やることに追われていても、無理せずスムーズに暮らしをまわしている人には、共通点があります。「自分の性分に合った段取り」を考え、自分で自分の機嫌を取りながら、効率的に家事を進めているのです。7人家族の宇佐美見和さんもそのひとり。もともと完璧主義でストイックな性分だったけれど、それらを手放すことで、楽しみつつ暮らしを滞りなく回す、自分らしい段取りにたどり着いたそう。そんな宇佐美さんの段取りを紹介します。

段取りは「未来の自分がラクするため」のもの

朝5時に起床したら洗濯機を回し、その間に朝食とお弁当をつくり、洗濯物を干して。仕事をしながら5人の子どもを育てる宇佐美さんは、「夜の9時頃までは、ほぼ立ちっぱなしです。毎日やることは無数にあるけれど、だれかがやってくれるわけじゃないからやるしかない」と笑います。

【写真】築52年の一軒家のパントリー

今は彩り豊かなおかずをつくり、家事も手際よくこなしていますが、結婚をするまで洗濯さえしたことがなかったそう。自分なりのやり方を身につけてこなしていたもの、子どもが増えると、当然ながらタスクも増えていきます。

そこで日々模索しながら、たどり着いたのは「大事なのは段取り」と宇佐美さん。暮らしを滞りなく回すために肝心なのは、自分がラクできること。料理のつくりおきも、1日の終わりにシンクの水けをふき取るのも、未来の自分のためだといいます。

「段取りは狂ってもOK」と気を抜けるように

「完璧主義でストイックな性格」ゆえ、移住したてのころはレトルトや冷凍食品を使うことに抵抗を感じたり、棚の上にほこりがたまっていると罪悪感を覚えたことも。とくに料理は、自身の摂食障害の経験と長男にアレルギーがあったことから、“ちゃんとやらなきゃ”という思いが強かったといいます。末っ子の保育園入園を機に厨房で働きはじめてからは忙しさに拍車がかかり、「無理なものは無理だから、諦めるしかない」とやっと気を抜けるようになりました。

「私にとってはかなり大きな一歩。以前は一生懸命つくったから揚げを『火が通ってない』といわれて、『がんばったのに』とがっかりしたこともありました。いまは『疲れたから、夜はレトルトの麻婆豆腐ね』という日もあるし、『お弁当、なにがおいしかった?』と聞いて『冷凍食品のコロッケ』といわれても笑える。やっていたことをやめるのは勇気が必要でしたが、できることだけでいい、と思っています」

たとえ寝坊して段取りが狂ったら「掃除機はまた明日にしよう」と次の作業へ。掃除は70〜80点が目標で、「そこそこきれいならOK。そうじゃないと疲れちゃう」とにっこり。クタクタの日は、子どもたちに「ゆっくりコーヒー飲むね」と伝えて、ひとり時間を過ごすことも。

現在は調理師を志して勉強中。新たな目標を見つけた宇佐美さんの晴れやかな表情から、多忙でも自分を慈しみ、毎日を精いっぱい楽しんでいるのが伝わってきました。

そんな宇佐美さんに洗濯、料理、家事など、7人分の家事をスムーズに回す段取りを4つお聞きしました。

1:子どもたちの洗濯物は各自でしまう

7人家族は洗濯物も大量! 宇佐美さんがたたんで階段に置いたら、子どもは自分で運んでそれぞれの引き出しへ。

(1) 洗濯は1日3〜4回。朝は洗濯機を回す間に朝食とお弁当をつくり、前日に干したものをたたむ。

(2) 末っ子が自分で洗濯物を運べるようになった1年ほど前から、たたんだ洗濯物を持って2階に上がり、引き出しにしまうのはそれぞれが担当。「引き出しの中はぐちゃぐちゃでもOKと割り切っています」。

(3) 洗濯物を片づけたらリンパマッサージをするのが日課。「あわただしい日も、メイク前のこの10分は確保するようにしています」。

2:つくる料理はスマートフォンにメモして買い物にも活用

つくる料理を決めたら、そのつどアプリにメモ。つくったものに○印をつければ進捗が把握しやすいうえ、達成感が得られ、次に買い足す計画もスムーズに。

(1) 料理メモは買い物メモとしても活用。「宅配も試しましたが、余計なものを買ってしまうので、今は仕事のあとに買い物に行きます。

(2) 帰宅後に夕食をつくるのが大変なのと、子どもを待たせるのが嫌で、3日に1回、つくりおきおかずをつくります。つくりおきは日持ちを計算し、給食の献立と重ならないことを考えつつ、家族それぞれの大好物を1品ずつとアレンジが利くものを。

3:帰宅後のこまごました家事もする時間を決めておく

名もなき家事も、だいたいの時間を決めると、考えずとも自然と体が動きます。

(1) 16時に帰宅したら洗濯物をたたみ、風呂掃除をしてから米をとぎ、19時の夕食に合わせて炊飯器のタイマーをオン。「タイマーを押した時点で茶碗としゃもじ、取り皿を並べておけば、炊き上がったらすぐに配膳できます」。就寝前には翌日のお弁当のために5時にセットします。

(2) 18時からお風呂なので、17時過ぎに給湯器のスイッチを押して湯をためる。

(3) 夕食の洗い物を終えたら排水口を磨き、器をふいた布でシンクをふく。「翌朝、すがすがしく1日を始められます」。

(4) お弁当の準備やアイロンかけを終えたら21時過ぎ。ようやくお茶で一服する。

4:毎朝決まったルートで掃除機をかける

「帰宅したときに気持ちがいいから」と始めた10分間の朝掃除。リビングからスタートしてキッチンやトイレ、2階も行います。

(1) リビングで掃除機をかけながら植物を見わたして状態を確認。「ひとつあるだけで空間が生き生きするのにひかれて増えていきました。家族みたいな存在です」。

(2) リビングのあとは、リビングダイニングから続く階段下のスペースへ。オープンながら少しだけおこもり感がある場所。

(3) パントリーへ。ここには乾物、お弁当箱やお菓子の型、ラップ類のストックなどを収納。「資格の勉強や書き物はここで。私の秘密基地です」。このあと2階を掃除して終了。