お話を聞いた美香さん(仮名・34歳/都内在住/介護士)※本人提供写真
こんにちは。これまで1000人以上の男女の相談に乗ってきた、恋愛・婚活コンサルタントの菊乃です。

私自身が髪もボサボサで化粧もしない“完全なる非モテ”から脱出した経験から、多くの方々の「もったいない」をご指摘してきました。誰も言ってくれない「恋愛に役立つリアルな情報」をお伝えします。

◆「推しがいるから婚活できない」という人たち

国内の生涯未婚率は年々上昇を続けており、「日本の世帯数の将来推計(全国推計)−令和6(2024)年推計−」(国立社会保障・人口問題研究所)によると、2020〜50年の間に、高齢単独世帯に占める未婚者の割合は、男性33.7%→59.7%、女性は11.9%→30.2%となり、近親者のいない高齢単独世帯が急増すると推定されています。

未婚でいる理由は十人十色ですが、その中の一つにオタク文化・推し活文化の市場拡大もあると考えられます。矢野経済研究所の調査によると、推し活の主要ジャンルであるアニメ・アイドルの市場規模(2022年)は、アニメで約2,850億円、アイドルは約1,650億円、合計で約4,500億円でいずれも年々拡大中。「推しがいるから婚活できない」「オタクは結婚しづらい」などという声も聞かれます。

そんな中、オタクであることを自らオープンにして婚活し、みごと成婚した女性に話を聞きました。

◆有名マッチングアプリでは、オタクを出しにくい空気を感じた

美香さん(仮名・34歳/都内在住/介護士)は、3か月ほど前に人生初の彼氏ができた女性です。腐女子という属性まで明かして相手と知り合い、現在は2人で住む家探しをしているそうです。

しかし5年前にマッチングアプリのPairsに登録した時は、プロフィールに「マンガが好き」ぐらいしか情報を出していませんでした。

マッチングアプリは若い子が多いイメージがあり、私は29歳だったし、ちゃんと無難にした方がいいのかと思いました。登録したのにマッチングしないのも嫌だったし、オタクトークをはじめたら引かれそうで」

2〜3人ほどリアルで会った男性はいたものの、スポーツ観戦が好きな男性ばかりで共感できる話題がなく、デートはつまらなかったとか。相手もそうだったのか、1人は5分で帰ってしまい、とても辛い経験だったそうです。

そんな美香さんに、どうやって彼氏ができたのでしょうか。

◆中学で“薄い本”に出会い、BLの沼に落ちた

美香さんは中高一貫女子校の出身です。中学進学のお祝いで親が買ってくれた『ONE PIECE』(尾田栄一郎/集英社刊)にハマります。部活はある文化部に入部しました。そこは学校中のオタクが集まり、オタク率8割超えの環境でした。全年齢向けの薄い本(=二次創作の同人誌)が、部員たちの間で回し読みされていました。

薄い本というものは、商業誌の単行本と比較するとかなり値段が高いのです。学生の小遣いでは気軽に買えないため、オタク学生が集まると必然的に回し読みされます。

回ってきた薄い本の中には『ONE PIECE』の二次創作もありました。そこで男性キャラクター同士のカップリングに触れ、中3にはすっかり腐女子になっていたとか。

高校生だった2007年に、Windows Vistaとpixiv(イラストコミュニケーションサービス)が誕生します。検索が早くなり、自分好みの作品を探しやすくなりました。pixivのおかげで校外のオタク友達もでき、オタクは加速します。

◆大学のアメフト部で2度告白した男性にフラれる

大学に進学した際に、当時好きだったマンガ『アイシールド21』(稲垣理一郎/村田雄介、集英社刊)の影響でアメフト部にマネージャーとして入部します。女子校出身だったため、筋肉ゴリラだらけの環境で卒倒しそうになったそうです。でも彼ら以上に怖かったのが、女の世界でした。