター”の典型例でしょう。回転寿司で醤油の注ぎ口を舐める動画を撮影し、SNSに投稿することと本質的には同じです」(同・記者)

 ちなみにXには《蓮舫さんとの対談》を求める声が投稿され、今野氏は《確かに、一度色々直接話を聞いてみたいですね。辻元清美さんとは対談させてもらったけど、蓮舫さんはまだしてないのでぜひオファーを検討させてもらいます!》と脳天気に返信している。

 あっという間にXでは今野氏の投稿を問題視する声が多数を占めた。女性自身が朝日新聞に取材し、7月16日に「『極めて不適切な内容』朝日新聞 波紋呼ぶ記者のSNSでの“蓮舫批判”を謝罪…本人には厳重注意」との記事を配信した。

どっちもどっち!?

 これに今野氏はXで《これまでの私の投稿に不適切な表現がありました。ご指摘を受け止めて猛省するとともに、関係する皆様に深くお詫び致します》と謝罪した。

 だが、蓮舫氏は怒り心頭だった。今野氏の謝罪ポストを引用し、《終わらせません》と投稿。さらに《弁護士と相談しているところです。まず、朝日新聞への抗議ならびに質問状を出したいと考えています》と投稿を重ねた。

「今野氏を批判する投稿が多いとはいえ、蓮舫氏の投稿は全面的に支持されているわけではありません。特に《弁護士と相談》の部分が不評で、過剰反応ではないかとか、マスコミが萎縮してしまう、との批判も相当数に達しています。そもそも都知事選に敗れた蓮舫さんに対し、『選挙で負けたのだから大人しくしていればいいのに、Xで批判的な投稿が多すぎる』と呆れる声がSNSでは多数を占めていました。結局、今野さんも今野さんなら、蓮舫さんも蓮舫さん、と呆れて見ている人が最も多いのかもしれません」(同・記者)

 今のところ蓮舫VS.今野という図式だけが注目されているが、実は今野氏、立憲民主党の衆議院議員、米山隆一氏にも噛みついている。

 今野氏を批判するポストには「言葉づかいが悪い」という指摘が多かった。これは《共産べったりなんて事実じゃん》の部分を指すと考えられるが、米山氏への投稿はもっと言葉づかいが汚い。

「何と無礼な人なのか」

 こちらも経緯を振り返ろう。7月15日、スポニチアネックスは「泉房穂氏 石丸伸二氏の“子育て政策”一夫多妻制などに『“理解を超えた方”であることは間違いない』」との記事を配信した。この記事を米山氏はXで紹介し、以下のような感想を投稿した。

《石丸氏、人口減少対策を聞かれて「例えば一夫多妻制を導入するか、遺伝子的に子どもを生み出すとか」だそうです…。要は何でも解決できるスーパー政治家を装ってしまったので、現実の問題を聞かれると、スーパーな無茶な答えを返さざるを得なくなっているのだと思います》

 この投稿を今野氏は引用し、かなり乱暴な言葉づかいで批判した。

《うん!? 恣意的!? 現代の社会規範ではそれが難しいから先進国の少子化に抜本的な対策はない、ということの例示に使っているだけだと、この記事読むと書いてあるけど、だそうです、じゃねーだろう。読解力ないのか?》

 朝日新聞の政治部で、現職の国会議員に《じゃねーだろう》、《読解力ないのか?》と罵声を浴びせた記者は初めてだろう。当然ながら米山氏は反論を投稿した。

《いや読解力ありますが。現代の社会規範ではできないにせよ、結局それを最終的な解決法として提示して、それまでのつなぎの政策を提示している訳ですよね。「絶対できない事の例示」ならつなぎ政策も不要ですから。その提示自体馬鹿げていると言っています。それにしても何と無礼な人なのかと思います》

「一ミリも出世しない俺」

 さらに一般ユーザーの《朝日新聞購読をやめました》とのポストを引用し、朝日新聞そのものを批判した。

《流石に私も朝日新聞の購読を止めたくなる酷さですね。野党議員に対して、平気でいきなり「読解力あるのか?」とか言い出す人が取材して記事を書いているなら、それはもうその新聞のクオリティは、推して知るべしですから。いや、まあ、そりゃ朝日新聞もこうなりますよ》

 ちなみに今野氏は自身のFacebookに投稿した文章の中で《朝日新聞では目をつけられまくって一ミリも出世しない俺》と記している。朝日新聞に取材を申請し、蓮舫氏や米山氏へのポストに対して、どう受けとめているか質問すると文書で回答があった。

《配慮に欠ける極めて不適切な表現と考え、本人には注意しました。関係する皆様に深くおわび致します》

 他に「朝日新聞の政治部記者にしては無礼だ」という批判の声をどう受けとめているか、朝日新聞の考える記者の行動倫理、「朝日新聞記者行動基準」などに抵触していないのか質問したが、回答はなかった。

デイリー新潮編集部