『FUJI ROCK WEEK 2024 at 東京ミッドタウン八重洲』撮影=SPICE編集部

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ザ・キラーズ(THE KILLERS/26日)、クラフトワーク(KRAFTWERK/27日)、ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ(NOEL GALLAGHER’S HIGH FLYING BIRDS/28日)をヘッドライナーに迎え、7月26日(金)、27日(土)、28日(日)に開催される『FUJI ROCK FESTIVAL'24』(以下、フジロック)。そんな『フジロック』をひとあし早く体感できるプレイベント『FUJI ROCK WEEK 2024 at 東京ミッドタウン八重洲』が、6月28日から30日の3日間にわたって開催されました。『フジロック』にゆかりのあるアーティストによるフリーライブをはじめ、深夜まで踊り明かすDJイベント、実際に会場でも開催されるワークショップなど、来場者が参加できるコンテンツが盛りだくさん用意され、連日多くの人々で大盛況! ここではイベント全体の様子を駆け足でお届けします。


■プレイベント開催地は、“東京のど真ん中”

今回のプレイベントが開催されたのは、『フジロック』の開催地である新潟県湯沢町苗場スキー場から約200kmの距離の東京都中央区にある東京ミッドタウン八重洲。首都・東京を感じる近代的な佇まいのこのビルの立地は、東京駅の目の前! まさに“東京のど真ん中”というロケーションで、昨年に引き続き、2度目の開催地となりました。

イベントは1階のガレリア・アトリウムと、2階のヤエスパブリックの2ヵ所で展開され、1階ガレリア・アトリウムには『FUJI ROCK FESTIVAL'24』と書かれた巨大な入場ゲートがどっしりとお出迎え。その両サイドには「GREEN STAGE」や「WHITE STAGE」「RED MARQUEE」といった『フジロック』の名シーンが生まれたステージの名前入り道先案内板がズラリと掲げられています。フリーライブエリアにはそのゲートをくぐって入るのですが、そこでは『フジロック』の入場ゲートをくぐる時に似たワクワク感を感じられ、胸が高鳴る体験も。また、奥にあるステージへと続くガーランドや、苗場を感じさせるアート作品などのデコレーションもフジロックテイストを程良く演出していて、近未来感の漂うアーバンシティにおいて苗場のいい風を吹かせるのに一役買っていました。

撮影=SPICE編集部


■人、人、人…! 人で溢れかえったフリーライブ

フリーライブエリアでは、事前に公開されていたタイムテーブルを頼りにお目当てのアーティストの登場を待つ人も多く見受けられましたが、ライブが始まるたび、その音に吸い寄せられるように人がどんどん集まってきては足を止め、すぐに満員となって大勢の人で溢れかえる…という状況。主催者によると、開催期間中は毎日同様の光景がひたすら繰り返されていたとのことでした。

来場者には都内に住む人はもちろん、神奈川、千葉などの近郊都市からも大勢の人が参加されていて、来場目的として最も多く挙げられたのはフリーライブでしたが、オフィシャルグッズを購入しに来たという声も多く、また、「フジロックを感じたくて来ました!」と真っ先に口にされた人もいてとても印象的でした。

Maika Loubte Ⓒ Taio Konishi

TENDRE Ⓒ Taio Konishi

パソコン音楽クラブ Ⓒ Taio Konishi

Kan Sano Ⓒ Taio Konishi

期間中、フリーライブには9組のアーティストが出演。初日がMaika Loubte、TENDRE、2日目はパソコン音楽クラブ、崎山蒼志、Kan Sano、OKI DUB AINU BAND、3日目にはYeYe、荒谷翔大(solo set)、さらさが登場し、オーディエンスを大いに沸かせました。

崎山蒼志 Ⓒ Taio Konishi

筆者が訪れた2日目の夕暮れ時にライブエリアのあるガラスに囲まれた空間で響いていたのは、崎山蒼志のジェントルで伸びやかな歌声でした。アコースティックギターの音色も、歌詞とメロディとがスッと心に入りこんでくるような感覚も心地好く、穏やかで贅沢なひとときはあっという間に終演に。詰めかけた来場客から心を満たしてもらった感謝ともとれる拍手が送られると、それに応える形で再登場してアンコールを披露。アーティストと観客との距離感も絶妙によくて、ライブで得られる多幸感てこれだよなあと人知れず頷いていました。

OKI DUB AINU BAND Ⓒ Taio Konishi

YeYe Ⓒ Taio Konishi

荒谷翔大(solo set) Ⓒ Taio Konishi

さらさ Ⓒ Taio Konishi

『FUJI ROCK WEEK』ではフリーライブのほかにも、かつての『フジロック』で愛されていた深夜イベント『オールナイトフジ』が『オールナイトヤエパブ』となって一夜限りで復活し、Bryan Burton-Lewisをはじめ「Day Dreaming」に出演するDJが24時から29時のクローズまで眠らぬ夜を盛り上げたり、2日目には「RED MARQUEE」に出演するgroup_Inouのimai、SAMO、さらにNo BusesのCwondoによるDJイベントも開催されるなど、八重洲界隈は非日常的に揺らされ続けたのでした。


■オフィシャルグッズのPOP UPストアに大行列!

撮影=SPICE編集部

ライブだけが盛り上がっていたわけではありません。2階のヤエスパブリックでは、『フジロック』のオフィシャルショップGANBAN/岩盤が、期間限定でPO PUPストアを出店。Tシャツ、サンダル、フジロッカーにはお馴染みのゴンちゃんグッズなどのオフィシャルグッズやチケットを販売したほか、豪華賞品が当たる大抽選会、『フジロック』のオフィシャルツアー相談会も実施し、迷えるフジロッカーを支援していました。


■大人も子どもも創って学べる『フジロック』のワークショップ

撮影=SPICE編集部

1階のフリーライブ会場付近では、2つのワークショップ「My 1st FUJIROCK 缶バッジ」と「キーフーダーづくり」が開催され、大人のみならず、こどもフジロッカーも積極的に創作体験を楽しんでいました。

『フジロック』は開催当初から環境保全やエネルギー再生利用などの社会問題への取り組みを実施し、その重要性を発信してきた特異な音楽フェスという一面も持っています。今回のワークショップでは、ハギレ布に自分のフジロック参加回数をスタンプして作る自分だけのオリジナル缶バッジ作りと、木の端材を利用して作る銭湯の下駄箱の鍵の木札風キーホルダー作りで「価値なきもの」を「新たな価値なきもの」へと作りかえていくモノづくり体験の場を提供。子どもと一緒にSDGsに触れ、考える良い機会となっていました。これらのワークショップは『フジロック』場内の「NEW POWER GEAR Field / AVALON」で楽しめるそうなので、歩き疲れたときに休憩がてら参加するのもお薦めです。


■高まる期待感「フジロック、はじまったね!」

今回のプレイベントで強く感じたのは『フジロック』への期待の高さでした。その場にいるだけで楽しくなったり、不思議とワクワクする感覚になれるのは、環境と、そこにいる人たちの持つ感情が場の雰囲気となって伝染してくるからに他なりません。また、フリーライブに来ていた小学生くらいの子どもと、その母親とおぼしき女性が「フジロック、はじまったね!」と話していたのを耳にしました。微笑ましい親子のやりとりと笑顔から、勝手ながら幸せ気分を分けてもらいました。

今回開催されたプレイベント『FUJI ROCK WEEK』のキャッチコピーに“八重洲からはじまる夏”とありましたが、前述の親子のように『フジロック』がすでにスタートしている人もいる様子。本番まであと3週間。そろそろ本腰を入れて準備をしたほうが良さそうです。

世の中は多種多様なエンタテインメントで溢れていますが、『フジロック』は唯一無二の、贅を極めた音楽空間です。好きな音楽と新しい音楽、そして新しい自分に出逢える不思議な魅力を持つ音楽フェスでもあります。素晴らしいラインナップは周知のとおりですが、特に今年は1999年に会場を苗場に移してから25回目の開催という節目を迎えることもあり、何か伝説が生まれるのではないかという期待もより一層高まっています。

もし参加を迷っているなら今からでも十分間に合います。チケット、交通手段、宿泊、持ち物など、夏を楽しむ準備をして、思い切り楽しみましょう!

取材・文=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ