彼からは、カラオケを提案されました。一瞬「個室のカラオケって大丈夫?」とも感じます。

◆デート当日、写真と別人の男性がやってきた

デート当日にやってきたのは、写真とは別人の男性でした。聞けばプロフィールは10年前の写真。彼はマッチングアプリ自体が初めてだったそうです。筆者が思うに、Pairsなどなら誰ともマッチングしなかったでしょう。

彼は1人でもカラオケに行くほどカラオケが好きな男性でした。カラオケの後、次の目的地に移動する道すがらお互いアニメファンがSNS等で自らがキャラクターに扮して行うチャット「なりきりチャット」(アニメファンがSNS等で自らがキャラクターに扮して行うチャット)をやっていたことが判明してオタクトークで盛り上がり、気が付けば5時間も一緒にいたそう。

2人はその後もシフトを合わせて休みを取り、デートを重ねます。彼とは勤務形態と、否定はしないけど自分の意見ははっきり言うところが似ていました。会うたびに5〜6時間はデートをすることが多く、一緒にいて楽だったそうです。

ところがある日、彼が「20歳と28歳の女性ともマッチングして、やり取りしている」と漏らしたそうです。言わない方が良い、余計なひと言です。他の女性なら、彼と会うのを止めていたかもしれません。ですが、彼の取り繕えない不器用さを美香さんは許容しました。同時に、34歳という自分の年齢を改めて考えます。

◆「関係性をはっきりさせてほしい」とストレートに伝えた

月に4回ペースで会って、お互いに居心地がいいことは分かっているものの、関係性がはっきりしませんでした。

10回目ぐらいのデートの時に彼女から「私は34歳だし、将来は結婚や出産のことも考えている。子どもを産むならリミットがあるから、関係性をはっきりさせてほしい」とストレートに伝えました。

デート後に彼からは「本音を聞けて嬉しかった」とLINEが届きます。彼はアプリでメッセージが続いている女性に、お断りの連絡を入れたそうです。

次に会った時、何か言うことはないのかとつついたところ、彼は美香さんの手を取って「付き合ってください」と告白しました。

◆昭和の価値観を捨てて、女性から動いたっていい

男にリードしてもらおうなんていう昭和の価値観は捨てて、女性から告白に持ち込む文化はもっと広まって良いと思います。婚活の現場を見ていると、男性も女性も都合がいいところだけアップデートするくせに、楽したいところは古い価値観にしがみつく傾向を感じます。

告白したら100%断らないであろうという安心材料を相手に与えた美香さんは、とても賢いと感じました。ちなみに、デートも全て割り勘だったそうです。

現在、2人のオタクは具体的にお金や新居の話もしながら、将来を共に生きていく計画をたてている段階です。

【オタ恋】
2022年にリリースされたオタク向けマッチングアプリ。ぽっちゃり男性の自動生成AI画像の広告がSNSでバズり有名になった。

※個人が特定されないよう一部脚色してあります。
<取材・文/菊乃>

【菊乃】
恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt