京都の古い町家で夫、娘、息子と暮らす40代の美濃羽まゆみさん。洋裁作家・手づくり暮らし研究家として活躍しています。そんな美濃羽さんの住まいとアトリエは、いつもすっきりと片づいていて掃除が行き届いています。ここでは、忙しい毎日でもきれいが長続きする、美濃羽さん流の掃除術を教えてもらいました。

掃除はまとめてするより、「毎日少しずつ」を心がけて

毎朝、仕事を始める前に掃除を終える美濃羽さん。奥へ奥へと続く町家の室内をひと通り掃いたら、曜日で振り分けた掃除や片づけをさくさくとこなします。

【写真】毎日使う掃除道具は、見える場所に収納

「曜日を決めるようになったのは猫が来てから。トイレの砂をいつ取り替えたかわからなくなっちゃって、だったら曜日を決めようと。それで、ほかの掃除もいつやるか決めることにしたんです」(美濃羽まゆみさん、以下同)

猫のトイレはごみ出し日の朝に。冷蔵庫は宅配が来る前日に。ふきんや五徳のつけおき洗いは週末に。

「やる日を決めたら考えなくてもすっと体が動く。迷わないのでストレスもなく、そのあとすぐに仕事に集中できてとても合理的です」

タンスの引き出しひとつなど、気になる場所を1か所だけ整えるのも、毎日の習慣です。あえて「5分で完結」と決めているのは、「やり出したら止まらない」性分ゆえ。

「家でやる仕事だから、キリがないんですよね。1か所5分だけと決めてしまえば、気持ちも割り切れるし疲れない。その都度ちゃんと達成感も味わえます」

目についたら、その都度掃除。ルーティン化で迷わない、忘れない

この定期掃除に加え、気軽な「ついで掃除」もルーティンに。

お茶碗を洗ったら続けてシンクもキュキュッ。身支度を整えたらその場で洗面台をひとふき。障子の桟や階段は、汚れやホコリが目についたそのときが“掃除どき”。そばにかけてある手ボウキをさっと手に取り、ほんの数分できれいにします。どうやら掃除道具をしまい込まず、見える場所に置いておくのもポイントのよう。

「ホウキやはたきを壁にかけているのは、単純に収納スペースが少ないから。でも逆に“見える化”したら、手に取りやすくなってよく使うようになりました。以前は“掃除はためてやる派”だったんですが、そのときがんばってもすぐにリバウンドするし、すごく疲れちゃう。まとめてやるから全部あと回しになって、汚れていても見て見ぬふりをして過ごす時間が長くて。その光景が、自分をないがしろにしているような感覚がありました」

「こまめにやれば、汚れもたまらないからすぐ終わる。掃除をするなら、ラクにできて、きれいな時間が長いほうがいいと気づいたんです」

町家暮らしで見つけた自分流の掃除術。身構えなくてもできるちょこちょこ掃除が、昔ながらの空間を今日も心地よく保っています。

 

『美濃羽まゆみさんの手づくりのある暮らし』(扶桑社刊)では、衣食住に息づいている、さまざまな手づくりや台所の工夫、手づくりアイテムをベースにしたファッションコーディネートなど、「あったらいいな」を自由に楽しく形にしていく、美濃羽さんの暮らしを紹介しています。