秋には新たなツアーも！ClariS、4年半ぶりとなるライブツアー“ClariS SPRING TOUR 2024 〜Tinctura〜”最終日をレポート！

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ClariSの実に4年半ぶりとなるライブツアー“ClariS SPRING TOUR 2024 〜Tinctura〜”は、ラテン語で“染める”という意味を持つライブタイトル“Tinctura（ティンクトゥーラ）”が象徴するように、作品ごとに様々な色に染まりながら進化し続けてきた2人のカラフルな魅力を全方面で味わえるツアーとなった。3都市全6公演、クララとカレンの希望で各会場異なるセットリストで臨み、すべての公演を違うカラーで染め上げた本ツアーのうち、千秋楽を飾った6月2日のTOKYO DOME CITY HALL夜公演のレポートをお届けする。

PHOTOGRAPHY BY 平野タカシ
TEXT BY 北野 創

春ソングメドレーやレアなソロ歌唱で多彩に魅せる前半戦

前述した通り公演ごとに演目や趣向を変えてきた今回のツアー。6月1日と2日に各2公演行われた東京公演では、ホール規模の会場ということもあって、バックはバンドによる生演奏が支えるほか、楽曲によってはダンサー4名が加わる、フル編成の豪華絢爛なステージに。バンドメンバーは黒須克彦（b、バンドマスター）、山本陽介（g）、村田一弘（ds）、中尾昌史（key）。ClariSにとって初の生バンドワンマンとなった、2023年春のライブ“ClariS SPRING LIVE 2023 〜Neo Sparkle〜”以来、彼女たちのライブをサポートしてきたお馴染みの面々だ。

ツアーで公演を重ねてきたこともあってか、本公演でのClariSとバンドの一体感は最高潮とも言える仕上がりに。華々しいオーバーチュアを経て、上下二段組のステージの上段にクララとカレンが登場すると、1曲目「reunion」から、生演奏特有の力強いサウンドと2人の美しいユニゾン、そして客席からの喜びの声が合わさって会場は昂揚感に満たされる。冒頭の一節の歌唱を経て、「ツアー最終日、盛り上がっていきましょう！」と声をかけながら階段を下りてメインステージに降り立った2人は、息の合った振付と共に“再会”を祝う歌を届ける。さらにライブの定番曲「ヒトリゴト」へと繋げ、ファンのコールも加わって会場の熱はさらに上昇。途中でバンドメンバーの紹介も挿み、冒頭2曲から一気にギアを上げていく。

パステルピンクとパステルグリーン、それぞれのイメージカラーを挿し色に取り入れたドレスを身に纏った2人は、続いてTVアニメ『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』のEDテーマとなっている最新シングル「アンダンテ」を披露。ダンサーもステージに登場して、アイリッシュ風の曲調にマッチしたフォークダンスのような動きをみんなで合わせながら、楽しそうに楽曲の世界観を表現していく。そして5月にリリースしたばかりのニューアルバム『Iris』より新曲「Love is Mystery」を歌唱。カレンの「一緒にシュビドゥビしてー！」という呼びかけに応えて、ファンもピンクのペンライトを振りながら盛り上がる。ビッグバンド系のジャジーなサウンド、マイクスタンドを使ったパフォーマンス、ダンサーの紹介を兼ねたソロダンスなど、ボードビルショーのような賑わいが新鮮だ。

今回のツアーは最新シングル「アンダンテ」とニューアルバム『Iris』のリリース直後ということもあり、セットリストは同作の収録曲を軸にした構成に。『Iris』はラテン語で“虹”を意味する単語で、その題名通り虹のように色とりどりの楽曲が詰め込まれた作品だったので、ライブの演目も自然と色彩豊かになっていたのが本公演の特徴だ。数多くのClariS楽曲を制作してきた重永亮介によるどこかミステリアスな歌謡ロック「擬態」、吐息も織り交ぜた艶っぽい歌唱でファンを魅了した「Freaky Candy」と、新曲群では新たな表情を見せていく。

そこからTVアニメ『シャドーハウス 2nd Season』のエンディングを飾った「Masquarade」で妖しくも美しいシアトリカルな世界を広げると、続く「ループ」では「皆さん、ここからは一緒に踊りましょう！」と呼び掛けつつ、2人もステージ前面のせり出したスペースまで躍り出てファンとより近い距離で交歓を楽しむ。さらにここからは春ソングメドレーを展開。まずは昨年の春ライブでファン投票の結果、リリースから約10年のときを経てライブ初披露された「ミントガム」で幕を開けると、振付なしでしっとりと歌を聴かせた卒業ソング「graduation」、ユーロポップ調の懐かしくも煌びやかなサウンドがClariSらしい「Bye-Bye Butterfly」と続け、最後はニューアルバムからの新曲「サクラ・インカーネーション」を披露。和の情緒溢れるメロディとサビでダンサブルに花開く楽曲構成を含め、ClariSらしさと新鮮さが同居した1曲だ。ときにお互い顔を見合わせながら雅やかな歌声を重ねる2人の姿に胸がギュッとなる。

様々な春の色を感じさせたメドレーに続いては、ソロ歌唱のコーナーへ。まずはクララが「カラフル」を披露する。本来は2人で歌う楽曲であるため、クララ1人で歌うのはレアだが、彼女の伸びやかかつどこか儚さを感じさせる歌声が楽曲の切なさ成分をより引き立てるような、いつもとは少し色合いの異なる「カラフル」にファンは大興奮していた。そして青色をベースにした新たな衣装でステージに再登場したカレンは「アネモネ」を選曲。得意のダンスを活かした躍動感あるターンやステップを交えながら、心の内に秘めた想いを力強く表現する。ダンサーのサポートも相まって動きでも魅せるステージングだった。

“ずっと一緒にいよう”――2人とファンを繋ぐ虹色のステージ

カレンの歌唱後、彼女とお揃いの衣装に着替えたクララが「最高ー！」と絶賛しながら再びステージに姿を現し、ここからは後半戦に突入。まずはClariSを新たなステップに押し上げた近年の代表曲「ALIVE」を、カレンの足上げを含むダイナミックなダンスと共にパフォーマンスし、2人の“最強のバディ（相棒）”としての存在証明を完遂すると、ニューアルバム『Iris』からアッパーな新曲「トワイライト」を投下して客席のボルテージをさらに引き上げる。そこから透明感とエモさを湛えたピアノロック「SHIORI」を挿み、再び『Iris』から新曲「未来航路」を披露。2人がマイクスタンドの前に立って「ペンライトを黄色にしてください！次は踊るよー！」（クララ）と呼び掛けると、サビでファンも2人と一緒に振付を踊って一体になる。さらに終盤はクララとカレンもタオルを手にステージの前まで前進し、みんなでタオルを回してフィーバータイム。ラストは2人が手にしていたタオルを客席に投げ入れて締め括られた。

その後、お着替えタイムを兼ねた2人のソロMCでは（一方が着替えている間にもう一方がMCを担当した）、カレンがクララの居ぬ間に彼女の面白エピソード（同日の昼公演のあと、生クリームたっぷりのフルーツサンドを食べようとしたクララが、フルーツを落としてしまった話など）を話して、クララが慌ててステージに戻ってくる一幕も。そして白ベースの光沢のあるドレス衣装に着替えた2人は、ここからニューアルバム『Iris』の新曲を一気に畳みかける。まずはチルなムードの柔らかなエレクトロポップ「Wonder Night」。ふわふわと漂うようなユニゾンボイスで無重力のワンダーナイトへと誘う。楽しそうにステップしながら歌う2人の姿も印象的だ。そこから一転、エモーショナルなバラード「アサガオ」では凛とした空気感の中で“ずっとそばにいたい”という切実な願いを切々と表現していく。クララとカレンがステージの上段と下段に分かれて、“離れ離れの二人”を表現するシアトリカルな演出も素晴らしい。さらに雅やかな和のメロディと虫の音や和琴の音色が風情たっぷりな「一期一会」では、2人の哀切感ある歌声が“一期一会の刹那”を描き出す。客席のペンライトはオレンジ色に染まり、まるでホタルか灯篭のように会場を染め上げた。

その後のMCで声出しを行って客席のボルテージの高さを確かめると、ついにラストスパートに突入。煌びやかかつ開放感のある「Blue Canvas」で今度は会場というキャンバスを一面青に塗り替えて“思い出”を更新すると、続く「ふぉりら」では「皆さんサビでは“好き”の気持ちを全力で叫んでください！」（カレン）と呼び掛け、サビの“でもやっぱり”“好きー！”というコール＆レスポンスでファンとの距離を一気に縮める。TVアニメ『カノジョも彼女』第2期EDテーマとして生まれた楽曲だが、今やライブ曲として完全に仕上がっている印象だ。そしてライブ本編を締め括ったのは、いつまでも色褪せない輝きを放つ「コネクト」。ファンによるコールもコロナ禍を経てより団結感が増した印象で、この熱さは現場に足を運ばないと味わえない。ラスサビの“もう何があっても挫けない”“ずっと明日待って”のフレーズで2人が交わす小指の約束は、クララとカレン、そしてClariSとファンの絆は永遠ということの証。ラストは2人の「せーの！」という声に合わせて全員がジャンプして大団円を迎えた。

アンコールを受けて、黒のツアーTシャツ姿に着替えた2人が手を繋いでステージに再登場すると、キラキラしたサウンドと歌詞がClariSそのものと言える「Prism」を披露する。“差し出した手を掴む”のフレーズで文字通り手を掴んで歌う2人。1人では怖くても2人一緒ならどこまでも行ける――2人のそんな思いを改めて受け取れる1曲だ。そこから間髪入れずライブの定番曲「border」に繋げ、今この瞬間の青春を駆け抜けるように、爽快で胸に迫る歌声を会場いっぱいに届ける。ラスサビでは2人もタオルを手にし、会場中が笑顔でタオルを回して、歌い、“境界線”を越えて一体になった。

ツアーの最終公演、そのフィナーレを飾ったのは「second story」。最新アルバム『Iris』のタイトルにちなみ、客席を7等分に仕切ってペンライトで“虹色”の景色が作られた空間で、2人はときに腕を組み、ときに抱擁し合いながら、この日この瞬間だけの“まだ誰も知らないストーリー”を紡いでいく。会場が幸せの色に染まり、誰もが歓喜の表情を浮かべるなか、2人は最後に“ずっと一緒にいよう”と誓い、ツアーを締め括った。

アンコールのMCでクララは、ずっとバンドのイメージのなかったClariSが、去年からバンド公演を重ねていくなかで、どんどんその音に馴染んでいき、この日の公演では「これ（バンド）が1つの形になっていると思って“最高！”」と感じたことを明かしていたが、実際にライブアクトとしての力量を改めて実感できたのが今回の公演だった。クララとカレンの2人だからこそ紡ぐことのできる繊細かつ感情豊かなボーカル、楽曲の世界観を視覚でもイメージ豊かかつ優雅に伝えるダンスパフォーマンス、確かな実力者が揃ったバンドによるエネルギッシュな演奏。それらが融合した現在のClariSのステージングは今、間違いなく最高に脂がのっている。秋には新たなツアー“ClariS AUTUMN TOUR 2024”の開催も決定しているので、機会があればぜひ会場に足を運んでほしい。ClariSのプリズムは無限のカラーを秘めているのだから。

「ClariS SPRING TOUR 2024 〜Tinctura〜」
6月2日（日）TOKYO DOME CITY HALL
＜夜公演　Setlist＞
1.reunion
2.ヒトリゴト
3.アンダンテ
4.Love is Mystery
5.擬態
6.Freaky Candy
7.Masquarade
8.ループ
9.春ソングメドレー
ミントガム
graduation
Bye-Bye Butterfly
サクラ・インカーネーション
10. カラフル
11. アネモネ
12. ALIVE
13. トワイライト
14. SHIORI
15. 未来航路
16. Wonder Night
17. アサガオ
18. 一期一会
19. Blue Canvas
20. ふぉりら
21. コネクト
＜ENCORE＞
EN1. Prism
EN2. border
EN3. second story

「ClariS SPRING TOUR 2024 〜Tinctura〜」セットリスト・プレイリストが下記にて公開中！
https://ClariS.lnk.to/Tinctura_LIVE
(Apple Music / Spotify / LINE MUSIC / AWA / YouTube Music / Amazon Music)

●ライブ情報
「ClariS AUTUMN TOUR 2024」
10月26日（土） LINE CUBE SHIBUYA
開場 12:00/ 開演 13:00
開場 17:00/ 開演 18:00

全席指定 8,500円（税込）
問：DISK GARAGE
https://info.diskgarage.com/

11月 2日（土） カルッツかわさき
開場 17:00/ 開演 18:00

全席指定 8,500円（税込）
問：キョードー横浜
045-671-9911

11月 3日（日） カルッツかわさき
開場 15:00/ 開演 16:00

全席指定 8,500円（税込）
問：キョードー横浜
045-671-9911

11月10日（日） Zepp Namba（OSAKA）
開場 17:00/ 開演 18:00

1F 立見 8,000円（税込・整理番号付）
2F 指定 8,500円（税込）
※別途ドリンク代 \600

問：キョードーインフォメーション
0570-200-888（平日・土曜11:00〜18:00）

「ClariS AUTUMN TOUR 2024」情報はこちら
https://claris-room.com/ClariS-Autumn-Tour-2024.html

●イベント情報
「Anime Friends 2024」
会場：Pavilhão de Exposições do Distrito Anhembi（ブラジル・サンパウロ）
開催日：7/19(金), 7/20(土)
https://www.clarismusic.jp/news/archive/?562160

ヨーロッパ最大規模のアニメコンベンション
『AnimagiC 2024』
会場：Rosengarten Mannheim（ドイツ・マンハイム）
開催日：2024年8月2日(金)〜8月4日(日)
※開催期間内で、ソロコンサート・サイン会・スペシャルステージ「SACRA MUSIC FES. x AnimagiC」に出演！
https://www.clarismusic.jp/news/archive/?561921