「USJ」の舞台裏に独占密着!最も暑い夏…熱中症との闘い:ガイアの夜明け
7月12日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「史上最も暑い夏へ」。
日本列島は災害級の猛暑に襲われ、今年は「史上最も暑い夏」となりそうだ。全国の消防指令センターには、6月中から熱中症疑いの救急要請が相次いでいる。
一方、夏休みシーズンに多くの客が訪れる人気のテーマパークは、猛暑から客やクルーを守る特別チームを結成し、エンタメと熱中症予防の両立を狙う。
この夏を快適に過ごすにはどうしたらいいのか…熱中症対策の最前線を追った。
【動画】「USJ」の舞台裏に独占密着!最も暑い夏…熱中症との闘い
人口増加率全国1位(2023年1月)の街、茨城県・つくば市。茨城県は、去年熱中症の救急搬送で過去最多を記録。今年もすでに、熱中症疑いの救急搬送が増えている。
つくば市消防本部は市内8カ所にある消防拠点の中枢。暑くなり始めたこの時期、救急隊に欠かせないのが、患者の脇や太い血管にあてる保冷剤だ。中央消防署・救急隊の杉浦一さんは、「熱中症は屋内外で起こり得る病態なので、最善を尽くして、早期に医療機関に搬送したい」と話す。
6月下旬。真夏日に迫る暑さとなったこの日、救急隊に出動要請があった。呼吸が苦しいと訴える高齢者からの通報で、現場に到着すると、玄関先でぐったりと座り込む女性の姿が。救急隊が「何をしたら苦しくなったの?」と尋ねると、「テレビを見ていたら……」と女性。その後は女性を担架に乗せ、救急車で運んだ。
熱中症というと屋外のイメージがあるが、自宅で発症する人が約4割を占めている。本格的な夏を迎える前から、体調不良を訴える人が増えているのだ。
さらに「男子生徒が体育の授業中に熱中症気味になり、意識がもうろうとしている」との電話が。学校での熱中症も増加傾向にあり、去年は全国で4000人を超えた。
熱中症は、体温を調節する機能が働かなくなり、体に熱がこもることで起こる。重症化すると、意識障害やけいれん、死亡するケースも。去年、熱中症で亡くなった人の数は、全国で1600人を超えた。
6月24日。関東で今年初めて“熱中症警戒アラート”が発表されたこの日、筑波記念病院(茨城県・つくば市)に救急車が到着した。運ばれたのは、熱中症が疑われる40代の男性。
意識はあるが目はうつろだ。男性は、炎天下で長時間にわたり建設作業をしていたという。
救急科 医師・阿部智一さんは、摂取した水分量や汗の量を確認すると、看護師に点滴を指示した。
塩化ナトリウムなどが入った点滴は、冷蔵庫で約5℃に冷やしてある。
「人間の血液は5リットルぐらいで、その中に500ミリリットルでも冷たいものが入れば、内部体温は下がる」と阿部医師。血液に直接入れるので即効性があるという。
さらに冷たい枕で患者の首の血管を冷やし、扇風機で体全体を冷やす。熱中症には特別な治療薬がなく、いかに早く冷やすかが重要だそう。
熱中症と診断された男性に冷たい点滴を打つこと10分、今の状態を聞くと、「さっきはちょっと怖かったが、だいぶ楽になった。(点滴を打つ前とは)全然違う」と話す。男性は迅速な処置で歩けるまでに回復し、2時間ほどで帰宅することができた。
7月4日。つくば市は34℃に迫る真夏日になり、筑波記念病院の救急科に、突然ろれつが回らなくなった80歳の男性が運ばれてきた。熱中症以外の病気の可能性もあるため、症状だけで診断するのは難しいという。
「熱中症、コロナ、肺炎、尿路感染症、脳卒中、心筋梗塞、全部が混じってやってくる。常に選択肢の一つに入れておかないと、この時期は考えることが増える」と阿部医師。
熱中症から命を守ろうと奮闘する救命救急の現場、医師たちの闘いは続く。
6月中旬。大阪市にある「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」は、平日の午前中にもかかわらず、多くの客でにぎわっていた。
この日、大阪市は最高気温34℃の真夏日。しかし、パーク内には、熱いアスファルトの上に座り込む客の姿があった。「サンリオ」の人気キャラクターによるライブショーを見るため、朝から並んでいたのだ。今年すでに30回以上来ているという「USJ」ファンの女性は、冷感素材のタオルに小型扇風機、冷却シートまで用意し、「(暑さを)我慢してでも見たい。それだけ魅力がある」と話す。
そこで「USJ」では、熱中症を未然に防ぐため、パトロール隊がパーク内を巡回し、水分をしっかりとるよう客に声をかけて回っている。
実はパーク内には、体調を崩した客を応急手当てする「ファーストエイド」という救護施設があり、看護師の資格を持った「ナースクルー」が常駐している。大阪府内の総合病院で5年間、看護師をしていた北圭子さんもそのひとり。気温が高くなると体調不良者が増えるため、15床あるベッドが全て埋まることもあるという。熱中症が疑われる客の体をすぐに冷やせるように、冷凍庫には大量の氷を用意していた。
30℃を超える真夏日になった6月下旬、ファーストエイドに「体調不良者が出た」との連絡が入った。車椅子とAEDを用意し、北さんが現場に出動することに…果たして客は無事なのか?
かつてない災害級の暑さが迫るこの夏。USJは、特別チームを結成し、熱中症対策に乗り出した。プロジェクトリーダーの西村昭彦さんが去年設置したのが、水を霧状に吹きかけて周囲の温度を下げる「ミストファン」。
これまでパーク内に点在させていたが、今年はミストファンを1カ所に9台集めて、客に思い切り涼んでもらえる新たなスポットをつくるという。名付けて「メガ・クール・ゾーン」。
しかも、ただ涼めるだけではなく、水鉄砲を使って的当てゲームを楽しめるエリアを併設する。西村さんは「エンタメ要素を加えれば、夏の『USJ』ならではの楽しみ方が提供できる」と期待を込める。果たして、「メガ・クール・ゾーン」は、猛暑を吹き飛ばす切り札となるのか。
一方、「USJ」のバックヤードに集まっていたのは、麦わら帽子をかぶった集団。タンクを背負ってパーク内を歩き回る彼らの正体は、クルーが熱中症にかかるのを防ぐために結成された「オアシス隊」だ。炎天下で働くクルーに声をかけ、タンクに入れた冷たいスポーツドリンクを提供している。
リーダーを務めるのは、10年前に入社した人事部の島田悠史さん。学生時代、USJでポップコーン販売のアルバイトをしていて、夏場に水分を取らず体調を崩した経験があったという。
「クルーがゲストを楽しませようと夢中になってしまい、自分の体調管理を忘れてしまうことがある。それを気づかせるためにもドリンクを提供している」と話す。
客の笑顔はクルーの元気あってこそ。ドリンクで喉を潤したクルーは、「命の水です。生き返りました」とオアシス隊の取り組みに感謝した。
4年前にオアシス隊の立ち上げに尽力した島田さん。年々強まる暑さに危機感を抱き、今年はオアシス隊の人数を20人に倍増した。
そして午後10時30分。営業を終えて静まり返った夜の「USJ」に、何やら大きな装置を運ぶ人たちの姿があった。史上最も暑い夏を乗り切る秘密兵器……その正体とは?
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日本列島は災害級の猛暑に襲われ、今年は「史上最も暑い夏」となりそうだ。全国の消防指令センターには、6月中から熱中症疑いの救急要請が相次いでいる。
一方、夏休みシーズンに多くの客が訪れる人気のテーマパークは、猛暑から客やクルーを守る特別チームを結成し、エンタメと熱中症予防の両立を狙う。
この夏を快適に過ごすにはどうしたらいいのか…熱中症対策の最前線を追った。
熱中症から命を守る現場に密着! 患者に効く冷たい〇〇とは?
人口増加率全国1位(2023年1月)の街、茨城県・つくば市。茨城県は、去年熱中症の救急搬送で過去最多を記録。今年もすでに、熱中症疑いの救急搬送が増えている。
つくば市消防本部は市内8カ所にある消防拠点の中枢。暑くなり始めたこの時期、救急隊に欠かせないのが、患者の脇や太い血管にあてる保冷剤だ。中央消防署・救急隊の杉浦一さんは、「熱中症は屋内外で起こり得る病態なので、最善を尽くして、早期に医療機関に搬送したい」と話す。
6月下旬。真夏日に迫る暑さとなったこの日、救急隊に出動要請があった。呼吸が苦しいと訴える高齢者からの通報で、現場に到着すると、玄関先でぐったりと座り込む女性の姿が。救急隊が「何をしたら苦しくなったの?」と尋ねると、「テレビを見ていたら……」と女性。その後は女性を担架に乗せ、救急車で運んだ。
熱中症というと屋外のイメージがあるが、自宅で発症する人が約4割を占めている。本格的な夏を迎える前から、体調不良を訴える人が増えているのだ。
さらに「男子生徒が体育の授業中に熱中症気味になり、意識がもうろうとしている」との電話が。学校での熱中症も増加傾向にあり、去年は全国で4000人を超えた。
熱中症は、体温を調節する機能が働かなくなり、体に熱がこもることで起こる。重症化すると、意識障害やけいれん、死亡するケースも。去年、熱中症で亡くなった人の数は、全国で1600人を超えた。
6月24日。関東で今年初めて“熱中症警戒アラート”が発表されたこの日、筑波記念病院(茨城県・つくば市)に救急車が到着した。運ばれたのは、熱中症が疑われる40代の男性。
意識はあるが目はうつろだ。男性は、炎天下で長時間にわたり建設作業をしていたという。
救急科 医師・阿部智一さんは、摂取した水分量や汗の量を確認すると、看護師に点滴を指示した。
塩化ナトリウムなどが入った点滴は、冷蔵庫で約5℃に冷やしてある。
「人間の血液は5リットルぐらいで、その中に500ミリリットルでも冷たいものが入れば、内部体温は下がる」と阿部医師。血液に直接入れるので即効性があるという。
さらに冷たい枕で患者の首の血管を冷やし、扇風機で体全体を冷やす。熱中症には特別な治療薬がなく、いかに早く冷やすかが重要だそう。
熱中症と診断された男性に冷たい点滴を打つこと10分、今の状態を聞くと、「さっきはちょっと怖かったが、だいぶ楽になった。(点滴を打つ前とは)全然違う」と話す。男性は迅速な処置で歩けるまでに回復し、2時間ほどで帰宅することができた。
7月4日。つくば市は34℃に迫る真夏日になり、筑波記念病院の救急科に、突然ろれつが回らなくなった80歳の男性が運ばれてきた。熱中症以外の病気の可能性もあるため、症状だけで診断するのは難しいという。
「熱中症、コロナ、肺炎、尿路感染症、脳卒中、心筋梗塞、全部が混じってやってくる。常に選択肢の一つに入れておかないと、この時期は考えることが増える」と阿部医師。
熱中症から命を守ろうと奮闘する救命救急の現場、医師たちの闘いは続く。
猛暑を乗り切れ! 知られざる「USJ」の舞台裏に独占密着
6月中旬。大阪市にある「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」は、平日の午前中にもかかわらず、多くの客でにぎわっていた。
この日、大阪市は最高気温34℃の真夏日。しかし、パーク内には、熱いアスファルトの上に座り込む客の姿があった。「サンリオ」の人気キャラクターによるライブショーを見るため、朝から並んでいたのだ。今年すでに30回以上来ているという「USJ」ファンの女性は、冷感素材のタオルに小型扇風機、冷却シートまで用意し、「(暑さを)我慢してでも見たい。それだけ魅力がある」と話す。
そこで「USJ」では、熱中症を未然に防ぐため、パトロール隊がパーク内を巡回し、水分をしっかりとるよう客に声をかけて回っている。
実はパーク内には、体調を崩した客を応急手当てする「ファーストエイド」という救護施設があり、看護師の資格を持った「ナースクルー」が常駐している。大阪府内の総合病院で5年間、看護師をしていた北圭子さんもそのひとり。気温が高くなると体調不良者が増えるため、15床あるベッドが全て埋まることもあるという。熱中症が疑われる客の体をすぐに冷やせるように、冷凍庫には大量の氷を用意していた。
30℃を超える真夏日になった6月下旬、ファーストエイドに「体調不良者が出た」との連絡が入った。車椅子とAEDを用意し、北さんが現場に出動することに…果たして客は無事なのか?
災害級の暑さに備えたプロジェクト 切り札となるか
かつてない災害級の暑さが迫るこの夏。USJは、特別チームを結成し、熱中症対策に乗り出した。プロジェクトリーダーの西村昭彦さんが去年設置したのが、水を霧状に吹きかけて周囲の温度を下げる「ミストファン」。
これまでパーク内に点在させていたが、今年はミストファンを1カ所に9台集めて、客に思い切り涼んでもらえる新たなスポットをつくるという。名付けて「メガ・クール・ゾーン」。
しかも、ただ涼めるだけではなく、水鉄砲を使って的当てゲームを楽しめるエリアを併設する。西村さんは「エンタメ要素を加えれば、夏の『USJ』ならではの楽しみ方が提供できる」と期待を込める。果たして、「メガ・クール・ゾーン」は、猛暑を吹き飛ばす切り札となるのか。
一方、「USJ」のバックヤードに集まっていたのは、麦わら帽子をかぶった集団。タンクを背負ってパーク内を歩き回る彼らの正体は、クルーが熱中症にかかるのを防ぐために結成された「オアシス隊」だ。炎天下で働くクルーに声をかけ、タンクに入れた冷たいスポーツドリンクを提供している。
リーダーを務めるのは、10年前に入社した人事部の島田悠史さん。学生時代、USJでポップコーン販売のアルバイトをしていて、夏場に水分を取らず体調を崩した経験があったという。
「クルーがゲストを楽しませようと夢中になってしまい、自分の体調管理を忘れてしまうことがある。それを気づかせるためにもドリンクを提供している」と話す。
客の笑顔はクルーの元気あってこそ。ドリンクで喉を潤したクルーは、「命の水です。生き返りました」とオアシス隊の取り組みに感謝した。
4年前にオアシス隊の立ち上げに尽力した島田さん。年々強まる暑さに危機感を抱き、今年はオアシス隊の人数を20人に倍増した。
そして午後10時30分。営業を終えて静まり返った夜の「USJ」に、何やら大きな装置を運ぶ人たちの姿があった。史上最も暑い夏を乗り切る秘密兵器……その正体とは?
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