原因不明の痛み・しびれ・不快感も治療対象 「ペインクリニック」とは一体?

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「痛いけど、何科に行けば良いのか分からない」「痛み止めで我慢できなくなったら手術しかないと言われた」という方。「ペインクリニック」という診療科があるのを知っていますか? 果たしてどんな痛みに、どんな治療を行うのでしょうか? ペインクリニックの対象疾患や治療内容、注意点などについて、園ペインクリニックの松本 園子先生に解説してもらいました。

≫痛みが続くことによる心理的ストレスにはどう対処したらいいの? 痛み専門の医師に聞く

監修医師:
松本 園子(園ペインクリニック)

2005年、大学卒業後、医師免許を取得。順天堂大学の光畑裕正元教授に師事し、痛み治療の専門的な知識と技術を学ぶ。昭和大学横浜市北部病院やがん研有明病院でも研鑽を積む。2022年、生まれ育った亀戸に「園ペインクリニック」を開院し、院長就任。医学博士、日本麻酔科学会専門医・指導医、日本ペインクリニック学会ペインクリニック専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本緩和医療学会緩和医療認定医。Instagram

ペインクリニックって?専門医が解説

編集部

ペインクリニックとは何ですか?

松本先生

「ペイン」とは英語の「痛み」のことで、痛みに特化した診察や治療を行う診療科やクリニックなどを「ペインクリニック」と呼んでいます。痛みだけでなく、しびれや不快感のような症状にも効果が期待できます。

編集部

どんな痛みがペインクリニックの対象となるのですか?

松本先生

ペインクリニックはすべての痛みやしびれ、不快と思う症状が対象となります。頭、顔、首、肩、背中、腰、脚、身体のあらゆる部位のほか、心からきている痛みやがんの痛みなど、多種多様のものが含まれます。

編集部

ペインクリニックでは、どんな治療をするのですか?

松本先生

痛みの状態や身体所見、過去の病歴などから痛みの原因を考え、それぞれに適した方法で多角的に痛みの緩和を図ります。例えば当院では、主に麻酔科医による神経ブロックという注射と内服薬による治療、鍼治療や物理療法、メンタルサポートなどを行っています。

ペインクリニックってどんな人におすすめ? 誰でも受けられるの?

編集部

神経ブロックとはどんな注射ですか?

松本先生

神経ブロックとは、疼痛やしびれなどを軽減するために、特定の神経や神経の束に薬剤を注入する治療法です。痛みの部位には血流障害が起こり、酸素不足に陥っていることが多いため、この血流障害をブロック注射で緩和させることで、痛みの悪循環を断ち切ることが期待できるのです。

編集部

漢方薬を使うと聞きましたがそれはなぜですか?

松本先生

もちろん状況に合わせて西洋薬も併用します。ただ、痛み止めやステロイドなどの西洋薬は、時として身体に負担をかけてしまうことがあるので、自然由来で負担の少ない漢方薬は安心です。また、痛みが治る過程でしびれが出ることがありますが、しびれに対しては西洋薬よりも漢方薬の方が効果を発揮することもあります。

編集部

物理療法についても教えてください。

松本先生

痛みの緩和を目的とした物理療法には、レーザー治療や高周波熱凝固法、パルスRF療法など非常にたくさんの種類があり、当院でもさまざまなものを導入していますが、とくに注目されている新しい物理療法機器として「交番磁界治療器」があります。4つのパッドから、2種類の微弱な磁界を照射し、神経を刺激することで疼痛を緩和させる医療機器です。

編集部

なるほど。では、ペインクリニックはどんな人におすすめですか?

松本先生

ペインクリニックはありとあらゆる痛みやしびれが対象ですので、どんな方でも受けられます。帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛など痛みを主症状とする疾患だけでなく、顔面神経麻痺や肩こり・首こり、ぎっくり腰などにも対応していますし、生理痛や更年期障害の人などにもおすすめです。がんですでに医療用麻薬を使っている方でも対応しますし、最近でしたらコロナワクチン後遺症やコロナ感染後遺症などにも対応しています。

編集部

ペインクリニックを受けられない人というのはいるのですか?

松本先生

とくに受けられない人はいません。診察の結果、例えば外科的治療が必要な骨折や脳出血などに伴う痛みだった場合には、そちらの治療をしていただくこともありますが、通常の治療でしたら並行してペインクリニックに通っていただくことが可能です。

ペインクリニックを受ける際の注意点は?

編集部

ペインクリニックを受ける際の注意点などはありますか?

松本先生

痛みがいつ頃、どんなきっかけで始まったのか、どんな時にどのように痛むのかなど、わかる範囲であらかじめまとめておくと良いかもしれません。あとは、すでに診断名がある方やお薬を服用している場合などは、診断名や薬剤名をお知らせください。とくに糖尿病の方や「血液をサラサラにするお薬」を飲んでいる方などは、ブロック注射の際に必ずお伝えいただきたいと思います。

編集部

ほかに注意する点などはありますか?

松本先生

「すでに診断名のある方はお知らせください」と言いましたが、補足として、例えば「痛いのは首だから、不眠で服用しているお薬は関係ないだろう」などと自己判断せず、診断名や薬剤名は、出来るだけきちんと教えてください。精神科のお薬をいくつか服用している人などは、お薬の見直しで痛みが緩和できる場合もあります。

編集部

最後に、Medical DOC読者へのメッセージをお願いします。

松本先生

長い間、辛い痛みを我慢して、悩んで悩んだ末にやっと来院される方もいらっしゃいますが、痛みを我慢して何もしないでいると悪循環に陥り、余計にこじらせてしまうことが多くあります。痛みを感じてすぐに相談していれば1回の注射で終わる症状が、受診を先延ばしすることで完治に時間がかかってしまうこともありますので「このくらいの痛みで」と我慢はせず、痛みを感じたらすぐに相談いただけたらと思います。

編集部まとめ

ペインクリニックについて解説していただきました。ペインクリニックで対応できる特別な痛みがあるのではなく、あらゆる痛みや痺れ、違和感など、すべての患者さんに対応してくれるのですね。ペインクリニックで専門医に相談し、適切な治療を受け、苦痛が緩和できれば、生活の質を大きく向上させることが可能です。今気になる痛みやしびれ、違和感などがある人は、お近くのペインクリニックを利用してみてはいかがでしょうか。

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医院情報

園ペインクリニック

所在地〒136-0071 東京都江東区亀戸7-64-3

アクセスJR総武本線「亀戸」駅より徒歩14分
東武亀戸線「亀戸」駅より徒歩14分

診療科目ペインクリニック科・漢方内科・麻酔科

03-5609-7113

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