Photo: かみやまたくみ

2024年7月17日、キヤノンがRマウントのミラーレスでは初のフラッグシップ「EOS R1」を正式に発表しました。ついにきた…！

「高速撮影および高感度撮影を、高信頼性で実現するフラッグシップ」がコンセプト。センサーは新開発、画像処理エンジンも新しいものを搭載、AFも今まで以上に高速・高精度な新方式「デュアルピクセル Intelligent AF」を採用するなど、「新開発」尽くし。

大まかなスペックとしては…

・センサーが2420万画素のフルサイズ裏面照射積層型CMOSの新型。常用ISOは102400、拡張は最大409600。

・秒間撮影枚数は最大で40コマ/秒（電子シャッター）。ローリングシャッター歪みは一眼レフのフラッグシップ（EOS 1D X Mark III）のメカシャッター時と同程度にまで抑えられている。

・手ブレ補正は最大で中央部が8.5段分、周辺部が7.5段分。

・動画撮影性能は、6K60pをRAWで撮影可。FHD60pの動画と静止画を同時記録可能（！）だったりも。

・重量は1,115g

7月23日午前10時から予約開始、発売は2024年11月です。オープン価格ですが、キヤノンオンラインショップでは108万9000円での販売を予定しているとのこと。想定ユーザーは報道関係者などのプロフェッショナル…！

今回、発表に先立って実機に触れることができたので、この最先端のカメラがどのような製品なのかを紹介します（作例の持ち帰りが不可だったため、触れてわかる点中心です）。

手触りがすごくいい。無骨でありながら豪奢なカメラ

「ほかのEOS Rとは同系統のデザインなのにまるでちがう」というのが触れてみての印象です。

手触りが妙にいいんです。握るだけで気持ちいい。あらゆる場所の仕上げが細やか、金属部分も同様で、ひんやりすべすべして心地がいい。

フラッグシップ機、横でも縦でも撮れる無骨なプロ仕様のカメラなのですが、そんなところがまず印象に残るなんて、まったく予想していませんでした。

徹頭徹尾機能性重視。ボタンがたくさんあります。

使いたい機能を割り当てられなくて困るなんてことは絶対になさそう。

縦位置用のシャッターボタンももちろんあります。

重量は1,115g。大型・大口径・高精度、高い描写性能をもったいいレンズをつけたときにしっくりくる重さです（軽いミラーレスにデカいレンズつけるとアンバランスで取り回しが悪かったりします）。

あと、ファインダーがめちゃくちゃいいです。943万ドット・最大倍率0.9・120fps駆動とスペック的に書くと「すごそう」くらいしか感想が出ない気がしますが、要は大きく、くっきり、はっきり、ブレなく見えてかなり撮りやすそう。

背面液晶はバリアングルです。

めちゃくちゃなたとえかもしれませんが、王座の間を手に持ったようなカメラです。厳しい仕事をこなすためのあらゆる機能が備わっているだけでなく、感触も極上。

気になる機能5選

EOS R1は新機能・新技術の塊みたいなカメラでもあり、発表の時間はほぼそれらの紹介に割かれていました。その中で気になるものをピックアップしておきます。多くは同日発表の「EOS R5 Mark II」（約4500万画素のハイエンド機、8月下旬発売、キヤノンオンラインストア販売予定価格65万4500円）にもきており、実力のほどが気になるところです。

1. 新センサー・新画像処理エンジンで高速化したAF

トラッキングAFの吸い付きがすごかったです。もちろん、高速です。

センサーを裏面照射「積層」型にしたことでデータの読み出しが速くなり、それにAF処理をかける処理エンジンも新型（DIGIC Accelerator）にすることで実現されたとのこと。

2. 登録した人物を優先でAFする機能

複数人でするスポーツの撮影を想定した機能で、複数人の選手がいる状況でもそのうちの1人を優先的にAFする、という機能です。これはかなり便利そう。

3. 測光を緻密化して「適正な露出で撮る」をさらに徹底

個人的に気になったのがこれ。

これまで384のブロックで画像を分割してどこを露出の基準にするのかを決めていたのが、EOS R1では16倍細かくして6144ブロックで判定するように。

適性露出で撮れてるかって撮った写真のぱっと見の綺麗さにめちゃくちゃ影響します。その精度が上がるのはかなり大きいんじゃないでしょうか。

EOS R1のみの機能です。フラッグシップって何がちがうんだろう？と思ってましたが、こういう本当に絵のクオリティに影響するところがちがうという。

4. ローリングシャッター歪みの低減

ローリングシャッター歪みは、高速なものを撮ったときに歪んじゃう、という現象。たとえば、ゴルフしてる人を撮るとき。クラブが真っ直ぐに写らなかったりするんです（綺麗じゃない）。従来モデルに対して40%低減されているとのことなので、発生しても気にならない、ということがかなり増えるんじゃないでしょうか。

ちなみに、ローリングシャッター歪みは、センサーが捉えた光情報が実は一気に処理されているのではなく、場所によってタイムラグがあって処理されていることに起因します。

EOS R1は、先述のように新型センサーでデータの読み出しが高速化しているので、それによってこのラグも短縮。ローリングシャッター歪みも低減されています。

なお、この問題を解決する「グローバルシャッター」（センサー全体を一気に露光・データの読み出しも一気に行う）という技術が存在していて、搭載したカメラも存在していますが、EOS R1への搭載が見送られたということでもあるようです。

5. フルHD動画と静止画を同時に記録

フルHD60p、つまりはYouTubeで使える画質の動画と、静止画を同時に撮れる機能があります。

これ、めちゃくちゃ便利だと思います。すべての動画が撮れる機器に標準搭載して欲しい。

動画の中に静止画を入れるってよくある手法ですが、だいたい動画を止めていちいち切り出してるんですよね。その手間がなくなります。

予算も実力も（要は仕事が）ある人だけが使える夢のカメラ。そして、今最先端のカメラが、EOS R1です。オーラを感じる1台でした。

EOS R1にはもっとたくさんの技術・新要素が詰まっているので、気になった方はぜひ公式サイトを見にいってみてください。

あと、連写時のシャッター音がすごいです（電子シャッター）。

Source: キヤノン(1, 2)